蔵の道其の十八(2013年 12月20日記事)

生にも種類があるんです

今回は日本酒には「生」と表示されているものでも3種類の「生」があるお話をさせていただきます。「生」という字が入るお酒は「生酒」「生貯蔵」「生詰め」の3つがあります。
「生酒」とは、前のコラムでもお話した通り、一切火入れ殺菌をしないお酒です。そのため、味わいはフレッシュでフルーティー、飲んだ時にとても感動する味わいになります。ただし、一切火入れ殺菌をしておりませんので、取り扱いや保存が難しく、必ず「冷蔵」での輸送と貯蔵が必要になります。

Sakekasu 「生貯蔵」とは、しぼったお酒を「生のまま貯蔵」して、出荷の直前に瓶詰めする際に火入れをして出荷するものです。瓶詰めする際に火入れをするのは、普通のお酒でも当たり前の事なのですが、生で貯蔵しているお酒ということで「生貯蔵」となります。
「生詰め」とは、しぼったお酒を1度火入れします。その後タンク貯蔵しているお酒を瓶詰めする前に、火入れをせずに詰めます。よって商品自体は瓶詰めのときに殺菌されないので、生と同じ状態、つまり冷蔵で管理しなければいけなくなります。
つまり純粋な「生酒」以外は全て「1度火入れされている」ということです。
この3つの中で1番多いのが「生貯蔵」です。これは大手のお酒も商品として販売しているものが多いです。しかしラベルの表示で「生」を大きく書いて、小さく「貯蔵」と書いている蔵が多く、中には愛飲者の皆さんの誤解を招きかねないと指摘されています。
また生詰めのお酒は、地酒の蔵元に多く見られます。生のままの貯蔵ではどうしても「生ヒネ」という劣化現象が現れるため、早めに火入れをして品質を安定させます。瓶詰めする時には2度目の火入れをして味を落とすのを嫌い、そのまま瓶詰めをして商品としているものが多くあります。

南部美人でも純米吟醸ひやおろしが生詰めのお酒となります。今現在、カナダではトロントで造られる「泉」という日本酒が「生酒」を積極的に商品として出しています。現地生産ですので、日本から持ってくる日にちのロスが無い分、フレッシュな味を楽しむことが出来ます。
さらに、今後は海外でも「生酒」と「生貯蔵」「生詰め」という、3種類の「生」の違いを楽しめる時代が来るかと思いますので、楽しみにしていてください。



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