カナダのビザ&移民事情

Vol.28
ファミリークラスの不可解な条項

(2016年7月1日記事)

 

今月は移民・難民保護法(IRPA)におけるファミリークラスの不可解な条項についての一考察です。


現政権は、家族の再統合を移民政策の最重点課題の一つと位置づけ、ファミリークラスからの永住権発行数を増やし、審査プロセスを効率化し、審査促進のために2,500万ドルを投じると発表した。もちろん家族が安心して一刻も早く共に暮らせるようにすることは、人道的にも、長期的には経済効果が期待されることにも異論はないが、移民法におけるファミリークラスの規定には首を傾げざるをえない条項も多い。

その最たるものが、“結婚やコモンローの関係が始まってから2年経過する前に永住権を申請した場合は、永住権発行後も2年間は同居し婚姻関係を続けなければならない”という条項だ(移民法規則第72.1条より)。婚姻前の2人の関係の深さや長さは全く考慮されていない。また、2人の間に生まれた子どもがいる場合はこの条件を免除されるというのも、不妊症のカップルの存在を考慮せず、子どもを持つことが関係の深さの尺度とされていることに違和感を感じる。

昨年追加された条項によって、婚姻の儀式の際には2人が共に物理的に参加していなくてはならず、 Proxy(代理)によるものや、どちらか一方がビデオコンフェレンスのような形で参加した場合は、移民法上は配偶者とみなされなくなった(移民法規則第5条より)。一方、日本のように役所で婚姻届けが受理されるだけで婚姻が直ちに成立する、儀式などが不要な国の場合はこの条項は当てはまらない。

移民法規則第4条第1項には、1)カナダの永住権取得を主要な目的として、配偶者、コモンローパートナーとなった場合、または、2)その関係が純粋でない場合は申請資格を有しないという規定がある。しかし現代において婚姻の動機は伝統的な価値観によるものから、子どもが欲しい、税制面で有利など様々だ。北米のカップルの50%以上が離婚するというデータがある一方で、申請者を従来の“婚姻関係”の定義に無理やり押し込めて大量の証拠写真やコミュニケーションログを提出させるのは、遅れたやり方に思える。

このように、ファミリークラスの規定は時代の変化にそぐわないものや、熟慮なしに作られた条項も多い。また、実際には“主要な目的”ではないにしても、移民法規則第4条第1項の適用を容易に回避できる現状も問題ではないだろうか。

 


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