即興性が生み出す独特のグルーヴ
Tomy Wealth
ドラマー/ビートメイカー (2012年11月2日記事)

Tomy Wealth

切ないピアノ・チューン、エレクトロニカ、そしてヘビーロックを思わせる激しいドラミング…独自の世界観を創りだしているtomy wealth。今回が初めてとなるカナダツアー・トロント公演では、観客をすっと引き込むグルーブ感のあるステージで会場を埋め尽くした人々を魅了した。

トロント公演初日のリハーサル前、ライブ会場近くのカフェで待ち合わせ、初めましての挨拶の後、「カナダに来れたのは、サポートメンバーの1人であるアランのおかげなんです」とカナダ公演に至るいきさつを語ってくれた。

「2年半くらい前かな。MySpaceに似た(音楽を共有するツール)Sound Cloudっていうサイトがあるんですけど、カナダから音を聴いてアランが連絡を取ってきたんです。すごい褒めてくれて…。ありがとうってそれに返してたら、ベースはいらないの?って言われて。『君はカナダにいるんでしょ?』って聞いたら、『沼津に引っ越すんだ』って。僕は東京で練習していたんですが、彼が週末ごとに練習に来てくれて。何かにつけてカナダはいいところだと繰り返すので、行ってみたいなというのもありましたね(笑)。」

故マイケル・ジャクソンの影響で音楽に興味を持つようになったというtomy wealthがドラムに出会ったのは15年以上前。中学時代に入ったブラスバンド部で打楽器を勧められ、やっているうちにドラムがカッコいいと思うようになった。

Tomy Wealth

「 音楽をやっていくのは自然な感じでしたね。高校在学中からバンドには所属していました。ラウドロック系のバンドだったんですけど。そのバンドでCDをリリースしたりもしていました。ドラムは独学なんです。はじめはヘタクソでしたね。月に28本とかライブをしていた時があって、ライブが練習になってたって感じですかね」

現在のようなドラムがメインのライブスタイルは、バンド解散後のこと。

「バンドメンバーを探していた時期が長い間あったんですけど、途中で1人でやった方が早いと思い始めて…。サンプラー(既存の音源の一部を引用して、新たな楽曲を製作できる装置)を買って曲作りを始めました。ドラマーなので、ドラムの音は自分で叩いて入れたんです。それはちょっと珍しいみたいですね。My Spaceで新曲を上げていったら友達がどんどん出来ていって、アルバムを作りなよって勧められて、アルバムを作って…。そしたらライブをやりなよっていう要望も出てきて今のスタイルになったという感じです」

現在の音楽制作において直接影響を受けたアーティストとして、Deftones、DJ Shadow、UNKLE、坂本龍一の名を挙げる。

「曲作りには、映画や本などからインスピレーションを受けることが多いですね。タイトルが決まったら架空のストーリーや登場人物を作ってそこで物語を構築して行く方法が好きです。映画や本を制作していく感覚に近いと思いますね」

音楽活動の中で一番楽しいのはやはりライブだと語る。

「僕は(ドラム)フレーズを決めないで、毎回変えてみるんです。(観客の)反応が悪かったなとか、メンバーがやりづらそうだったな…とかを見ながら。偶然性を意識しているので、それによる面白さを期待しながらプレイしていますね。これって、サポートメンバーの2人は大変だと思うんですけど(笑)」

即興性を楽しめるのは高度なテクニックがあってこそ。繊細さと大胆さを持ち合わせた旋律で感情を揺さぶる。

「自分たちのスタイルが受け入れられたことを実感しました。またカナダに絶対戻ってきたいです」。

ツアー終了後に感想を報告してくれた彼は、今回の公演で海外での手ごたえをしっかりと掴んだ。




 
 

Biography

トミー・ウェルス

名前の由来はお父さんのあだ名であったトミー(=Tomy)の財産(=Wealth)。現在のサポートメンバーは、Alan Demskyと青柳光昭さん。高校時代からバンド活動を始め、Tomy Wealthとしては09年8月に「Hotel Otherside」を発表。数々のRemixワーク、iTunes、 Juno Records、Beatport、 Amazon、 Bandcampなどで音源を配信。2013年上半期にはニューアルバム「Table Manners」をリリース予定。tomywealth.net