サンドウィッチのなかみ (2016年12月2日記事)

最終回 旅の楽しみー出会い

仲間と一緒の時間は気楽で心地よい。でも時々知らない世界に旅に出たい気持ちになったら? 家族や友達となら旅行の楽しみもシェアできるがいつもそれが可能なわけではない。危険な場所でなければ むしろ1人のほうが思いがけない出会いがある。

大昔(!)カナダ留学後、私はセッセとお金をためて1か月間のヨーロッパ・アジア1人旅に出た。その経験は今の生活にも大いに影響している。スイスの登山列車のなかで「写真を撮ってくれませんか」と私が声をかけた男性が今の旦那になるとは誰が想像し得ただろう。1人旅の良いところ(大変なところ)は全て自分でやらなければならないこと。グループツアーなら楽だが1人で完走した旅は人生の糧となる。

今年の夏はこのコラム(8/19号)でも書いたがラブラドールの北端まで行った。旦那は歩けないため不参加。友達はまるで興味なし。結局1人で参加した。船のキャビンは4人部屋で2人はオーストラリア人、1人はユコンのカナダ人。旅の期待に話が盛り上がり、個室にいたら経験できなかった即席仲間が誕生。余談だが、全く赤の他人と相部屋のときは日本人独特の遠慮をしていたらソンをする。でしゃばってもいけない。例えば携帯の充電をするにも「貴女のが終わったら私のに切り替えるわね」というように意図を明確に伝える。意思表示が出来ればリスペクトもされる。そのオーストラリア人が来年トロントに遊びにくることになった。私が彼女の国に行くきっかけにもなるかもしれない、な〜んて想像するのも楽しい。

食事の時は「座ってよろしいですか」と空いている席に同席。つまり昨日はあの人、今日はこの人とテーブルを選べるわけだ。ある日一緒だったのが、かつてそれぞれにカナダ大使を勤めたご夫婦だった。その日は仮装パーティが食後予定されていて、2人は奥さんのお手製でおどけたシロクマに扮していた。大使として最後はコンゴ勤務だったという彼女は、母親の認知症が始まったので、昔ラブラドールで地質学の研究をしていた父親を含め家族4人で参加したという。翌日お父さんの当時の話を聞いていて胸が熱くなった。

友達から誘われて2人で行った秋のペルー。アマゾンでは2組のカップルと一緒だった。1組は20年付き添ったニュージーランドの女性ペア。もう1組は13年の仲だという台湾出身の若い男性ペア。身近に同性愛のペアと接したのはこれが初めてだった。男性の1人は私がガイドにする質問が面白いと言って、いつもそばで聞き耳を立てていた。寝食を共にした数日間の思い出は、今も私の心のなかで輝いている。

旅の楽しみって、本当は出会いかもしれない。思い切って旅に出るのはいい。





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