蔵の道其の三十五(2015年6月5日記事)

日本最古の飲料自動販売機

世界にはたくさんの自動販売機があふれ、特に日本はその中でも自動販売機天国と言われます。ジュースはもちろん、お酒やたばこまで自動販売機で気軽に買えるのは便利ですが、色々と青少年の飲酒喫煙問題などでも度々自動販売機の是非は話題になります。

そんな自動販売機ですが、飲料の自動販売機はいつ頃からあるのでしょうか?

南部美人の昔の蔵から発見された日本酒の自動販売機、これは今、二戸歴史民族資料館に寄付しておりますが、この度、日本の国立科学博物館の技術の系統化調査報告書で日本最古の飲料自動販売機と報告されました。

この日本酒の自動販売機ですが、5銭白銅貨を入れると、ゼンマイ仕掛けで動くもので、外側の箱の部分は木でできております。

特徴として面白いのは、日本酒の注ぎ口のほかに、水が出る注ぎ口もあり、お猪口を自分でその場で洗えるのも面白いと思いました。

なぜこのような古い日本酒の自動販売機が見つかったかというと、実は私の祖父がこの自動販売機を導入しました。


昔は酒蔵の軒先では「もっきり屋」をしており、仕事帰りの方々が立ち寄り、もっきり(茶わんやコップに盛り切り一杯ずつ売るお酒)で飲んで帰るのが普通だったそうです。

当時は専属のお酒をサービスする人がいて、瓶からお酒を一合入るお猪口に入れて飲んでもらっていましたが、お猪口の下に皿をおいて、そこにお猪口からこぼしてサービスするのが普通だったそうです。こぼした分、お皿にあふれたお酒の分だけ多く飲めるということですね。

しかし、人件費抑制? の目的だったのかどうかわかりませんが、新しいものが好きな私の祖父はこの日本酒の自動販売機を導入しました。

そしたら、これが大失敗。機会は正確に一合をはかってつぎますので、いままであふれさせていてサービス分のお酒がなくなり、お客さんはケチられたと大不評だったそうです。それで、そのままお蔵入りしたので、非常に状態がいいものが出てきたというわけです。

やはり機械についでもらうのと、人についでもらうのでは、人についでもらうのが今も昔も良いということなんですね。


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