ナーレ・ファルソンさんインタビュー その1

Photographer Sigrid Ingela Blom

今回はスウェーデンで活躍されているベーシストで、筆者も知り合いの一人に混ぜていただいているNalle Pahlsson(ナーレ・ファルソン)さんをピックアップ!ベーシストでありながらマルチな才能を持ったナーレさんは、今回「Royal Mess」としてソロアルバムを作り上げたのです。これまでのキャリアの集大成といえるものの、これまでのバンドの音からは想像ができない、ストレートで爽快なロックンロール・アルバムとなっています!コワモテなルックス(?)からは想像できない、キュートなお人柄の伝わってくるインタビューをお楽しみください!

まずはナーレさんをご存知ないかたのために、ナーレさんのプチ情報をお届け。(ご本人の許可は取っておりますので、ご安心を。)

☆シンフォニック・メタル・バンド「Therion」、ハードロック・バンド「Treat」、ハードロック&AORバンド「Last Autumn’s Dream」で主にベーシストとして活躍。リード・ヴォーカルではないものの、ヴォーカルも担当。ギターやキーボードも演奏できるマルチプレイヤー。

☆本当の名前「Bjorn」はスウェーデン語で「クマ」という意味ですが、「Nalle」(「可愛い・小さなクマ」)というニックネームで呼ばれています。スウェーデンには「Nalle」という可愛らしいクマのオモチャがあるのだとか。「全然ロックじゃないと思うけどね。」とナーレさん。お人柄がうかがえます。

☆2人のお子さんのパパでもあります。15歳の女の子、Micaさんと、11歳の男の子、Timmyさんのお父さん。Mica(ミカ)さんは今回の新作の12曲目「See You In My Dreams」にバック・ヴォーカルとしてサプライズ出演しています。

☆知人の間では猫好きとしても知られているナーレさん。2匹飼っていらっしゃる猫の名前は、「Stanley」と「Simmons」。KISSのメンバー「Paul Stanley」「Gene Simmons」にちなんでいるのです!

☆KISSのトリビュート・バンド「KYSS」ではGene Simmonsのポジションで活躍。AC/DCのトリビュート・バンド「AB/CD」ではNalcolmと名乗っています。

☆ベーシストとしては地味に屋台骨を支える「縁の下の力持ち」タイプ。音楽仲間からも引く手あまたなのは、彼の気さくな性格もあると思われます。

では、実際の音を聴いてみましょう。



「自分が聴きたいと思う音楽を作った」と正直に語るナーレさん。このPVを一聴するとゴリゴリのロックンロール・アルバムかと思われるかもしれませんが、ソフトな一面もあり、聴いた後に爽やかな気分になれる新鮮さもあるから不思議。


― バンド「Therion」「Treat」「Last Autumn’s Dream(LAD)」のメンバーとして、主にベーシストとしてアクティヴに活躍されてきましたが、まずは何故、ソロアルバムをリリースしようと思われたのですか?

「どのアーティストでも、自分のソロアルバムとか自分自身のアルバムを録音してリリースしたいと夢見ていると思う。僕もそういった想いをずっと胸に抱いてきて、ついに実現させたのさ!ずっと自分のアルバムをリリースしたいと言い続けても、やってみようともしないアーティストもいるなかでね。」

― このアルバムを初めて聴いたときに、びっくりしました。ナーレさんが過去に携わった、どのバンド(Therion,Treat,LAD)とも違うのですが、その要素が中に含まれています。1980年にファンクバンドでデビューして以来、上に挙げた様々な音楽性を持つバンドで活躍されてきて、なぜ今ご自身のアルバムをリリースしようと思われたのですか?

「Royal Messは、僕の音楽的なバックグラウンドの基礎が反映されていると思う。これは僕が小さい頃から一緒に育ってきた音楽そのもので、今日まで愛し続けている音楽なんだ。そういった色々な音楽の影響が聴き取れると思うけど、自分自身から出てきたもので作り上げた。でも、レヴォルーションではないよ。直球ど真ん中のピュアなロック。僕はシンプルでパワーがある音楽が好きで、このアルバムではそのさじ加減がとても上手くいったと思っている。 今のタイミングでリリースした理由の一つとして、約5年前にアルコールをやめたこともあるよ。あいた時間に酔っぱらっていたり、二日酔いだったりなんてこと、今はなくて、その代わりに何かしらクリエイティヴなことをして過ごしているから。今日もとても気分がいいよ! 僕にとってRoyal Messのアルバムは、個人的な勝利を表しているといってもいい。」

― ソングライティングについてですが、KISSやDef Leppard、AC/DCやDeep Purpleなどのハードロックバンドからの影響があります。Royal Messはこういったバンドの影響下にありながら、新鮮です。ソングライティングをする上での秘訣や、気を配ったことがあれば教えてください。


「実際よくわからないけど、自然に自分の中から出てきた曲を書いているだけなんだ。「この曲はKISSみたいだ!」とか思ったことは一度もない。彼らにインスパイアされたから、結果的にそうなっているだけで。たいていのソングライターにとって、それは自然なことだと思う。秘訣がある訳ではなくて、自分が聴きたいと思った曲を書いているよ。」

― ギターソロのパートについて、どのように作っていったのでしょうか。ゲストミュージシャンたちと一緒に作り上げたのですか?


「僕のスタジオでゲストとギターソロを作ったのは、一つだけ。The Poodles(プードルズ)のギタリスト、Henrik Bergqvistが来てくれたよ。(※1)他のソロは全て、ゲストミュージシャンのスタジオで録られていて、後でファイルを送ってもらった。こういう作り方はよくあることで、ゲストがカナダ人であれ、スウェーデン人であれ、日本人であれ、どこであっても全てはインターネットで時間を置かずに簡単にできるようになった。アルバムのゲストは全員、何年もの付き合いがあったり、一緒に演奏したりした、僕の仲間や同僚だよ。皆に「僕のアルバムに参加したり携わったりしたい?」と聞いたら、全員が「うん」と言ったのさ。とても幸せなことだと思っているよ。(※2)」

― このアルバムでは全編を通して、感情面でのハイネスや、感情の上がる明るさがあると感じられました。こういった感情の上がる曲を作ったのは、意図的なものでしょうか。

「実際に今日こんなに気分が良いし、ポジティヴなヴァイヴがアルバムから出ているのだと思う。それを聴き取ってもらえて嬉しいよ。怒りを込めている曲もあったり、攻撃的なリリックを含む曲もあるけど、決して苦しみについて歌っているのではない。必ず苦しみを取り除いてやる!必ずここから脱してみせる!といった種類のものだ。昔僕がおかした間違いなどのようにね。」

― 「The Pieces of My Heart」 「See You in My Dreams」といったバラードがノリノリのロックンロールの間に収められています。特にエレクトロニックなバラード「The Pieces~」は筆者の気に入りです!ナーレさんは、この曲をどう位置付けていますか?

「The Pieces~」は他とちょっと違う。何故かは僕にも本当に分からない。この曲を書いた時、何からもインスパイアされなかったんだ。ただそういう風に生まれてきた。コーラスはちょっとAORっぽいけど、韻(詩)は神秘的で。ちょっと風変わりかもね。だけど、そこが気に入っているよ。 」


※1ヘンリック・ベリクヴィストが参加したのは、アルバム9曲目に収録されている「Trip」。
※2アルバムの“Salute List”には、非常に多くのミュージシャンが名を連ねています。“Special Thanks””A Very Special Salute”など、アルバム最終頁に製作にかかわった人々の名を連ね、このアルバムへの思いの丈を綴っているナーレさん。お人柄がよく出ているブックレットにも注目したい。


Information


(Nalle Pahlsson's)『Royal Mess』$18.29(amazon.ca価格)

ノリノリの「Aces High」から始まり、その後も豪快にハードに突き進むロックチューンが心地よく続いていく。ちなみに「Aces High」はIron Maidenの同曲とは関連性がなく、彼の兄弟のベニーや父親らへのトリビュート・ソングになっている。「The Pieces Of My Heart」「See You In My Dreams」の2曲のバラードでグッとくるリスナーも多いはず。



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