蔵の道其の七(2012年1月18日記事)

原料米の話

日本にはたくさんの種類の米があります。「コシヒカリ」「ササニシキ」などは、食べておいしく、日本ではもちろん、今では海外でも有名で、海外の高級な和食レストランや意識の高い消費者の方々に食べられています。日本酒は様々な米を使い造られます。しかし、この日本酒を造る米は食べて美味しい米とは全く違います。食米と酒米の等級審査の審査基準が全く違うからです。酒米には一等の上に特等、特上という等級があります。それには心白といわれる、米の中心部が白くにごっている部分の発現などが非常に重要になってきます。しかしこの心白は、食米であれば、等級を下げてしまいます。

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このように、食べる米と酒を造る米では全く違うものを用いるのが普通です。その酒米で一番有名なのは「山田錦」という兵庫県を原産とするものでしょう。そのほかにも「雄町」「五百万石」「美山錦」など、全国の酒蔵で使用されている酒米があります。これらの米はもちろん素晴らしいのですが、現在、東北では各県で1つの酒米を開発して、県のオリジナル酒米で本当の意味での地酒を造ろうという動きが定着しています。青森県の「華想い」、秋田県の「酒こまち」、岩手県の「吟ぎんが」「ぎ んおとめ」、宮城県の「蔵の華」、山形県の「出羽燦々」、福島県の「夢の香」などです。全てが新しく開発された酒造好適米認定の米です。

地酒である以上、地元の米で酒を造りたい、そのような思いで東北の蔵元は現在酒造りに挑んでいます。南部美人でも岩手県オリジナル品種の「吟ぎんが」で純米吟醸、「ぎんおとめ」で特別純米酒を造り、世界中に輸出しています。しかも「ぎんおとめ」は地元の農家と契約栽培し、無化学肥料減農薬栽培で行なっています。この米は岩手県が認定する特定栽培米にも指定され、非常に価値の高い米と言えます。

米が違えば必ず酒の味も変わりますし、県が違えば酒造りの方向性も違ってきます。そのように、こだわりを持つ蔵元の地酒は本当に美味しいです。東北の地酒は、新しいオリジナル酒米で醸されたものがカナダにも輸出されています。是非各県のオリジナル酒米で出来た地酒の飲み比べを楽しんでみませんか。


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