蔵の道其の十三(2012年 7月19日記事)

にごり酒とは

日本国内で定められている日本酒の定義の中に「米と米麹を発酵させこしたもの」というものがあります。日本酒は「もろみ」のままでは日本酒と定義されませんので、必ず「しぼる」必要があります。と前回のコラムで書かせていただき、日本酒のしぼり方についてお話させていただきました。

日本酒の定義上、「酒」の部分と「酒粕」の部分の両方を出さなければいけないというわけで、発酵しているもろみから、酒粕が出る割合はだいたい25%から40%くら いです。これが大吟醸などの超低温発酵のものになると50%を超える酒粕が出ることもあります。そんな中で、「にごり酒」とはどのようなお酒になるのでしょう。 にごり酒はもろみを荒くしぼる方法が取られており、日本で最も有名なにごり酒の蔵は、京都の「月の桂」さんです。この蔵は、上記の酒税法の解釈からのにごり酒の定義を確立させた素晴らしい蔵でもあります。

にごり酒は、通常「ヤブタ」や「ふね」といったしぼり機でしぼる前に、ザルや網などの目の粗い器具を使い、荒くしぼったお酒が多いです。ただ、酒粕は酒税法上出 さなければいけません。にごり酒をしぼっていると、この酒粕の量がかなり少なくなります。また、このように荒くしぼる方法以外では、ふねでしぼった場合や「雫しぼり」をした時は、最初にほとばしり出てくる1 番しぼりの部分がにごっていますので、その部分だけを別に囲ったお酒もあります。よく「あらばしり」といわれる部分になります。通常、ヤブタでしぼった場合は、この「あらばしり」の定義が難しいのですが、ふねや雫しぼりでは薄くにごっている最初の部分を「あらばしり」として定義できます。そしてその後、お酒が澄んできたところを「中取り」といいます。

この昔からの薄くにごった「あらばしり」ですが、最近ではほとんど見ることが出来ません。もう1度タンクに戻してしぼりなおしてしまうからです。南部美人ではあまりにもこの部分がおいしすぎるため、10年くらい前から商品化しています。「大吟醸初ばしり」といい、2月と3月限定販売のお酒です。毎年桜の花の時期に重なるので、花見をしながらこの薄にごり酒に桜の花びらを浮かべて風流を楽しみながら飲んでいます。海外での販売は数が非常に少ないため難しいかもしれませんが、いつか試飲会などに持参したいと思います。楽しみにしていてください。



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