サンドウィッチのなかみ (2016年6月17日記事)

Vol.79 アメリカ大統領選挙ゲーム

夏季オリンピックの年に大統領選挙がある。今年は分裂した共和党のなかで不動産王ドナルド・トランプが一党員集会で大勝し、名目共和党代表候補となった。日本と違ってスピーチ教育の進んだ欧米の著名人の演説は内容、スタイルともに興味をそそる。大統領選もその一つ。が今回はチト違う。

トランプのスピーチは呆れるほど構成が至極単純で幼稚そのもの。演説ではなく、扇動を目的とした下品な短文の絶叫だ。「パーティでヒラリーは豚みたいに食ってた」「メキシカンは強姦魔だ」等々。父親の不動産会社で大成功を収め、現資産はミスユニバース組織も含め10億~1兆ドルともいわれる。脱税をしている可能性があるので真実は不明。

支持者は非エリート層、低学歴、白人、そして不法移民のせいで失業したと主張するブルーカラー族が主流。共和党は白人の支持率が多く、前の選挙戦でミット・ロムニーの白人票は59%、民主党のバラク・オバマは39%と下回っていたが黒人、ヒスパニック系の票で勝利した。年々有色人口は増加している。異常なトランプ支持率は、不満層の台頭だとすれば、無視できない現象として理解できる。

なぜ私が大統領選に興味を持つのか? 彼が勝利すれば日米関係どころか外交が混乱するからだ。彼は米国が攻撃を受けたら日本は救援にこないのは不公平だ、と挑発。内部事情に詳しい元外交官は、対米追隋派に反対した日本の歴代首相は米国の圧力で長続きしていない、という。だから自衛隊が戦場に駆り出され、日本の税金も高騰するだろう。ソ連も北朝鮮もトランプを歓迎しているから北方領土・拉致問題なども禁句となる。トランプは知識層をどう扱うか? 最近「アメリカ人よ、カナダにおいで」という新聞記事をみて苦笑した。南の国境線に壁を作って北には出口あり、か?

オバマ大統領がベトナムで異例の演説をした。地元著名人の名前が幾つも飛び出し、ベトナムの憲法にまで触れる。台本なしに。湧き上がる拍手を背に老兵が去る。どう逆立ちしてもトランプの姿をそこに重ねて想像など出来ない。同じ頃、ニュー・メキシコ州でトランプは台本を左手に振りかざし名指しで州知事を無能と毒舌。名前が暗記出来なかったのだ。

大学ならぬトランプ大学が波紋を呼ぶ。不動産投資講座が実は生徒に圧力をかけて何万ドルもする高い教材やコーチ料を払わせる詐欺行為だった。ニューヨーク州司法長官がこの悪徳商法に4,000万ドルの訴訟を起こし、そしてトランプ大学に資料公開を命じたのが、いま話題の人、メキシコ系アメリカ人の裁判官だ。トランプはこの“メキシコ”系に攻撃をかけているが、支持者の中には見切りをつけた人も出てきた。さてトランプはこのゲームをどう終えるのか。



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