蔵の道其の四(2012年10月19日記事)

防腐剤は使っていません!

現在日本酒は海外輸出が非常に好調です。リーマンショックや2011年3月11日に発災した東日本大震災を乗り越えて、海外に住む日本人の方々に愛飲されています。さらにカナダでは、カナダ人が和食と共に日本酒を飲みはじめてくれている事もあり、カナダへの輸出は日本酒全体、そして南部美人としても年々増えています。
そんな中、私が輸出をはじめた時に、多くの海外在住の日本人の方々から以下のように言われました。
「久慈君の今飲ませてもらっているお酒は日本からあなたが持ってきたものでしょう。こちらで売っている日本酒は全部防腐剤が入っているからまずいんだよね。」
当時、まだ20代だった私は、非常に驚きました。
ここで改めてお話しますが、日本酒は国内で販売されているもの、海外で販売されているもの、その全てで防腐剤の使用はありません。そして、大手の酒造メーカーだろうと、地方の小さな地酒蔵だろうと、同じように防腐剤の使用は出来ません。
picture そもそも防腐剤が入った日本酒というのはいつの時代まであったのでしょうか。日本酒に添加できた防腐剤はサリチル酸で、これは昭和50年以前に法律で禁止されました。その後は牛乳と同じかそれ以上に繊細な熱殺菌(火入れという)のみで日本酒は殺菌されています。お酒の温度を60度から65度まで上げて熱殺菌をし、すぐに冷やすことで殺菌をしながら、風味を保っているのです。
昔は、輸出用の日本酒は冷蔵コンテナや冷蔵輸送、そして現地の問屋さんの冷蔵管理が不十分な点もあり、温度変化などで劣化したものが多かったと聞きます。防腐剤が入ってる、入っていないにかかわらず、このような品質の大きな変化があったことで、結果的にお酒がまずくなり、「防腐剤が入っているから、海外で飲む日本酒はまずい」という誤解につながったこともあるかと思います。
しかし、現在のように冷蔵コンテナで日本を出発して問屋さんの冷蔵庫に入り、数本からレストランの冷蔵庫へデリバリーできるシステムが出来上がるなど、日本酒は非常に保存状態の良いまま海外へ届けられます。
防腐剤などに頼らなくても、江戸時代から行なわれていた「火入れ」のみで現在の日本酒は殺菌されていますので、くれぐれも管理には注意をはらって、美味しい状態で飲んでいただければと思います。


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