蔵の道其の五(2012年11月16日記事)

生酒とは

前回のコラムでも書かせていただきましたが、日本酒では防腐剤は一切使っておらず、「火入れ」という熱殺菌のみで国内用も海外用も殺菌をしています。
この「火入れ」ですが、日本酒をしぼってから約1か月後くらいに酒質が安定した頃、一度いたします。そしてタンクで日本酒を貯蔵後、瓶詰めする際に割り水、ろ過をして、再度火入れをして出荷します。一般的な日本酒はこの2回の火入れをして売り出されます。この「火入れ」という日本酒独自の殺菌方法については、後日、時間をしっかりと取って、お話させていただきますね。
picture ここ20年で、日本国内では火入れ殺菌をしない「生酒」の流通が非常に多くなりました。
生酒は火入れ前の無殺菌の日本酒ですので、昔は蔵から出荷されることはありませんでした。冷蔵管理をする、という概念がまだ無かった時代の話です。日本酒が一級、二級という等級で売られていた時代、昔の日本酒の販売店は、日本酒の冷蔵管理など考えられなかったのです。
しかし平成の時代になり、新潟をはじめとする地酒のブームが起きました。地酒は日本全国から発掘されて売られ始めましたが、他の蔵との差別化をするために、日本酒専門店に特化した酒販店さんが、蔵にお願いして火入れ殺菌をせずに、生のままの日本酒を出荷してもらうようになりました。もちろん、蔵元だけでなく酒販店さんもしっかりと冷蔵管理し、買った方にも冷蔵管理をお願いしてこの生酒は次第に普及し始めました。通常のお酒とは違い、「生酒」という付加価値もつけられ、希少な日本酒として地酒ファンの間で瞬く間にその人気が広がっていきました。
一切火入れ殺菌をしませんので、生酒は非常にフレッシュでフルーティーな風味を持ちます。火入れした日本酒とは異なる次元の美味しさを楽しむことが出来ます。カナダでは現在このような生酒を飲むことはほとんど出来ませんが、トロントで酒造りをしている「泉」という蔵元が、生酒を市販流通させていらっしゃいます。トロントに居ながらにして日本の蔵元の生酒に近い味わいを楽しむことが出来るでしょう。
さらに、カナダの流通環境が今後整えば、日本からの生酒をカナダに入れることが可能になります。ぜひ、「泉」の生酒と飲み比べしてみてください。


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