オワリカラ

bits音楽ライターによるインタビューは、第三弾(第一話)に続きトロント公演を控えたオワリカラのvoタカハシヒョウリさんのインタビュー第二話(続き)をおおくりします。第一話に続き、タカハシさんの深い世界観を覗くかのような質問あり、今後の野望やトロント公演への意気込みなどの質問もあります!今回も楽しくお読みいただければ、これ幸い!!

まずは最新(4th)アルバム『サイハテソングス』収録曲のライブ映像「踊るロールシャッハ~マッチメイカー」@渋谷WWWをお聴きください。


【最新作のリードシングルとなった「踊るロールシャッハ」とアルバム2曲目のオワリカラ流ファンクチューン「マッチメイカー」のライヴバージョン。心理学のロールシャッハ・テストを題材にしつつ、その意味を解体したダンスナンバー。ビートと洋楽的な楽器のアンサンブルにvo.タカハシヒョウリの声が拮抗しています】


―レッドツェッペリンから影響を受けたという話も昔のインタビューでされていましたが、影響を受けたのは「4人が100%の存在感を出して400%になる」といった点ですか?他にもありますか?

「ツェッペリンはそもそもサウンドの感じがすごく好きなのと、下手うま感というか…テクニカルすぎず、独自のグルーヴが出ている感じが僕はすごく好き。それと、ちょっと行き過ぎているところには影響を受けているというのもあります。「カシミール」とか「アキレス最後の戦い」とかは、もはやちょっと笑えるというか。カッコ良くてシュッとしててセンス良いとかではなく、ダサカッコいい感じになってるところとか、人間味があって好きですね。当時は最先端だったと思うんですけど、今聴いた時の「それキター」っていう。このリフきたーっていう。あの感じはすごく好きですね」


―ツェッペリンは“ハードロックの基”とも言われますが、そちらにはいかなかったのですね?

個人的にはファンで聴いたりしますけど、自分では(もろハードロック的なものは)やろうと思わないかな。どちらかというとNew Waveなんかの方に趣味があるというか。リズム・セクションがファンキーだったりするのが好きなんですよね。黒い感じがある方が好きで。ある時期のデヴィッド・ボウイなんですけどね、リズム隊は黒人で、上物は白人みたいな組み合わせが好きです


―ドラムは溜めて叩く感じですか?

「そうですね、少しはねている感じですね。直線的ではないとか。リズム隊はそういうのが好きで。それに耽美な歌とかシンセが乗ってるのが個人的には泣けるんですよね」


―そういう曲を今までの曲で挙げるとすると、どれになりますか?

「『サイハテソングス』だと、「Music Slider」は、ソウルっぽい感じを出しましたね」


―同じサイケ系ということで、CreamやThe Whoとかは聴いていらっしゃるのですか?

「The WhoとかCreamも聴くけど、すごく思い入れがあるとかではないかな」


―The Doorsはやはり理想の音という。

「The Doorsはめっちゃ好きですね。ジム・モリソンが大好きなので。ドアーズの「感じ」は最高ですね」


―低音の綺麗な声ですよね、ジム・モリソン。

「声もカッコいいですよね。サウンドも好きで」


―話が逸れて哲学的な?話ですが、“アヴァンとポップの間にある普遍的なもの”を探していると仰っていましたが、4作アルバムを作った中で、変わってきた心境はありますか?

「禅問答ですね。(笑)“グレーゾーンにあるすごいもの”というのは常に求めているんですよね。ひねくれ者の究極形だと思うんですけど、“どこでもない”っていうのが理想。例えばAKBとかEXILE的なものがあったとして、それに対して、カウンターという訳ではないですけど、すごくアヴァンギャルドなものとか、アングラなものが世の中にあるじゃないですか。それって「ひとひねくれ」ある場合もあると思うんですけど、更にひねくれてて、そういうものですらないという、そういうものがあったら凄いな、と。言葉とか脳みそで考えている訳ではなくて、自分の好みの基準がそういう風なものだということ。これは先天的なものなのか後天的なものなのか分からないですけど、使命みたいなものだと勝手に思ってます」


―変わっていない部分としては、1stの「ドアたち」で、“あなたの次のドアでいたい”という歌詞がありますが、これも変わっていませんか?

「そうですね、それもずっとテーマ」


―次のどんなドアというのはありますか?開けてみないとわからないけど、何か先がある、とか。

「ひとつ言えるのは、世の中が変化するってことですね。その人にとって、チェンジする。その人にとって世界の見え方が変わる、みたいな。そういう特異点というか。イヤホンで音楽聴きながら歩くのと普通に歩くのとで、全然街も違って見えると思うし。街がグニャっと変わってしまうという。自分の知らない自分を呼び起こしたり。覚醒ですよね。そういうドアでありたい」


―前に挙げていただいた以外のアーティストさんで、日本の音楽で影響を受けているバンドなどはありますか?

「う〜ん・・・あんまりないんですよね。サウンド面では」


―「踊るロールシャッハ」は4つ打ち的で、日本のバンドからも影響を受けているのかなと

「最近のバンドも好きなんですけど…影響を受けているというと、ないかもしれない」


―最近聴いている日本のバンドですといかがですか?

「少し上の世代で髭とかは学生時代にライヴ見に行ったりしていたりとか、あと身近なバンドは皆カッコいいし、でもサウンドとして直接影響を受けてるのはやっぱりあまりないのかもしれない」


―サウンドというよりは、感性の部分でしょうか

「そうですね。やってる感じとかはあるかもしれないですけど、あまり影響というと…いつも困る質問なんだけど。。曲を作っている時に、“日本のあのバンドみたい”ってことはあまりないかな。フリクションなどの東京ロッカーズのバンドとか、ヒカシューとか普通に好きなんですけど。

極端な事言うと、何故曲が出来ているのか謎なバンドなので。「なんでこれが曲としてまとまったのだろう?」みたいなことが結構あります。自分としても予期せぬことが起きているし、それを起こしていくみたいな」


―それが良い意味でグルーヴになっていたりするのでしょうね

「そうでしょうね」


―『サイハテソングス』のアルバムを貫いているテーマはあるのでしょうか

「さっき言った感じがすごくあって、自分の中でチェンジするとか、前進するとかっていうことが、自分にとっての世界を変えていく、それって良いんじゃない?ということを色んな言い方で言っているというのはありますね」


―進んでいく・変わっていくということですか?

「「動き出す」ということですかね。停滞してしまうことってあると思うんですよね。精神的なこととかも含めて。それを外の力というよりは自分の中から動き出すことのキッカケになる音楽。ほんの些細な感じでも良いんだけど、言ってみたら『サイハテソングス』は暗闇の中で自分に喝を入れているみたいな曲なんです、全体的に。(もうちょっとだけしゃんとしろ、行ってみろ)みたいなことを自分に言っている音楽、かな。「現実のギリギリちょっと上/お前の居場所を作るんだ」って歌詞が『サイハテソングス』最後の曲「L」にあるんですけど、そういうことかなっていう。大体全部同じことを言っているんです。このアルバムは。言い方を変えているけど」


―『サイハテソングス』から「マーキュリー」という曲についてお伺いします。辞書を引くとこの言葉には色々な意味があるのですが、実際は何を指しているのでしょうか。「水星」と「神話の神様」といった意味がありました

「歌っている自分は冥王星、水星が「マーキュリー」で、設定的には冥王星が水星に歌っています。冥王星は太陽から一番遠くて、水星は一番近い。太陽系で一番遠いのが水星から冥王星。ラヴソングなんですけど、冥王星と水星は何があっても物理的に距離が縮まることは絶対にない。でもこの冥王星は歌で水星にエールを送っている。例えば僕が物理的に距離を超えて何処かに行くことはできくても、音楽だとそれが可能で。時代まで超えられる。それは具体的にも、ツアーとかして、僕一人の力でカナダとかに行くことはできないんだけど、音楽があったから行ってるという状況はすごいよね。そういう、距離を超える歌ですかね。なので冥王星から水星へという風にしました」


―ラヴソングでありつつ、音楽があれば時間や距離を超えていけるのではないかという希望を託した曲でしょうか

「そうですね。ラヴソングとして取ってほしいですけどね、僕的には」


『サイハテソングス』より「マーキュリー」

【「サイハテソング」とともにバンドがこれまで培ってきたメロディアスでキャッチーな面が押し出された曲。それぞれに解釈を楽しむべし!気付いたら曲の方から私たちの日常に侵入してくるかも】


―ヴォーカルはこのアルバムではメッセージを伝えるものという形でしたか?

「そうですね、今思うと詩もすごく時間をかけたのです。パッと作って終わりというのではなくて、推敲するのにも時間をかけたから、結果的にメッセージ量が多くなったかもしれない。でも、それが全部伝わってほしいとは思っていなくて、僕が話し出すと小難しくなってくるんですけど(笑)、聴き手には感性で取ってほしい。メロディーと一緒に好きなように取ってくれた方が良いね」


―これからどのような曲を作っていきたいかという野望があったら教えてください。

「今は究極に「キャッチー」なものがいいですね。究極に「ポップ」ではなくて、一生忘れられないような曲。呪いのように(笑)。忘れても、ふと思い出してしまう」


―「サイハテソング」もキャッチーですか?

「よりキャッチーに。(笑)オワリカラといえばあの曲が忘れられない、という曲を作りたいですね。フジロックにも出たい。それも夜のホワイトステージ(2番目に大きなステージ)に立ちたいですね。過去にホワイトステージで見たライヴが良いものばかりで。2004年のゆらゆら帝国とか、忌野清志郎さんとか。いつかあのステージに立ちたいな、そのくらいのバンドになりたいなと。他にもいろいろありますが」


―個人的な話ですが…2012年のフジロックに行きまして、井上陽水さんがグリーンに出ていて、「最後のニュース」で涙しました。笑。。

「その年は自分のツアーで行けなくて。野外で陽水さんを見たことがなくて。最高でしょうね!」


―話は変わりまして2度目のトロント公演となりますが、前回のトロントのお客さんの印象はどのようなものでしたか?

「リアクションは…尋常ではなく盛り上がっていました。日本と全く変わらないですね。それ以上かも。言葉が通じないとかが関係なくて。バンドサウンドとメロディに感動してくれていました。オワリカラ、海外めっちゃイケるじゃん!と思いましたね」


―前回は観光には行かれていないのでしたね?

「あ、ナイアガラの滝には行きましたね。ニール・ヤング(カナダ出身)をipodで聴きながら。この大草原にとても合うな、とか思いながら。今年もナイアガラの滝には行く予定かな。それと、前回一度もサーモンを食べてないので(笑)、そういうところにも行きたいですね。カナダのバンドが見たいというのもある」


―最後にトロントのファンやこのサイトをご覧になっているファンの方々に一言お願いします!

「カナダではまだ知られていない、知っている方が少ないと思うんですけど、一目見ていただけたら間違いがない、言葉を越えて分かって楽しんでいただけるものをやっていると思います。カナダで演奏できるという、ものすごくレアな機会に幸運にも恵まれたので、是非それを見に来てほしい。日本でも期待してくれる人が沢山いて、そういう期待にも応えるつもりでやっていくので、応援してください。」


Information


アルバム紹介 -『サイハテソングス』

「一つの世界観」「歌詞のメッセージ性が強い」とタカハシさんが語ったように、このアルバムは、とても深い世界への入り口となっています。ただし、楽しみ方は人それぞれ。タカハシさんも仰っていたように、感性で楽しく聴いていくのが一番の正解かもしれません。特に表題曲「サイハテソング」はとてもキャッチーで中毒性もバッチリ。「更にキャッチーなものを」と語ったタカハシさんとバンドの今後も楽しみにしたい。

オワリカラHP  www.owarikara.com


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