蔵の道其の十二(2012年 6月22日記事)

お酒のしぼり方

日本国内で定められている日本酒の定義の中に「米と米麹を発酵させこしたもの」というものがあります。日本酒は「もろみ」のままでは日本酒と定義されませんので、必ず「しぼる」必要があります。「しぼる」ということは、発酵しているもろみを「酒」と「酒粕」に分けることをいいます。

この日本酒のしぼり方ですが、色々な方法があります。1番一般的なものは「ヤブタ」といわれる大型の機械でしぼる方法です。これは「しぼる」というよりは「もろみをろ過する」と言うほうが正しいほど、綺麗にお酒と酒粕を分けることが出来ます。もう1つの方法として「ふね」という昔からの道具を使ったしぼり方があります。こちらは縦50センチ、横20センチくらいの袋にもろみを入れて、その袋を横にしながらふねの中に重ね、上から圧をかけてしぼる方法です。こちらのほうが「ヤブタ」よりも古くからある方法で、圧力のかけ方も、現在では電力で押していますが、電機が無い時代はテコの原理で、大きな石や重しを使いしぼったそうです。この「ふね」でしぼる方法は、現在でも大吟醸のような高級酒で採用しています。なぜなら「ヤブタ」と違い、機械の力で強く圧力をかけず、優しく、自然にしぼれるので、上品な酒質に仕上がりますから、大吟醸などには適しています。

さらにもう1つ、鑑会などコンテストに出すお酒にのみ使用される究極のしぼり方があります。それが「雫しぼり」です。こちらも「ふね」に使う袋と同じくらいのサイズのものを使い、それを20個から30個、小さなタンクの中につるしておくだけの方法です。これだと、一切圧力がかからず、自然の重力のみで滴り落ちてくる「雫」の部分だけをとることが出来ます。このしぼり方ですと、お酒に必要な味だけ落ちてきますから、一切の雑味などを排除することが出来ます。鑑評会などで、一瞬の煌きで評価されるお酒にはもってこいのしぼり方です。ただし、ほとんどお酒としてしぼることが出来ませんから、市場に流通することはまずありません。

さらに現代では、遠心分離を用いた特殊なしぼり機の開発により、この雫酒と同じような味わいを実現している蔵もあります。山口県の「獺祭(だっさい)」もこの方法 を一部のお酒に採用しています。このようにしぼり方で様々な味わいになる日本酒。今度はしぼり方にも注目して味わってみてください。



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