Vol. 18: ボルドーワインの豆知識

赤ワインの代表的な品種であるCabernet Sauvignon(カベルネソーヴィニヨン、以下:カベルネ)とMerlot(メルロー)は、どちらもボルドーの代表的品種でもあります。 一般的に、カベルネは、酸味とタンニンが強く、長期熟成型と言われるのに対し、メルローはカベルネより酸味とタンニンが柔らかく、味わいがまろやかで早期熟成型と言われています。「ボルドーワインは、この二つの品種をブレンドすることによってバランスの取れたワインを造る」なんて言われていますが、残念ながらそんなのは宣伝文句でしかありません。

一言でいうなら、カベルネはpicky(気難しく)、メルローはeasy going(気さく)な品種です。カベルネは、長期熟成型であると同時に晩熟であり、ボルドーのように気候が不安定な地域では毎年完熟するわけではありません。対するメルローは早熟であり、ある程度毎年確実な収穫が見込めます。つまり、同じワイナリーから造られるワインであっても、温暖な年はカベルネを中心としたブレンドで長期熟成型のワインが造られ、寒冷な年はメルローを中心とした早飲み用のワインが造られます。また、カベルネは、水捌けの良い土壌を好むのに対し、メルローは比較的どんな土壌にでも対応できます。つまり、カベルネはどこででも生産できるわけではなく、ボルドー内でも限られた地域でのみ造られます。大まかに言えば、ジロンド川の左岸、右岸はメルローが中心となります。

左岸でもより限定された地域、Pauillac(ポーイヤック)やMargaux(マルゴー)では、比較的寒冷な年であっても、カベルネと相性の良い土壌からカベルネ中心のブレンドが生産されます。ポーイヤックやマルゴーのワインが常に高価格で取引されるのは、常に気難しいカベルネを中心にワインが造られるためです。冷涼な年は収穫量が少なくて価格が上昇し、温暖な年は長期熟成型として愛好家の需要が高まるため、いずれにしろ価格が下がることはありません。 ボルドーワインを飲んで「あれ、価格の割にちょっと…」と思うことが多いのはカベルネではなく、メルローが中心に使われていたり、需要と供給のバランスで適正価格より価格が高くなってしまっていることが多いからということもあります。

ジロンド河左岸地域の カベルネの生産地

 

 

 

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