(2010年06月04日記事)
Steel Head Salmon Sashimi($14)
外食とは、料理のおいしさだけでなく、レストランの居心地ともてなしの良さ、そしてその時を一緒に分かち合うことのできる仲間がいてからこそ楽しめるのだと思う。そのすべてに重点を置いたレストラン、「Mildred's Temple Kitchen」を今回は紹介したい。
広々とした店内へ案内されると、目に留まるのは数人のシェフの姿。ここでは、オープン・キッチンからシェフたちが明るく客を迎えてくれる。
スタイリッシュなこの店の料理長を務めるタイラーさんは、オンタリオ北部のオーウェン・サウンド出身。彼の田舎では、家を訪れた人たちは家族のように温かく受け入れられ、みんなでわいわい食事をするのが日常的だったという。そんな、生き生きとしたレストラン作りが目標なのだそうだ。また、みんなで料理をとりわけながら食べるというのがMildred's流。料理をシェアすることで、食事を共にする人同士の交流が自然に深まるように、というこのレストランの気配りだ。
▲Crisp Pork Belly with Anise Jus & Navy Beans ($10)
カリカリのポークベリーはしつこくないので、いくらでも食べてしまいそう
▲Grilled Asparagus with Fried Egg & Morels ($12)
グランマのレシピから作ったというマスタードソース。
卵をアスパラガスに絡めていただこう。
魚は生で食べるのが一番! と胸を張って薦めてくれたのはサーモンの刺身をアレンジした一品。タイラーさんがキッチンから運んでくれた料理を見た瞬間、その美しさに思わず歓声をあげてしまう。サーモンの刺身の上には、長細く千切りし、トリュフ入りのオイルで和えたオレンジピール、ネギ、唐辛子がふわりとのっている。
温めたお皿の上に温かいソースを敷き、その上に刺身をのせることで魚を少しやわらかくしているんだ、とタイラーさん。さっぱりとしたソースは少し甘みがあるが、薄味なので刺身の味が十分に堪能できる。ブリティッシュ・コロンビア産のワイルドサーモンは油がのって柔らかく、口の中でとろけるよう。オレンジとネギの香りがほのかに広がり、しょうゆとわさびで食べなれた刺身とはまた別の楽しみ方ができる、華やかで繊細な一品だ。
日本料理からの影響がとても大きいという彼は「食材の味を生かして作る日本の料理は、素材自体への感謝の気持ちが反映されていると思う」と語る。もうひとつタイラーさんが日本料理から学んだことは、「あっさり」と仕上げること。食後も軽やかに、心地よさが続くように、料理をさっぱりと仕上げている。特にこれからの季節には爽やかな料理を提供していきたいという。
配慮の行き届いたもてなしと斬新な料理で、大切な人と心に残るひと時を過ごすのはいかがだろう。
〈文/村上 ゆり〉
▲「ひげ姿で失礼!」と
料理長のタイラーさん
Mildred's Temple Kitchen
85 Hanna Ave., Suite 104
tel:416-588-5695
www.templekitchen.com
Lunch
月〜金 11:45 〜 15:00
Brunch
土〜日 10:00 〜 15:00
Dinner
日〜木 17:30 〜 22:00
(金・土は23:00まで営業)
▲Dufferin St. × King St. W. から徒歩5分
▲結婚式やパーティなどにも活躍してくれそうな店内