サンドウィッチのなかみ (2015年10月2日記事)

Vol.71 微妙な5年

少子高齢社会の日本は今、多額の負債を抱えている。そのため人が死ねば高い税金を奉納し、死ぬまでには次世代の活性化のため、お金を捻出し国を支える。出す方の年齢も65歳からでなく60歳以上の親・祖父母と5年早まった。50歳未満の子や孫の結婚、妊娠、出産支援として1000万円まで非課税で贈与が可能になり、国籍に関係なく30歳未満の子や孫への教育資金(保育園、予備校、大学、留学等)は1500万円まで非課税になる。

そして中堅の60代の親達は高齢の自分たちの親を見送る時、親の財産に高い税金を払う。今年の税制改正で税額は6段階から8段階になり、遺産総額の基礎控除は4割も大幅に削減された。2014年の中小企業庁の発表によると、2011年の時点で米独英では国税に対して相続・贈与税が占める収益率は1%にも満たないのに、日本は3.2%と高い。

カナダは相続税がなく、所得税類やその他の負債が支払われれば財産は相続人の手に渡る。ところが、カナダと日本の両方に財産をもつ人は要注意だ。日本が海外資産にも課税できるよう税改正をした背後には、裁判で敗訴になった苦い過去があるからだ。米国で孫を生ませた日本の富豪がその子に無税で莫大な贈与をしたことや、海外に住む子どもに外国会社株を贈与したケースで国は税金を徴収できなかった。改正後の今はたとえ海外の家一軒でも、どのように残すかに慎重を要する。

ややこしい話だが書いてみる。キーは贈与者/被相続人(親)と受贈者/相続人(子)の住所だ。国籍に係り無く双方が日本に生活の拠点となる住所があれば、国内外の財産が課税対象になる。また子の国籍に係り無く日本に住所を持っていれば、亡くなった親に日本の住所が無くても国内外の財産が課税対象になる。子が日本国籍で日本に住所がない場合、相続発生時から過去5年以内にどちらかが日本に住んでいれば、それも国内外の財産が課税対象だ。さらに、2013年の改正で子が外国籍で日本に住所がなくても、親が日本に帰国し住所を持ちそこで亡くなれば同様に課税対象とされた。お分かりだろうか? 課税が日本国内の財産だけで済むのは双方とも日本に生活の拠点とする住所が無く、子が日本国籍でないことが条件だ。子が日本国籍の場合は、日本に住所が無く、且つ双方とも相続発生時から過去5年以内にも住所がないこと、の無い無いずくめの場合だ。

家ぐらいしか財産はないが、私も親としてカナダと日本で生活している以上これからは5年を前倒しに、何時何処で死ぬのか考えながら生きねばならないのか。それともすべて使い切って逝くかだ、死ぬ5年前までに。気になる方は専門家にご相談を。


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