いのちを生きる心と身体 (2016年3月4日記事)



その3:心姿(こころすがた)を映す鏡!?

人は心を伝えるために言葉を発し、行動します。ですが、期待や予測とは異なる反応が生じることが多々あります。ついつい相手のせいにしていませんか? こちらが笑えば、相手にも頬笑みが、険しい顔で接すれば、戸惑いや不安が…周りの人々はあなたの“心姿”を映す鏡なのです。

病棟責任者だったある日、患者Aさんの妻が血相を変えてやってきました。「あのナースBさんは一体どういう人ですか! 担当を替えてください」と。Bさんは我が病棟に配属されてきたばかり。テキパキと働くが、いつも暗い表情で他者に関わろうとする意欲に乏しいように見受けられました。個人面接を、と思っていた矢先のことでした。

直ぐにBさんと面談すると、彼女はAさんの妻がなぜ激怒したのかわからないとのこと。そこでAさんの妻の言葉を伝えました。「Bさんはベットの横に黙ってやってきて、さっと夫の呼吸器を外し、気道の痰をとるための吸引を始めました。彼はとても苦しそうで、見ている私も辛くてたまりませんでした。でも、そんな彼に全く言葉もかけず、終わるとそのまま病室を出ていきました」。

「Aさんを看護する際、貴女はいつも声かけをしていたかしら? 植物状態にある人だからコミュニケーションは必要ない、と思っていませんでしたか? 初めてお逢いした奥様に自己紹介をしましたか? 痰の吸引という行為はただの作業ではなく、その一連の過程を通して包括的に患者と関わる看護行為です。彼は愛する人々と共に生きている一人の人間です。私たちナースには、どのような状態の患者に対しても尊厳を払うことが求められます」と語ると、彼女の顔色が変わりました。

さあ、鏡に向かって笑顔の練習をしてみましょう。鏡は化粧や身支度のためだけにあるのではないのです。人間関係の基本は笑顔と挨拶。この2つを心がけて、貴女の朝を始めましょう。

パートナー、親子、友人、職場、ご近所など、いずれの人間関係においても色々なことが起こります。原因も深刻さも様々。そういった時に相手を責めるのは簡単です。でも、まず考えてみましょう。私はどんな表情、どんな言葉、どんな態度で接していたかしら? そこから解決の一歩が始まるのではないでしょうか。

暮らしの至る所にある鏡、そして、周囲の人々という有難い鏡。それらを大いに活用して、心に笑顔の絶えないわ・た・しに変身しましょう!




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