オワリカラ

bits音楽ライターのインタビュー第三弾は、6月12日からカナダツアーを控えた日本のバンド、オワリカラのインタビュー(第一話)をお届けします!洋楽への造詣が深く、それぞれの楽器の持ち味も大切にしながら、そこに日本的な音の要素や歌詞を巧みにのせるオワリカラ。Next Music from TOKYOへは、2010年に続き2回目の出演となります。トロントでは12日に@Soybomb、13日に@Lee’s Palaceにてライヴを行うオワリカラのヴォーカル・タカハシヒョウリさんに、東京にてお話を伺うことができました!第一話は、トロントでのライヴを控えた現在の心境から、曲の作り方やちょっぴり哲学的なお話(?)まで。どうぞお楽しみください!まずは最新(4th)アルバム『サイハテソングス』より「サイハテソング」のMVをお聴きください。


【バンドのオケとともに、vo.タカハシヒョウリの声がまっすぐに届く曲。バンドの新境地とも言える、キャッチーで中毒性のある曲です。タカハシの考える「最果て」とは一体どこなのか?インタビューで迫ります!】


―まずは、2回目のトロント公演を控えた現在の心境をお聞かせください

「5年前に一度ライヴをしているんですが、その時と周りの状況も、バンドの状態も変わってきているので、それがカナダという違う国でどう見えるのかが面白いなと思っています。5年前はCDも出しておらず、ひたすらライヴをしているような状態でいきなりカナダに行ったので、4枚アルバムを出した今、あの頃とはだいぶ状況が変わっています。ライヴでの見せ方も前と変わり続けていて、それが異国でどう映るか、楽しみですね。あと、前回はあまり出歩かなかったので、今回は出歩いたり、カナダのバンドを見に行ったりしたい」


―サイトをご覧になっている方で、オワリカラのことをよくご存知ない方のために、他のメンバーの方々の紹介と、それぞれが影響を受けた音楽についても伺えればと思います

Vo/g→タカハシヒョウリ(The Doors/ Jimi Hendrix/ Pink Floyd/井上陽水/あがた森魚/中島みゆき((詩))が好き)
Ba→ツダフミヒコ(サイケロック/プログレロックのファン)
Key/vo→カメダダク(最年少)(ダフトパンク/シティロック的なものが好き、冷めた音を鳴らすキーボーディスト)
Dr→カワノケンタ(プレイングマネージャー)(スタジオミュージシャン系のドラマーのファン)

みたいな感じですかね。

年齢も出身地もバラバラで、すごい音楽をやりたいということで出会ったバンドなので、音楽趣味もバラバラです。共通しているのは、日本語のロックが皆好きで、特に全員20代後半~30代なので、90年代の“ゆらゆら帝国”や“サニーデイサービス”のような日本のバンドは通ってますね。僕は日本のフォーキーなメロと歌詞と、海外のサイケロック的なものが合わさったバンドがやりたいなというのがありました。フロントマン3人はライヴバンド的なミュージシャンが好きなのですが、ドラマーはスタジオというかセッションミュージシャン的で、ドラムが飛び回るフロントを支えている感じですね。


―曲を聴いていると、ベースの音が先にあったのではないかという曲もありますが、実際のところいかがでしょうか。

「曲の作り方が2通りあって、リフを作る場合と曲を作る場合があります。半々くらいです。リフから作る時はベースに限らずギター・キーボード、ドラムのリフから作る場合もある。何も考えずに全員でセッションして、各々の必殺技を出し合う感じですね。その中から例えば「あれ?そのドラムいいじゃん!」となったら、ドラムはそのままで他の3人がその上で何をするか考える、みたいな作り方をします。ベースが一番変わってるというか、曲の中でキーになるのはベースにしようと思っているので、ベースは普通じゃないことをやっていることが多いです。ただ、意外にドラムビートから作っている曲とかもあったりします」


―ヴォーカルのメロディは後で考えるのでしょうか?

「曲によるんですけど、自分のなかで「ただの歌ものになったら嫌だ」というのがあって、歌も勿論良いんだけど、そことオケが拮抗している、同じくらい前に出てきているっていうのが好きなんですよ、元々。アップテンポな曲で、オケはロックなんだけど歌だけは普通っていうのが、あんまり好きじゃなくて。歌とオケが同じ世界観で合体している方が好きですね」


―実際にそうなっていますね。初期の一つの区切りになったと仰っていた「ドアたち」(1stアルバム収録)でも、ヴォーカルはキャッチーですけど、下のオケはプログレ、それをドラムがまとめているという

「そういうのが良くて。実際は、人の耳にまず入るのって、ドラムと歌だと思うんですよね、基本的には。音楽をやってる人とかだったら、ベースとかギターとか、キーボードのコード感とかリフとかにもいくと思うんですけど、一番最初はリズムとメロディだと思うんです。そこで入ってきて、ちゃんとよく聴いてみたら、実はヘンみたいな。それがクセになっていく、中毒性がある…というのが理想です」


―ギター、ベース、キーボード、ドラムからそれぞれに作った曲があると思うのですが、その割合は、アルバムごとに変わっていたりしますか?

「『サイハテソングス』は曲から作っていったものが多いかな。一つの世界観でまとめたかったというのがあって。歌詞の世界観があって、曲を作っていったものが多い。逆に2nd『イギーポップと讃美歌』1st『ドアたち』の頃は、セッション度が高いです」


―最新作は、楽器もハーモニーとしてまとまっているように感じました

「そうですね。最初の頃は美しく聴こえるコード進行みたいなものを、しつこく使わないというか。どっちかというとライヴハウスとかでガーンとやって投げ出した感じを、と思ってやってました。『サイハテソングス』の時は、逆にシンガーソングライター的に作った曲が結構ありました。そういうのはコードも緻密に作ってるので、コードのパズルを解いていくように、曲を作りました。コード進行には何千通りのパターンがあるなかで、予想外の動きや転調をやりつつ、最終的に奇麗にAメロに戻ってこれた、パズルが解けた!といった感じですね。セッションで作るともちろんバンドマジック的な部分が出るのが良いので、サイハテソングスはそのへんのバランスが半々でしょうか」


―『サイハテソングス』の話が出ましたが、タイトル曲「サイハテソング」で歌われている「最果て」というのは、物理的な最果てではなく、心の一番奥といったものですか?

「これは両方ですね。マクロとミクロは通じているといったこととも近くて、すごく遠くに届けるということは、同時に自分の一番内側にいくということでもある。単純な意味合いとして、自分の住んでいない場所の人に自分の歌が届くというのはすごいことではないですか。カナダとかも勿論そうですが。それと、本当の無意識のなかの自分が納得がいくということも同時に大事で。そういうことですかね。他人のことって、わからないじゃないですか。どんなに人のことを想像しても、自分のつぎはぎでしかない、自分のパーツの組み合わせを変えることで想像しているに過ぎない。結局、誰かを納得させるには自分を本当に納得させるしかない」


―達観してますね!私なんか、そういった結論に辿りつくのに時間がかかったりしましたが。。(笑)

「まったく辿りついてはいないですけど、音楽の中では、そういうことをやってる姿をカッコいいと思ってもらえるような人間でありたい。僕の好きな人って、ものすごい職人で、サービス精神が旺盛だけど、究極には、自分に対してやっている、みたいな。そうやって作られたものが自分の感情と重なるから「カッコいい」と思える。たとえば…井上陽水さんも明らかにそうですよね、ある種の独特な快感基準でやっているのに、それが日本中の人と一致したからすごかった。そういうのは、常に目指してます。もちろん自分ひとりが楽しかった!というのではなく、それが一人一人のチューニングに合ったら最高の作品ということですね。『サイハテソングス』は歌詞だけ見ると自分のことしか歌ってませんよ笑」


―陽水さんの曲のなかで、特に歌詞が好きな曲はどれになりますか?

「初期よりは中期の曲が好きで『ライオンとペリカン』というアルバムがあって、80年代なんですけど、「戸惑うペリカン」とか「リバーサイドホテル」とかが好きですね。人を喰っているようで、ときおり真摯な意味もあったりして。ポップミュージックのサビで“ペリカン”って言葉が一番キャッチーなものとして出てくるというのがすごくて。あの時期の陽水の、他の人が使わなかった言葉にお宝があった!というのは、痛快です」


―タカハシさんが歌い方…シャウトや「怪人さん」「金田一耕助の帰還」「No Shelter」などでの裏声…で参考にしたアーティストさんがいましたら教えてください

「うーん…歌い方というか、高校生の時は完全にNirvanaが大好きだったので。。」


―意外ですね!

「バンドを始めたキッカケがNirvana だったんです。カート・コバーンに憧れて。僕は左利きなんですが、カートも、ジミヘンも左利きで、そんな所も親近感が湧いた。Nirvanaにハマったのは高校一年くらいでしたが、実はそれまでは漫画家を目指してまして、賞とかに応募して落選したりして「漫画の才能ないなー、忍耐力ないなー」とか思ってた頃に音楽にハマり始めたのです。まわりではGlayやラルク(l'arc~en~ciel)がはやってたのですが、そこも通らず、洋楽を聴くようになりました。その中にNirvanaがあり、最初は拒否反応が出たんですが、数日経ったら、(あれ、良かったな)となって。CDというよりはライヴビデオを見て(すごいな!)と。カートコバーンがギターで人をぶん殴るんですよね。それで演奏が止まる。なんだこの世界と思って、それでバンドをやりたい!となったので、カート・コバーンは恥ずかしいくらい真似しましたね、その時」


―入口はドアーズではなく、カート・コバーンだったのですね。バンドの曲は、サイケなだけでなく、衝動性や焦燥感といったものも感じられますが、そこにもつながってくるのでしょうか。特に『イギーポップと讃美歌』ではそういった要素も強いですが

「NIRVANAの焦燥感には、その当時はすごくシンパシーを感じました。2000年近くだったのでちょっと時代遅れというか、Aphex Twinとか、Beckとか、あとはPrimal Screamとか、少しエレクトロニックなものが流行っていて、Nirvanaって「一昔前のレジェンド」だったんですよ。グランジも衰退してたあとで。でも僕1人でNirvanaの自伝とか読んで、真似してましたね、生活様式とか考え方とか。人生一番ハマったバンドはNirvanaです」


―そうなのですね!焦燥感ということで『イギーポップと讃美歌』ですが、イギーポップは“パンクの始祖”といった扱いを受けていて、サイケなものにはどちらかというと否定的だったと読んだ覚えがあります

「そうなんですね。実はイギーポップは、そんなに特別に好きじゃないんです。(笑)イギーポップよりは、デヴィッド・ボウイが最高に好きで。デヴィッド・ボウイの友人ということでイギーポップを知っていって、勿論音楽も聴いてるんですが、僕にとっては結構遠い存在。ああいう衝動だけでバーンといけるイメージの人が、憧れでもあるんですけど、自分からはすごく遠い。なので、逆にタイトルに使いたかったんですよね。例えばイギーポップみたいにマッチョになって上半身ハダカでライヴ…できないんですよ、僕。(笑)自分から遠いからこそ憧れがあって。そして『讃美歌』も自分には馴染みがなくて遠い。でも美しくて憧れる。接点がないからこそ神々しいものの象徴なんです。イギーポップは」


動画②2ndアルバム『イギーポップと讃美歌』より「Swing」

【1stは色々な要素を足し合わせてプログレッシヴなものに、2ndは贅肉をそぎ落として攻撃的な焦燥感溢れるアルバムとなりました。セッションから曲を作っていっていたことも大きかったようです】


―讃美歌を意識した曲は、『イギーポップと讃美歌』の中でどの曲になりますか?

「「ベイビーグッドラック」ですかね。割とアルバム全体的にそういうイメージはあります」


―チャーチオルガンのような音が随所にありますよね

「そうですね」


―ベイビーグッドラックは転機になった曲ですか?

「歌詞だけ見ても納得のいくものが作れたという手応えですね」


つづきはこちらから


Information


アルバム紹介 -『イギーポップと讃美歌』

「Swing」のような焦燥感溢れる曲だけでなく、「ベイビーグッドラック」のようなメロウな曲や、「夢見る機械」のようにリズムに工夫のみられる曲もあり、バラエティ豊か。ベースラインを追って聴いたり、キーボードを追いかけてみたりと、聴きこむと更に味が出てくる。

チケット情報
6月12日(金)21:00 Soybomb(59 Bathurst St.)$10~
6月13日(土)21:00 Lee’s Palace(529 Bloor St. W.)$10~
With Mothercoat/otori/PENs+

Next Music from TOKYO  www.nextmusicfromtokyo.com
オワリカラHP  www.owarikara.com


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