The Cat Empire

bits音楽ライターによるインタビュー第一弾は、4月3日号本誌でも取り上げたThe Cat Empireへのメールインタビューをお届けします!スカ~ジャズ、ラテンにヒップホップと自在に色を変えていく彼らの音。その音のルーツや彼らが影響を受けたバンドなどを、ヴォーカル&トランペットのハリー・アンガスさんにお話を伺うことができました。ちなみに、アンガスさんは特に5作目『シネマ』、6作目『Steal The Light』などの近作で作詞作曲を担当されています。音を聴きながら、インタビューをお楽しみいただけましたら幸いです♪

まずはThe Cat Empireの最新作『Steal The Light』から、「Brighter Than Gold」をお聴きください!


【実に多くの音楽要素がまとめられて繰り出される。シンセサイザーにはあまり頼らずに、ほぼ生楽器で音が構成されている。何よりもライヴが見たくなってしまう】


―バンドの音楽には、様々な音楽のジャンルが含まれています。スカ・ラテン・サルサ・ヒップホップ、ジャズ…など。これを聴いて、これらのジャンルは音楽的にとても近いもので、これらのジャンルに線を引くことは無意味なことなのだと感じました。バンド結成当初から、こういった各種の音楽を混ぜ合わせることを意図的に行っていたのでしょうか?

「思うにこれら全てのジャンルは異なった文化ムーヴメントや異なった国、異なった歴史的時点に生まれたものだと思うんだ。一つのジャンルを他のジャンルと分けることは、音楽的に分析できることではなくて、文化や歴史を分けることだと思う。もしも全ての音楽的要素を一緒に混ぜても、それらはそれほど他と異なったものではないよ。単に違った色やテクスチャーがあるだけでね。僕らのバンドは常にジャンルを超えて広げてきた。オーストラリアの音楽シーンでは、していいことといけないことと、誰が何をプレイしなきゃいけないといったルールがないからね。それは味気ないものかもしれないけど、面白いよね」


―1stアルバム『The Cat Empire』、2ndアルバム『Two Shoes』では、スカがメインとなっていました。スカとの出会いを教えてくださいませんか?

「スカみたいに早くてロックしてる音は、ホルンを(音の)上に乗せて作ってるよ。ホルンとターンテーブルとパーカッションとダブルベース、ドラムとピアノ。ギターは入れずにね。僕らのアンサンブル(バンド)では、楽器に影響された音ができあがるんだ」


【1stアルバムからの人気曲。ジャズ・スカ・ラテン・レゲエなどが合わさった音が哀愁とともに届けられる。
ホーンセクションがゆったりと時を刻む(最後のパートにノイズが入ります)】



―これまで影響を受けてきたアーティスト/バンドを教えてください。最近聴いてらっしゃるアーティストも教えてください。

「僕らはManu Chao、James Brown、Calexico、Seeed、The Grateful Deadみたいなバンドに影響を受けてきたよ。最近僕はメルボルンのバンド、Hiatus Kaiyoteを聴いてる」


―バンドの音は、最初から最後までリスナーを楽しませようと作られていると思います。色々なフレイヴァ―のサウンドや音楽が詰め込まれて、最後まで何が次に出てくるのか最後までわからない。バンドの全員がソングライティングに関わっていると伺いましたが、そんなことも理由の一つなのでしょうか?

「僕らは2人がメインになって曲を書いているけど、全員が作曲に関わるんだ。ライヴで演奏する時には、時を経て曲が進化していたり、時には皆がスタジオでアイディアを持ち寄ったりー。でも普段は曲をできるだけカラフルにしようとしているね」


―最新作『Steal The Light』では、音が更に洗練されたように感じました。アルバムを作るにあたり、作曲の方法などを変えようとなさいましたか?

「『Steal the Light』では、前のアルバムよりもサウンドが曲によって似通っている。沢山のカラーとフレイヴァ―があるけど、曲はみな同じ世界に属していると思うよ。メロディーとリズムを強調するという世界にね」


―ライヴ・パフォーマンスは、とてもエキサイティングですね!それぞれのパートが出会ってハーモニーを作り、素晴らしいです。ライヴ・パフォーマンスについて、何か信念のようなものはありますか?

「ライヴ・パフォーマンスは僕らのバンドにとって、とても大事。僕らのバンドのファンならきっと、僕らがやっていることを本当に理解するために、ライヴを見ないといけないと言うと思う。自然なパフォーマンスの性質や、観客のエネルギーは、僕らの音楽のとても重要な要素だからね」


【最近のライヴから。ライヴでも音世界は壊れないどころか、強化されている。この興奮はライヴでこそ感じるべき。
即興性のあるライヴに、観客は最初からノリノリ】



―今年、バンドは7月までツアーに出ているようですね。ツアーの後には、どのようなプランがあるのでしょうか?ニュー・アルバムのリリースを期待しても良いのでしょうか?

「僕らはニュー・アルバムに取り掛かっているところだよ。いつ完成するか、わからないけど。でも今のところとてもうまくいってる」


―音楽のキャリアや音楽性について、目標としている到達点などはあるのでしょうか?

「思い描いてる到着点はないね。音楽を楽しんで、そこに感じられるか何かを感じ取り、家に帰って家族や友達との時間を持って…というのが、僕の欲しい全てなんだ」


―近々、日本にいらっしゃる予定はあるのでしょうか。日本の印象はどのようなものでしょうか。

「日本には何度か行ったことがあるよ。行った時には面白かった。馴染みがあるようで、同時にオーストラリアとはかなり違っていて。日本人が本当に音楽を、特にジャズを愛していて、音楽を真剣に受け止めているように見えるから、有難く思っているよ」。


アルバム『Cinema』(CDN$23.35)


本誌では最新作をピックアップしたが、ここでは5作目を取り上げようと思います。日本で唯一、日本盤がリリースされている一枚。日本のリリースはP-Vineレコードから。ちなみに彼らは2回ほど来日しているようです。初期の『The Cat Empire』『Two Shoes』もかなりオススメですが、『Cinema』は6作目同様、世界観がまとまっていて、これまたオススメです。今作っているとアンガスさんも仰っていた新作が、どのような方向に向かうのか?これまた目が離せません。


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