蔵の道其の三十一(2015年2月6日記事)

カップ酒ブーム

数年前から、日本でカップ酒に人気が集まっています。「カップ酒? なんだかおやじっぽい」と思われる方もいらっしゃると思いますが、昔のカップ酒とは全く違うデザインや中身にすることで、若い女性や日本酒になじみのない方々が楽しんでいます。

このカップ酒のブームですが、特に東京都内ではおしゃれなバーやワインバーなどで、カップ酒を取りそろえ、10種類や20種類のカップ酒を提供しているお店もあります。また、居酒屋さんでもカップ酒を取りそろえ、それをキーンと冷やして提供したりしています。その中でも草分け的なお店が恵比寿にある「立喰酒場 buri」。ここでカップ酒を積極的に取りそろえたことがマスコミなどで話題になり、次第にスタイルの似たようなお店に浸透していきました。

地方でも、岩手県の盛岡駅では、新幹線出口を出てすぐのところに、立ち飲みのカウンターだけの小さなお店がありますが、ここのお酒は岩手の地酒のカップ酒をそろえており、手軽に美味しく地域のお酒を楽しむことが出来ます。


カップ酒は1種類よりも、何種類も取り揃えて、それを冷蔵庫などに並べて見せることで、わくわく感を醸成します。特に今回のカップ酒のブームをけん引する東京都中野区の地酒専門酒販店の「味ノマチダヤ」さんでは、私も含め、蔵元と協議をし、純米酒や特別純米酒といったクラスの「ちょっと良いお酒」をカップ酒にしてもらうことにしました。

今までのカップ酒は「普通酒」と言われる安いタイプのお酒を詰めて、安い価格で手軽に飲むものでした。そのイメージが強いため冒頭の「おやじっぽい」につながるのですが、ここをまず変えて、中身をちょっとプレミアムにすることで、味のイメージを変えました。味ノマチダヤさんは、中身のお酒のグレードをほぼ一緒にし、価格も小売価格で400円から600円に統一しました。さらにカップのデザインを蔵元ごとに工夫させたのです。

蔵元同士が競い合い、オールドタイプの伝統的なカップデザインから、斬新なカップのデザインまで様々なものを取りそろえることで、カップ酒を「玩具」のようなイメージにしました。中身は安心の純米酒、純米吟醸です、そのうえ、お客さんの好みのデザインを探してみませんか、という形をとり、これが大ヒット。日本酒は難しい、という若い女性にカップ酒は「かわいい、おもしろい」のイメージが最初に出ることで大成功したのです。


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