音楽は人生においての最高の遊び
DJ Shimamura
DJ シマムラ(2012年6月15日記事)

北米最大のアニメコンベンションAnime Northに参加するために来加した日本のUKハードコアシーン(イギリス発祥のテクノのひとつ)を牽引するDJ Shimamura。5月25日から27日にわたり、約3万人ものアニメファンが来場するイベント会場でのライブ。その出演前日、インタビューの場にリラックスした表情で現れたDJ Shimamuraは、その表情とは裏腹に緊張しているという。

「緊張しますよ。海外で、しかもアニメのイベントなので観客の年齢層や求められるものが日本とは違うなかで、どういうスタイルが喜ばれるのかを考えないといけないですし。盛り上がらなかったらわざわざ来てくれたお客さんに申し訳ないと思いますので」 どんな音を流すかは当日、会場の雰囲気を見てから決めるという。 「人を楽しませるのって、構想通りにはいかないことだと思うんですよ。その日の気分とか体調とかも関わってきて、昨日人に話して笑ってくれた話を、今日他の人に話しても、同じ話なのに笑わないかもしれないでしょ?」

学校の音楽の授業がつまらなくて、小学生の頃は音楽が嫌いだった。そんな彼に転機が訪れたのは、中学生の時。電気グルーヴ、YMOとの出会いだ。彼らの影響で作曲を始め、初めて観客の前でDJプレイをしたのは高校生の時。当時は趣味だったがその延長線上に今の彼がある。

「自分がプレイする音楽でお客さんに感動してもらったり、日常じゃない状態を味わってもらいたいんですよね。今の僕にとって、音楽作りというのは人生においての最高の遊びです。バスドラムのキックが響いて、ベースが鳴って、ピアノが入って、そこにシンセサイザーの音が重なって…それだけで僕は楽しいです。遊びですけど、毎日毎日、本気で遊んでます」

日本を拠点にしている彼だが、アメリカやロンドンでもDJ経験がある。そんな彼だが、4日前、トロント入りした翌日のクラブイベントで強烈な思い出として残るだろう経験をしたという。

「人生の中で一番緊張した時でした。海外というのに加えて、僕が一番尊敬するハードコアのDJであるGAMMERが飛び入りゲストで出演したんですよね。彼は僕にとって雲の上の存在の人。DJをしている間、彼がずっと僕のプレイを見てたんですよ。緊張しながらもベストを尽くしました。自分が生まれて初めてプレイしたときよりも緊張しましたね」 若いクリエーターがCDを出し、イベントを盛り上げる日本のUKハードコアの現状。日本にいても十分に刺激的だというが、自分を含め、日本にいるDJの活躍の場をもっと海外に広げていきたいと考える。

「僕とは違うスタイルで音楽を作っている才能あるDJやクリエーターが数多くいる。世界に出ることで、海外の観客はこういう反応を示すんだという日本との違いを彼らが体験できるだけでなく、海外にいる人も日本人のスタイルを見ることができて喜ぶ。お互いにすごくいい刺激になると思うんです。海外と日本をフレキシブルに行き来できる最初の道を僕が作っていければいいですね」

インタビュー翌日の夜11時。屋外ステージのDJブースにDJ Shimamuraが登場。日本人DJがどんな曲を流すのか、どんなパフォーマンスをするのか、観客の視線が一斉に集まる。彼がプレイした曲はJ-POPやゲーム、そして海外の楽曲をダンスミュージックにリミックスしたもの。言わばDJ Shimamura特有のUKハードコアだ。観客は彼の音楽に合わせて体を揺らし、イベントは最高潮の盛り上がりを見せた。観客を楽しませながら自分自身も楽しむ。ステージで最高の遊びを体現している彼の姿が印象的だった。

Biography

DJ シマムラ

茨城県出身。作曲、編曲、J-POPのリミックスも手掛けるサウンドクリエーター。日本のハードコアシーンで活躍。07年にはUKダンスミュージックレーベルNukleuzのコンピレーションアルバム「Hardcore Adrenaline3」、08年には「Hardcore Nation2009」にリミックスで参加。UK国内放送BBC Radio 1では、ハードコアの日本人アーティストとしては初めて特集を組まれ、3週間連続でヘビープレイされるなど海外からも支持を集めている。