いのちを生きる心と身体 (2017年6月2日記事)



その18:尿検査で気をつけることは?

「腎臓を守るためには健康診断が大切」と伝えたところ、読者の方から「尿検査で何か気をつけねばならない点がありますか?」との質問をいただきました。そうなのです! 正しい結果を得るための注意点があるのです。

尿検査では基本的に中間尿を採ります。採り方は、最初の少量はトイレに排尿、それからコップに必要量を採り(中間尿)、最後は再びトイレに排尿します。また、腎機能を知るためのたんぱく尿検査では、起床して最初の尿が望ましいです。ですから、朝早い時間帯を予約しましょう! 当日、うっかり自宅で排尿してしまった場合は、その後はなるべく時間をかけて膀胱に尿をため、その尿で検査を受けます。検査直前にたくさん水を飲むと尿が薄まってしまい、正しい結果を得られないことがあります。喉が乾いたら少量ずつ時間をかけて水分を補給し、検査を受けましょう。

Aさんは2年前にたんぱく尿を指摘されましたが、仕事が忙しかったために再検査を放置。昨年は検査前にうっかり排尿してしまい、慌てて多量の水を飲んで尿検査。その時は尿たんぱくもeGFR(糸球体ろ過量)も正常を示しました。eGFRとは、腎臓が何パーセント機能しているかを示すものです。ところが、最近になってむくみや疲れの症状が続くようになりました。受診し、朝一番の尿で検査した結果、慢性腎臓病が進行していたことがわかりました。Aさんの経験は「定期的に適切な方法で検査を受けること」の大切さを教えてくれます。

慢性腎臓病の場合は自覚症状がほとんどないのです。そのため、Aさんのように検査結果に異常があっても再検査を受けず、症状が出てきた頃にはかなり進行しているという事態に陥ります。しかも、慢性腎臓病があると脳卒中や心筋梗塞といった心臓や血管の病気を引き起こしやすくなります。早い段階で気づくためには定期的に検査を受けるしかありません。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病のある人、喫煙している人や家族に腎臓病のある人は特に注意しましょう。

これを書いている時に、病院から電話がありました。「先週の検査結果がうまく出なかったから再度来るように」との呼び出し。採血後の血液保存方法に不備があったのです。患者は細心の注意を払っているのに、尿や血液検査のプロがこういったことでは本当に困ったものです。


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