蔵の道其の三十四(2015年5月1日記事)

酒蔵で落語

毎年酒蔵は6月から8月の間は、静かに眠っています。日本酒は夏の間、静かな眠りの中で熟成を続けており、酒蔵はこの時期、しんと静まり返っています。

そんな中で、この休んでいる間の酒蔵を使って、何かイベントが出来ないかと考えてきました。そこで、世界で1番おいしいお酒は酒蔵で飲む酒だ、ということと、ぜひ酒蔵に来てお酒を飲んでもらいたい、という思いから、酒蔵での落語会を行なうことにしました。同じ日本の伝統文化の1つでもある「落語」を休んでいる酒蔵でやっていただき、同時に日本酒も楽しんでもらう会です。

夏の酒蔵は外気温が30度になろうとも、中は非常に涼しく快適で、まさに夏にイベントをするには最高の状態です。 そんな酒蔵で、江戸落語の名匠、三遊亭鳳楽(さんゆうていほうらく)師匠をお迎えして、本格的な江戸落語を楽しみました。その後は鳳楽師匠を囲んで、酒蔵で二戸地域の食材をふんだんに利用したおつまみをいただきながら、蔵出し原酒を堪能しました。


お客さんは地元以外の遠方からも多くおいでになり、80名の定員がすっかりオーバーしてしまい、100名近くのお客さんで蔵は満杯になりました。

本格的な江戸落語を生で聴く機会は、この田舎の岩手ではなかなか無く、落語ファンもそうですが、落語をあまり知らない日本酒ファンも鳳楽師匠の本格江戸落語に心酔しておりました。

その後の鳳楽師匠を囲んでの懇親会の場でも、師匠が余興で一席落語を特別披露してくれたりと、本当に素晴らしいイベントとなりました。

落語も日本酒も日本を代表する伝統文化です。ともに人々を心酔させるということにおいては同じ立場にあり、落語は噺で心酔させ、お酒はその味わいで心酔させます。

この日本を代表する伝統文化の共演こそ、日本人として最高のぜいたくを味わっているのではないかと感じました。 出来ることなら海外に住んでいる方々にも、この共演をぜひ味わってほしいと思います。


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