Vol. 19:ボルドー右岸のおすすめワイン

前回のコラムでは、ボルドー左岸について書きましたので、今回はボルドーの右岸についてです。

ボルドーを二分するジロンド河の左岸と右岸地域の一番の違いはその土壌です。ジロンド河左岸は砂利質の土壌となっていますが、右岸では水分の多い粘土質の土壌という川の左右によって全く異なる土壌となっています。土壌が違えば、育てられるぶどう品種が違うのも当然で、保温性の低い砂利質の左岸では熟すのが遅いカベルネ・ソーヴィニヨンが育てられ、保温性の高い粘土質の右岸では、熟しやすいメルローが育てられるのです。

メルローはカベルネの陰に隠れがちでしたが、その名声を一気に世に知らしめたのが、シャトー・ル・パンの登場です。ロバート・パーカーにより高評価を得たル・パンは左岸の1級ワインと同等あるいはそれ以上の価格で取引されます。これに加え、その育てやすさも相まって、ボルドーでは、たくさんのメルローが植えられました。そしてその収穫量の高さから、大量のワインが生産されます。しかしながらル・パンの成功は、収穫量を抑えて最上のワインを造るからこそであり、増産のためにブドウ栽培に適してない土地で栽培され、造られた多くのワインは、凝縮感の欠けた水っぽいワインで、むしろボルドーの名声を傷つけるものでした。更に、映画『Sideways』における”I am NOT drinking any xxxxing Merlot!”というセリフから、さらにその人気を下げることとなります。

そんなメルロー種が、最近また人気を博し始めました。優良な作り手が主導となって、ボルドー右岸におけるワイン造りは法令化され、特に収穫量に関して厳格化されました。またブドウの樹もワインづくりにおいて最適とされる樹齢30~40年を迎えました。

ル・パンの生産されるポムロール地区や1級ワインがあるサン・テミリオン地区のワインは、やはり高価格で取引されますが、サン・テミリオンの外側にあるサン・テミリオン衛星地区のモンターニュ・サン・テミリオン産のワインやジロンド河下流のコート・ド・ブール産、ブライ産のワインは、比較的に安価で高品質。メルローらしいフルーティーさとボルドーらしい、ハーブや煙草の香りが相まって、日常用あるいは少し贅沢をしたいときのオススメのワインです。

ジロンド河右岸地域のメルローの生産地

 

 

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