蔵の道其の十九(2014年1月24日記事)

甘酒

皆さんは甘酒というとどんなものを想像しますか? ほとんどの方は酒粕に砂糖を入れて温めたものを想像するのではないでしょうか。
実は、このような甘酒ももちろんあるのですが、本来の甘酒は麹と水だけで造るものを指します。このように麹と水で造られた甘酒は「飲む点滴」といわれるほど栄養価が高いのが特徴です。まず、アミノ酸が豊富に含まれます。米のタンパク質が麹菌の出す酵素によりアミノ酸に分解されるからです。必須アミノ酸と呼ばれる体内で合成できない10種類のアミノ酸を最も多く含む食品の1つともいわれています。

Sakekasu

さらにビタミンが豊富です。発酵される段階でビタミンB1、B2、パントテン酸、イノシトール、ビオチンなどのビタミンが生まれます。美肌づくりや疲労回復などの効果があると言われています。さらにブドウ糖が多く含まれます。麹と水でつくる甘酒の甘さは砂糖などの添加の甘さではなく、米の澱粉が麹菌の出す酵素によってブドウ糖に分解されたため生まれます。甘酒には20%以上ものブドウ糖が含まれています。ブド ウ糖は脳の唯一のエネルギー源で、摂取すると集中力を高められると言われています。

そのため甘酒は、江戸時代には夏場に好んで飲まれていました。現代のように疲労回復の栄養剤やドリンクが無い時代です。夏バテ防止の意味で、当時の文献には江戸や京都、大阪といった大都市で夏になると多くの甘酒売りが街に出ていたと記録されています。

当時の生活ではクーラーはもちろん無く、人々は甘酒などを上手に飲むことで、疲労回復や夏バテを上手に防止してきたのでしょう。これらもあって、甘酒という言葉の季語は「夏」となっています。

しかし知っている方は少ないのではないでしょうか。甘酒ですが、麹が手に入れば炊飯器を利用して作ることが出来ます。海外では麹自体を手に入れることが難しいですが、もしも手に入ったら本来の甘酒作りに挑戦するのも面白いですね。

最後に、この麹と水で造る甘酒に米を入れて酵母によって発酵させたものが「日本酒」です。皆さんもちょっと変わった視点から今度は日本酒を楽しんでみてはいかがですか?



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