作品を作るプロセスを大切に
Karakoro
パフォーマンスグループ (2015年9月18日記事)
大阪を拠点にしているパフォーマンスグループ「Karakoro」による沖縄の演舞エイサーの公演が、日系文化会館にて8月15日に行なわれた。同グループのトロント公演は、今回が3度目。今年は総勢70名で来加し、沖縄で古く伝わる民謡や歴史に触れたエイサー、また宮沢賢治作『風の又三郎』をテーマにしたエイサーを披露。大人数ならではの迫力あるパフォーマンスで会場を沸かせ、アンコールの最後では故・美空ひばりさんの代表曲「川の流れのように」の大合唱でステージを締めくくり、スタンディングオベーションで幕を閉じた。

Karakoroは、松井洋子さんにより創設された団体で、「からだとこころの出会いの会」の略から来ている。差別や家庭の問題など、共通の悩みを抱える人たちの自助グループが集まるユニークなグループだ。公演当日にグループの代表であり、ディレクターである松井さんに話を伺う機会を得た。

─Karakoro創立のいきさつを教えてください

「私はもともと体が弱くて、学校の体育などはドクターストップがかかっていたのでいつも見学していました。みんなが楽しくやっているドッジボールなどもできなくて、悲しい思いをしていました。27歳の頃、“もしかして私にもできるかも?”と思って出会ったのが野口三千三(みちぞう)さんが開発した野口体操(身体の重さや重力に従い、無駄な力みを必要としない体操)だったんです。それを機に、子どもの頃にやりたくてもできなかった、ダンスを始めました。
また、今から30年くらい前、当時、私は子どもたちに英語を教える仕事をしていたのですが、バブル景気の時代で、受験戦争が盛んになってきた時期。私は子どもたちの無気力さを感じていました。さらに、校内暴力が起こり、先生が生徒を怖がって学級運営ができなくなるということが起きていました。当時、先生たちから、“どんなことをしたらこの悪状況が改善されるのか”ということを相談されて、私がアシスタントをしていた演出家の竹内敏晴先生に相談したんです。それで、主に教師向けに、演技によって人と人との真のふれあいを探るようなレッスンを始め、先生が東京で教え、私は大阪で教えることになったのが、Karakoroの原型です」

─エイサーを始めたきっかけは何ですか?

「Karakoroのメンバーと旅行でポーランドのアウシュヴィッツに訪れた際に、収容された経験のある館長が、実体験を元に史実を説明してくれたんです。それを聞いてみんな涙、涙で…。その時に、Karakoroのメンバーの1人が“どうしたら戦争がなくなるんですか?”とその館長に質問したんですね。そしたら館長が“多くの国を旅してください。それぞれの国には色々な人がいて、色々な文化がある。そこで友達を作って彼らの文化を知ったら、それを壊したいとは思わなくなるでしょ。みんながそれをしたら戦争がなくなる”って言ったんです。その言葉が忘れられなくて。その後、戦争のことを勉強していったら、第2次世界大戦の地上戦では沖縄の住民の4分の1が 亡くなったということを知りました。それで、みんなで沖縄に旅行に行って、3年に亘って、短期間沖縄に出向いてエイサーを習い、それからエイサーをステージでするようになりました。
もう1つの理由は、大坂には沖縄で学校を卒業後、仕事を求めて出てきている人が多く、メンバーの中にも沖縄の人が多いんです。また、先祖が沖縄にいる人もいたりするので、それで、沖縄のエイサーをやりたい、という声があがりました」

─日系文化会館での3回目の公演。今年のステージで特に意識した点はどこでしたか?

「1度目の公演で沖縄色を全面に出したステージをしまして、それがすごく評判が良かったので、今回の公演も沖縄色を出すような演出をしました。新しいものでは、日本の現在の異常気象の様子を伝えようという思いから『風の又三郎』を加えました」

─Karakoroのステージで1番大事にしていることは何ですか?

「自分たちが関心のある歴史や社会問題などについて勉強してそれを表現していきたいと思っています。作るプロセスを私はすごく大事にしています。そのメッセージが伝わればいいし、たとえ伝わらなかったとしても、“ああ、楽しいなぁ。もしかしてこういうことを言いたいのかな”と感じてもらえればいいと思っています」

─今後のカナダ公演の予定を教えてください

「今年で5年連続の出演となったナイアガラ・オン・ザ・レイクの音楽イベント、ミュージック・ナイアガラにはすでに来年も出演することが決まっています。あと来年はウィニペグでの公演も計画中です。   
今回見逃してしまった人は、来年ぜひ、ナイアガラ・オン・ザ・レイクのショーに来て楽しんでください」。



 
 


Biography

カラコロ

からだとこころの出会いの会として、大阪を拠点にしている団体。メンバーの年齢層は4歳から60歳までと幅広い。 国内での公演活動のほか、ナイアガラ・オン・ザ・レイクで行なわれる音楽イベント、ミュージック・ナイアガラに5年連続で出演するなど海外公演も行なっている。近日のエイサー公演は、兵庫県尼崎市のピッコロシアターにて11月23日(月)に予定されている。

オフィシャルサイト:karakoro.net