サンドウィッチのなかみ (2016年2月5日記事)

Vol.75 多民族国家日本?

「4人一緒に住んだ方が安上がり」。喫茶店で女性が、ベトナム人らしい若い男性に住居の斡旋をしていた。その翌日には、ネパール人の働く職場を紹介している人を見た。日本が変わりつつある。

法務省によると2014年末の在留外国人の数は約212万人。在留外国人とは、永住者、第二次世界大戦終了前から住む特別永住者、留学生、定住者、日本人の配偶者、その他に区分され、その中で永住者と特別永住者が半数を占めている。国籍別に見ると、中国人が台湾人も合わせると約70万人で33%と最高。韓国・朝鮮人は50万人。米国人は約5万人と少ない。10万人いるベトナム人と4万人のネパール人は前年比で各38%、34%アップと驚きの急増となっている。

東京には生活習慣の全く違う43万人の在留外国人がいる。ゴミ出しの日のルールがわからず隣人に怒られた、早朝出勤で何をしたらいいかわからず、職場でブラブラしていたらクビになってしまった、ということが報じられている。日本人なら“気をきかせる”とか “言われなくとも分かる”という暗黙の了解がある。だがそれは習慣の違う外国人には難しい。無責任な政府の在留許可に受け入れ側の自治体は難問をかかえている。

韓国では少子高齢化に向け2008年に「多文化家族支援法」が制定された。教科書も “一民族社会”が “多民族・多文化社会“と書き換えられたという。『世界人の日』が出来、在韓外国人と韓国人が理解し合える環境作りもしているとか。日本には地続きの国境がない。植民地として他民族に支配された経験もない。だから他国民と生活することに戸惑いがあるともいえる。まさか親の国籍を重視する血統主義が今も災いして外国人への偏見になっているとは思いたくないが、在留外国人に対する日本政府の問題意識は薄い。毎朝、国会答弁を聞いていてもそんな話題は出てこない。

少子化対策として育児給付の改正や結婚・子育て資金贈与の非課税措置等があっても、日本の若者が結婚や出産に興味をもたなければ空振りでしかない。だが在留外国人への日本文化や語学の教育、一時的社会福祉や相談窓口などに積極的に取り組めば、生産性も人口増加も成果を出しやすいのでは。強い国家を目指すなら日本人に固守するのではなく、ここで生計を立てる人達を養護する精神が必要だ。これは私のカナダかぶれのせいかもしれないが。

駅のホームでネパール人らしき少年が日本語で母親と話していた。少年は学校で差別を受けているかもしれない。でも、将来日本とアジアの架け橋になってくれそうな気もする。私は一瞬、日本の未来を描いてみた。



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