蔵の道其の十七(2013年 11月15日記事)

貯蔵について

今回は日本酒の貯蔵についてお話したいと思います。
日本酒は前回までのコラムでもお話したとおり、火入れをして殺菌していますので、その昔は常温での貯蔵でした。現在でも大手の酒蔵では、普通酒と言われる経済酒などは常温での貯蔵が普通ですが、地酒の蔵元は吟醸酒や純米酒などの特定名称酒に関しては冷蔵貯蔵を推進しているところが多いです。

南部美人では、普通酒から高級酒の大吟醸まで、全量マイナス10度からプラス10度の様々な冷蔵庫でそのお酒に適した冷蔵熟成温度で貯蔵しています。
常温で貯蔵するお酒は劣化が早く、ヒネ香や色の茶褐色への変化が早く現れます。ですから、出荷する前に炭素ろ過をして色を透明にし、香りや味を矯正してヒネ香や色などを取り除き商品として出しております。
冷蔵貯蔵をしているお酒は、常温貯蔵のお酒と比べはるかに劣化のスピードが遅く、フレッシュな状態が長続きし、お酒の熟成もゆっくりとすすみ、香りや味の変化などではなく、味のまろやかさが前に出てきます。
よって、冷蔵熟成のお酒に関しては、炭素ろ過をしないお酒が多いです。

生酒に関しては、もちろん冷蔵での貯蔵が絶対条件となります。なぜなら、前にもお話したとおり、日本酒を腐らせる火落ち菌を殺菌していませんから、高い温度で貯蔵するとたちまち火落ちして腐ってしまいます。よって生酒に関しては蔵元ではもちろん必ず冷蔵庫での貯蔵が必 要になり、さらには問屋さん、酒販店さんなど流通段階でも冷蔵庫での保管が必要になり、購入したお客様にも冷蔵庫での保管をお願いしています。生酒は製造する側も、取り扱う流通も、そして購入するお客様も「冷蔵管理」という大変な作業が必要になるぶん、火入れのお酒には無い、素晴らしい魅力を持ったお酒となります。

Sakekasu 蔵では火入れのお酒は、この熟成の度合いを見計らい、一番良い状態のものを商品として順次出荷していますので、炭素ろ過していない冷蔵貯蔵のお酒に関しては、1つの種類のお酒を春夏秋冬の季節の熟成度合いを楽しみながら飲むことが可能になります。

日本酒は、こうやって冬に造られたものを、それから1年から1年半かけて販売をしていくのです。手間と暇を惜しまずに仕込んで、さらに出来上がったお酒をしっかりと管理して出荷し、心ある低温管理のできる問屋さん、酒販店さんの素晴らしい流通に乗ったお酒は、蔵から出荷した時点よりも、お客様に届いたときにははるかにおいしさが増しています。地酒を購入する際には、冷蔵貯蔵がしっかりとされている酒販店さんや、飲みに行く際には冷蔵貯蔵がしっかりとされているレストランで飲むと、地酒のおいしさを100%味わうことができます。



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