蔵の道其の三(2012年9月21日記事)

女性杜氏について

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前回は蔵元=杜氏という日本でも最新の流れの酒造りを紹介しました。
日本酒を造る「杜氏集団」というのは全国にあります。三大杜氏として岩手の「南部杜氏」、新潟の「越後杜氏」、兵庫の「丹波杜氏」がありますが、そのほとんど全てが男性の杜氏、男性の蔵人です。
しかし、ここ数年の流れで、酒造りを目指す女性が増えてきたのも事実です。南部杜氏協会では数年前に、長い歴史の中で初めて、女性の南部杜氏認定者が生まれました。彼女は当時、若干30歳で難関の南部杜氏試験を突破。技術面でも5年以上酒蔵の中心的な仕事をしており、技術評価も非常に高かったそうです。ちなみに南部杜氏試験は、テストが100点でも杜氏とはなれません。実務評価も非常に重要視しており、その面で、初の認定女性杜氏が生まれたことは岩手県だけではなく、日本全国に大きな話題を振りまきました。
また、蔵元の娘が杜氏の役割を担っているところも多く、同じく岩手県では「月の輪」というお酒の蔵元は長女、横沢裕子さん(写真)が今年から杜氏の役割を担い、1年目の杜氏でありながら、何と全国鑑評会で金賞を受賞するという快挙を成し遂げました。彼女はまた、メディアなどにも取り上げられることも多く、オーナー杜氏でしかも女性、という特殊性から、女性へ日本酒をもっと浸透させることにも力を入れており、様々な方面で活躍をしている輝く女性です。
その他、栃木県の「開華」という蔵元は、奥様が酒造りを担当。こちらも全国鑑評会で多数の金賞を受賞しています。この蔵元の奥様は、商品開発やきき酒師の授業の講師などもやっており、各方面で大活躍をしています。
海外輸出に力を入れている蔵のお酒では、何と言っても広島県の「富久長」の今田美穂さんがここ何年も杜氏として活躍しています。彼女の造る軟水仕込みのお酒は日本だけではなく、世界で評価される唯一の女性杜氏の酒です。
これらの女性杜氏が一堂に集まるサミットも日本では毎年開催されており、日本の酒蔵における女性の重要度は日増しに高まっております。
男性だけの世界に殴り込みをかけて乗り込んできた女性杜氏。彼女達の持つ価値観は、間違いなく男性杜氏のそれとは大きく違います。昔は酒蔵の中は女人禁制でしたが、時代も変わり、女性の持つ繊細さは酒造りにおいてはとても大きな力になります。いつか、カナダで女性杜氏のお酒のテイスティングが出来ることを願っています。



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