目指すキャリアに見合うファッションを
Hiromi Mikawa
イメージコンサルタント 三川裕美(2013年1月18日記事)

アメリカでは1960年代のケネディ対ニクソンの大統領選でその存在が注目を集め、以来、弁護士、医者、と並び政治家やエグゼクティブなどが持つべきコンサルタントの1人と言われているイメージコンサルタント。
ファッションや話し方、立ち居振る舞いなど外的な印象を良くしてコミュニケーションを有利に進めるという北米発祥の概念は、日本でも社員研修の一環として講座が設けられることがあり、浸透しつつある。

今回はトロントに拠点を置く国際イメージ協会に、唯一の日本人イメージコンサルタントとして三川裕美さんが所属していることを聞き、お話を伺う機会を得た。
三川さんがこの職業を知ったきっかけは、2000年に公開された映画『THE KID』だという。「イメージコンサルタントがタレントや政治家に嘘を言わせて良いイメージを作り上げ、望む成功を手に入れるというストーリーだったので、まさか、イメージコンサルタントという職業が実際にあるとは思っていませんでした笑)。

改めてこの職業に行き着いたのは、インテリアデザイナーのアシストタントをしながら色彩の勉強を始めた頃、インテリアデザインから派生するキャリアプランにつ いて探していた時でした。そこで現在の上司である恩師のカレン(元国際イメージコンサルタント会長)の講座に出会いました」彼女は現在、個人を対象にファッションを中心にしたコンサルティングに従事している。

「その方に似合う色を見つけるカラー診断とスタイル診断をします。生まれ持った資質からその魅力を最大限に引き出すアドバイスをすることが私の仕事ですね。クライアントに会ったら、まず、イメージを変えたい理由、モチベーションを聞きます。選挙に当選するため、新しい仕事のため、パートナーを見つけたいなど、その方によって理由はさまざまですね」カラー診断では、四季により4つのグループに分かれた色の中から似合う色のグループを判断。

Hiromi Mikawa

その中からさらに何種類もある色のドレープ(布)を顔に合わせ、その人にベストなものを探していく。似合う色とは、肌の透明感が増し顔色が明るく、そして、瞳がきれいに見える色、また、その人のパーソナリティを効果的に魅せる色のことだという。そして、色の種類だけではなく、色相(いろみ)、明度、彩度などを細かく分析していく。スタイル診断では、骨格を元にその人に似合うスタイル、さらに、目指すキャリアや人生のゴールに沿った、一目見ただけでその人の職業が想像できる、または目標に見合ったファッションを提案。
靴やバッグ、アクセサリーとのコーディネイトまでアドバイスは細部に及ぶ。

「一番最近では、新しい仕事の面接を控えた公認会計士の方から依頼がありました。
高収入でキャリアもしっかりした方なのに、外見を見たらこの人は本当に仕事ができる人なの? って思うほどキャリアと服装が全く合っていなかったんです。

人の印象って一瞬で決まってしまいますよね。しかも、無意識のうちに。面接の時間は限られているので、その人の(外見からは見えない)素質を引き出すところまでいかない可能性もあると思うんです。
その人の資質が見た目で分かるようにすれば、話も早いですよね。
(このクライアントに関しては)誰から見てもデキル人だと瞬時に思われる印象に変えることが私の仕事でした。
彼は仕事ができればそれでいいという考え方を持っていて、自分の趣味である釣具には何百ドルもつぎ込んでも、(服は)スーツでさえあればどんなものでもいいという意識だったので、彼の仕事能力、対象クライアント、そして彼自身と収入に見合ったスーツを提案しました」
医学において、西洋医学、東洋医学などと考え方が違うように、イメージコンサルタントの世界にも流派のようなものがあるという。三川さんが支持しているのは、万人向けの美しさを目指してイメージを変えるようなものではなく、言うならば自然治療。「ただ高級なものや流行のものを身着けても、肝心なその人が洋服に着られてしまいます。あくまで主役は人ですから。
カラー診断とスタイル診断のほかには、一緒に出掛けて似合うものを選ぶ買物のお手伝いもします」

キャリアゴールに到達するために、外見的イメージが占める割合はどれくらいなのだろうか?

「その方にもよりますが、80%くらいだと思いますね。イメージに合ったファッションを身に付けることは、目標を達成するモチベーションになると思います」テレビ番組でも人気企画のメイクオーバー。一時的にファッションが変わったとしても、その後、その価値観が定着するものなのだろうかと三川さんに問うと、「男性は元に戻ることはないですね」ときっぱり。

Hiromi Mikawa

「女性は交際相手によってファッションが変わってしまう方が多いのですが、男性は、特にビジネスに関しての目標がある人は戻りません。自分にとって大事なことに対するその情熱が変わらないんですよね。目標に達するための納得したツールがあれば、それをすぐに取り入れて活用するという方が、プロフェッショナルな仕事をされている方には特に多いですね」

前述の会計士の彼は、カウンセリング後の面接に合格し、今ではさらに年俸の高い会計会社で活躍されているという。見だしなみを整えるということは自身を良く見せるということだけではなく、職場とクライアントに対してのエチケットの一部でもあるという認識を持つようになったそうだ。
クライアントの要望に合わせ、戦略的な自己演出をプロデュースするのがイメージコンサルタント。コンサルティングをする上で、苦労する点と自身のファッションについて最後に聞いてみた。「人の目標を達成させるためのサポートが私の仕事なので、私のアドバイスでその方の人生が変わってしまうかもしれない… 例えば、クライアントの面接がうまくいかなかったらどうしようって不安になることは正直ありますね。

自分自身、服装に気を配っていない時は心が乱れている証拠だなって思います。『人と会う時にはきちっとした服装をする』とか、子どもの頃に学んだことって、イメージコンサルタントにつながることが多いんですよ。乱れた服装で人に会うってことは、その人に対して敬意を払っていないということですからね」

2013年は始まったばかり。新たなキャリアゴール、人生の目標を見直すきっかけとなるこの時期、今一度自分のファッションについて考えてみてはどうだろうか。なりたい自分に相応しいファッションを味方につけて、自己実現に向けて大きな一歩を踏み出そう。

 
 


Biography

みかわ ひろみ

愛媛県松山市出身。インテリアコーディネーターのアシスタント経験を機に色彩を学び始める。05 年、 International Image Institute( 国際イメージ協会)にてKaren Brunger 氏に師事。イメージマネジメント、カラーアナリシス、プレゼンテーション、インターナショナルエチケットを履修。Karen Brunger 氏の元でインターン中、同氏がGeorge Brown College で担当するImage Management の授業の代講を務めながら、日本人の政治家、個人事業主を対象にイメージコンサルタントの活動を開始し、現在に至る。
www.imageinstitute.com