蔵の道其の二十三(2014年6月6日記事)

ドブロクの話

ドブロクというと、一昔前までは「密造酒」を意味し、酒類を管理監督する国税庁では禁句として取り扱われていました。
実際に昔は農村では自分たちで収穫した米の一部を使い、自家製のにごり酒「ドブロク」を町ぐるみで造っていた地域もありましたし、それが伝統文化として影ながら伝わってきた地域もありました。なぜドブロクは駄目だったかと言うと、酒税を納めていないため、脱税行為とされておりました。今では日本の国税の中で、酒税が占める割合はかなり少なくなりましたが、その昔は、国税の中の大きな部分を酒税が占めていた時代がありました。

よって、密造酒である「ドブロク」をたくさん造られると、税金の徴収が減ると考えられ、厳しく取り締まられた時代がありました。実際に、調査官がその地域にやってくると、警報が鳴り、裏庭や川に調査を逃れるためにドブロクを捨てた時代もあったそうです。

そんな「ドブロク」ですが、実は今、日本全国で地域おこしの道具として使われています。規制緩和の1つで、いわゆる「ドブロク特区」という制度が制定され、岩手でもたくさんの地域でこのドブロク特区が認定され、現在では「合法」で飲むことが出来ます。このドブロク特区ですが、色々と制限が多いのも事実です。私たち蔵元は米を自由に農家から買って酒を造れますが、ドブロク特区では自分で作った米でしかドブロクを製造できません。また、ドブロクは日本の酒税法では「日本酒」としては認められず、「その他の雑酒」として、日本酒のカテゴリーからははずされています。

当初は日本の蔵元もドブロク特区に対して、厳しい見方をしていましたが、私はむしろ、地域の発展につながるのなら、素晴らしい制度だと思っていました。何よりも、我々はプロとして酒造りを100年以上続けていますので、品質的に負けるはずが無いとも思っていました。しかし、現在ではドブロクのレベルもどんどん上がってきて、本当においしいと感じるドブロクも多くなりました。さらには、ドブロクだけを集めた鑑評会なども開催されるようになりました。

まだ海外への輸出はこのドブロクでは出来ませんが、近い将来、ドブロクの輸出が出来る時代も来るのかな、と考えてしまうほど、今の日本のドブロクは非常に盛り上がっているのです。



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