蔵の道其の三十九(2015年10月2日記事)

商標問題について

今、日本酒は世界中に輸出され、カナダはもちろんですが、アジア、特に中国や韓国でも大きくその輸出量を伸ばしています。現地から「美味しい日本酒が飲みたい」という要望が多いので、このように輸出量が増えていますし、近年は日本政府のクールジャパン戦略も後押しして、官民あげて日本酒の海外輸出を盛り上げているのですが、ここ数年で商標登録の侵害の問題が起きています。

日本のフジテレビ系列の「めざましテレビ」でも取り上げられましたが、中国で「南部美人」という商標が第3者によって登録されてました。それを私たちは早めに知ることができたので、異議申し立て申請を期間中に申請することができました。しかし中にはすでに商標登録が完了して、意義申し立てもできない状態の銘柄もあります。そうなってしまうと、商標が無効であると裁判で戦わなければいけなくなり、異議申し立てよりも非常に多額の裁判費用がかかってしまいます。小さな蔵元ではそのような費用を出すことが出来ず、泣き寝入りしなければいけない状態になることもあります。


日本酒造組合中央会の調べでは、少なくとも日本酒で18銘柄、焼酎で7銘柄が現時点でこのような被害にあっているとのことで、中には「越乃寒梅」のような超有名な銘柄も含まれます。

これは中国だけではなく、実は韓国でも同様の商標登録の侵害の問題があり、韓国では現在日本酒の超辛口のお酒に使われる「鬼殺し」という銘柄をめぐり、長期的な裁判を行なっていると聞いています。日本ではこの「鬼殺し」という銘柄は特定の酒蔵が独占することはできません。様々な蔵が超辛口のお酒に使っている代名詞的な存在です。

このように数少ない心無い方々のために、私たちは苦労していますが、中国や韓国がだめだとか、そういうわけではありません。小さい蔵元でも銘柄に力があれば、このように商標登録されるということは、それだけ日本酒の持つ可能性がビジネスとして大きいということです。蔵元もこれからは輸出する前には商標登録をしっかりと調べ、卑屈にならず、前向きにしっかりと進んでいくことが必要です。それこそが国際社会でビジネスしていく条件でもあり、重要なことだと思います。


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