斬新なコラボに挑戦する
三味線界の"若き獅子"
Koji Yamaguchi
津軽三味線奏者 山口晃司(2013年10月18日記事)

時代の最先端に挑戦することがやがて伝統になる

日系文化会館にて11月5日に開催される「山口晃司&山口晃司三絃会」による津軽三味線のコンサート。グループを率いる山口晃司さんは24歳という若さと、さまざまなアーティストとのコラボレーションに代表される新たな試みに挑戦する姿勢から、三味線界の"若き獅 子"と呼ばれる。今回はその山口さんにお話を伺う機会を得た。

― 津軽三味線を始めたきっかけを教えてください

「元々、祖母が民謡三味線の先生をやっておりましてその影響で5歳から民謡三味線、長唄などを習っておりました。12歳の時に津軽三味線の演奏を初めて聞いて、その大胆かつ繊細な音色に魅せられて弟子入りを決意しました。その後、4年間、住み込みで修行する内弟子を16歳まで続けました」

Pizza e Pazzi ― 12歳で親元を離れるとなると不安が大きかったのではないですか?

「不安というよりも、大好きな三味線により多く触れられることに、ワクワクしていました!」

― 内弟子時代はどれくらい練習をしていましたか?

「学校が終わってから2時間の練習と、夕食後にまた1時間練習をしていました。1日中練習をしていたわけではないのですが、何か疑問がわくと、いつでも師匠に質問できる環境というのはすごく有り難かったです。
お稽古が嫌になったことですか? これまで、やめたい! と強く思ったことはありませんが。何度かスランプに陥ったこともありますが、その都度みなさまに支えられてきたおかげで今があることに感謝しています」

― 連日のように公演をこなす中、山口晃司三絃会という三味線教室も開かれて いますが、教室はいつ頃から始められたんですか?

「教室は、3年前から名古屋市内を中心に愛知県の各所で展開しています。子どもから大人までさまざまなレベルを指導していますが、生徒の、出来なかったことができるようになっていく過程を見られることが、一番の楽しみですね。また、教えることで自分自身も一緒に成長できることを日々実感しています。
公演で得られるお客様の笑顔と拍手、そして教室での生徒たちとの触れ合いが日々の原動力になっています。それに勝るものはないですね」

― 吉田兄弟の弟・健一さん主催の「疾風(はやて)」のメンバーとしても活動 されていますが、その活動内容について教えてください

「疾風は、『次世代の津軽三味線集団を誕生させる』という志を元にしているグループです。現在所属しているメンバーは私を含めて9人。各地の大会で入賞経験のある者のみで構成されています。いわば津軽三味線奏者のエリート集団というところですかね。メンバーはそれぞれ地元で個人活動をしながら、時に疾風としての活動に参加するというスタンスを取っています。メンバーとは年も近いので、自分にはない個性を吸収し合ったりして、いい刺激になっています」

― 山口さんにとって津軽三味線の一番の魅力を教えてください

「『静』と『動』を合わせ持つその音色です。それに加えて、コラボレーションがしや すいところも魅力だと思いますね。最近はロックバンドやブラスバンド、また、書道・ダンス・DJとのコラボも行なっているのですが、それがすごく楽しいんですよね。お互いの音色や芸術の持つ個性を尊重しながら、クロスオーバーしてミックスしていく…。そこに幸せを感じています」

― 積極的に新たなコラボレーションにチャレンジするのはどういう思いからで すか?

「人間国宝の漆芸家の方が、『伝統とは時代の最先端をいくこと』だと言っていたんです。私自身、その言葉は最もだと思っています。現在最先端であるものが時代を経て、伝統の範疇に入っていくわけですから。 さらに、伝統とは、伝えることが重要なんです。伝わらなきゃ意味がない。今後も伝えていくために様々な新しいことにチャレンジしていこうと思っています。それが10年、20年、100年続いて、歴史、ひいては伝統になるよう にしていきたいですね。
  また、常に周りを驚かせていく活動をするのが『山口晃司』である、と自分で思っていますので、今後も貪欲にさまざまなコラボに挑戦していく予定です。常に新鮮な驚きをお客様に提供できれば最高ですよね。ロックもジャズも、クラシックもポップスもなんでも大好きですので、今後もジャンルにとらわれずにいろんな方とコラボをしながら演奏していこうと思っています。その先に『山口晃司』だけの音があったらいいな… と。というか。 (願望ではなく)見つけます!」

  ― これまでアメリカで3都市(ニューヨーク、アラバマ、アトランタ)、そし てアジアではマレーシア、シンガボール、中国で公演をされていますが、外国での反応はいかがでしたか?

「とても反応が良くて、びっくりしています。独特の音色とフレーズの流麗さが際立っている三味線の響きは、国境に関係なく、伝わるんだなとうれしく思いますね。あとは、三味線が放つリズムが外国人にとっては新鮮で、"JAPAN"を感じさせるのではないかと思います」

― カナダ公演は今回が初めてと聞いております。トロントでのコンサートはど のようなものになりますか?

「今回のトロント公演は山口晃司三絃会10名を率いての来加で、三味線の合奏もあります。大人数だと音の迫力が違いますのでそこも体感していただけたらと思います。僕らもみなさまにお会いできるのを楽しみにしています。元気いっぱい、笑顔いっぱいのステージにする予定で、音楽的にも演出的にも三味線コンサートの概念を大きく変えるものになると思います。楽しみにしていてくださいね」。



 
 


Biography

やまぐち こうじ

愛知県出身。5歳より三味線を始める。津軽三味線全国大会において2003年、青森弘前大会、学生の部優勝、04年、東京大会優勝。その他の大会で優勝・入賞多数。愛知県の芸 術をリードするエキスパート達が所属する愛知芸術文化協会(ANET) 最年少会員。11月5日(火)に開催されるコンサートについてチケットなどの詳細はP.13 参照。