蔵の道其の二十一(2014年3月21日記事)

漫画の中の日本酒

日本を代表する産業の一つに「漫画」があります。これはアニメも含めて、日本の誇る素晴らしい文化の一つだと私は思っています。
実は、日本酒はこの「漫画」と切っても切れない縁があるのです。日本酒の漫画として、とても有名な作品に尾瀬あきら先生が描い た『夏子の酒』があります。これは大手の機械での酒造りとは違う、手造りの日本酒の素晴らしさ、そして亡くなった兄の後を継ぎ、蔵元の娘が苦労の末幻の米を復刻栽培し、その米で最高のお酒を醸していく過程が、リアルに表現され、私も大学時代にはバイブルにしておりました。

この『夏子の酒』はテレビでドラマ化されたので、そちらを見た方も多いのではないでしょうか。また、同じく尾瀬先生が執筆している『蔵人(クロード)』という漫画もあります。こちらはなんとアメリカ出身の日系人が主人公で、日本に住む外国籍青年が酒造りをして、自分のルーツを探る、というとても興味深い内容になっています。日本酒の国際化、という流れの中ではとても面白い作品となっています。

Sakekasu

このほかにも、現在でも色々な日本酒の漫画が販売されていますが、その中でもとても人気のある日本酒というか発酵文化を題材にした漫画があります。『もやしもん』といい、青年漫画雑誌の『モーニング・ツー』で今年1月まで連載をしていました。石川雅之さんが著者で、某農業大学に在籍する菌がリアルに見える主人公のお話です。

私達のように東京農業大学を卒業した蔵元には、まさに身の上話のような親近感があり、日本酒だけではなく日本の発酵の素晴らしさを描いてくれているので、読んでいてとても勉強になります。さらにこの『もやしもん』は2回もアニメ化され、さらには実写版ドラマも放送されまし た。そしてここで登場する「見える菌」のキャラクターがとてもかわいらしく、一部ではこのキャラクターのぬいぐるみも発売されたり、漫画の中で出てくる日本酒を造っている蔵元が、特注で『もやしもん』のために「醸すぞ」というお酒を造って販売したりなど、日本の醸造業界では結構ディープな流行となっています。

話自体もとても面白いので、是非チャンスがあれば読んでみてください。きっと、日本酒だけではなく、日本の発酵文化の虜になると思いますよ。漫画は日本が誇るソフトカルチャーの1つです。同じく日本が誇る伝統文化の1つの日本酒とまじりあったとき、海外での評価は一段と高まると感じています。



<「蔵の道」一覧へ

<コラム一覧へ