Vol. 24:アルゼンチンの旅を通して知る「ワインと人」

先日アルゼンチンのワイン協会に招かれて、10日間のワイナリーツアーに参加してきました。あまり知られていませんが、アルゼンチンは世界5位の生産量をほこるワイン大国です。一時、その生産量と国内消費量はフランスやイタリアをしのぐほどでした。国内を中心に消費されていたアルゼンチンワインですが、2002年の経済危機を契機に、国外市場にマーケットをシフトし、今では「お手頃で美味しいワイン」の代名詞として北米で人気を博しています。日本では、自由貿易協定のあるチリワインが価格において優位であり、残念ながらあまり見かけません。

カナダでは、アルゼンチンの代表品種であるMalbec(マルベック)が特に人気です。赤い果実を中心としたフルーティさに加えて、樽熟成から来るバニラの香りと甘味が人気の秘訣です。その人気にあやかり、どのワイナリーもMalbecを中心に生産を行っています。同時にMalbec、そしてアルゼンチンワインの将来を見据えたワイン造りも行なっています。

1990年代に人気を博したのは、オーストラリア産のShiraz(シラーズ)。しかし、南米ワインの台頭もあり、シェアを大きく落としました。オーストラリアの失敗は、Shirazに頼りすぎた一面が大きく、現在同じような状況にあるアルゼンチンの生産者はオーストラリアの二の舞にならないためにどうするべきか、真剣に今から考えています。しかしながら、市場はMalbecのような商品を求めており、造りたいワインと売れるワインの狭間で葛藤するワインメーカーに会う機会が非常に多かったことが、とても興味深かったです。

ワインは葡萄のみから造られる非常に特異なアルコール飲料です。ほかの農産物と同様、毎年天候との戦いです。それに加え、評論家による評価、国際マーケット、政治情勢などさまざまな側面がその価格や販売量に大きく影響します。今回の旅を通して、そうした要因がいかにワインにたずさわる「人」の生活に影響するのかを目の当たりにしたのはとても貴重な体験となりました。

今年は雨が多く、オンタリオでワインを造っている方には非常に厳しそうな年となりそうです。車で一時間離れたところにワイナリーがあるトロントは、世界的にも非常に珍しい大都市の1つです。ぜひ、この夏ワイナリーに足を運んで下さい。ワインだけでなく、そこにたずさわる「人」の部分に少しでも触れて頂けたら幸いです。

 

 

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