ネオヴィジュアリズム
雅 -MIYAVI-
ミュージシャン(2010年06月18日記事)

ギターとビート、華麗なパフォーマンス…
そしてそこには熱いメッセージが潜む

「はじめまして、雅です」
パフォーマンスでの歌声から想像するよりも、やや低めの声がスピーカーから響いた。スカイプ(インターネット電話)の相手は、アーティストの雅。6月15日、サンフランシスコから始まる『NEO TOKYO SAMURAI BLACK WORLD TOUR 2010』の一環として、同月24日にトロントでその姿を見られるだろう彼に今回はインタビューを申し込んだ。

―もうすぐツアーですが、もうアメリカにいらっしゃるんですか?
「まだ日本です。ぎりぎりまで会社の長(おさ)としてやることがあるので…」

―インターネットでライヴの様子を拝見しましたが、海外での英語のMCもそつなくこなされていますね
「そうですか?(笑) でも、自分も3年前にアメリカに行くまでは英語は全然しゃべれなかったんです。
今まで自分が歌や演奏することで伝えようとしていたことの中には、日本語で伝えても仕方のないこと、っていうのがあると思ったんです。だからまず、自分を理解してもらうためにも、(日本人としての)自分たちの価値観を理解してもらうためにも、まずは相手(英語圏などの人々)のことを理解することも必要だろうと思って。言葉にしても、文化的な部分に関しても…勉強中です、今も」

―雅さんの音は、ストレートなロックというよりも、軽やかな感じがします
「笑。それは、“雅“なので! どの辺のロックを指してます?」

―もっと重い感じの音を出すのがロックなのかな、と思っていました
「自分のギターの弾き方は三味線にインスパイアされています。僕が思うに、そもそもロック・ミュージックっていうのは結局“(海外の)コピー”なんですよね。ギター、ドラムというマテリアル、エレメンツ自体がコピーなんですよね。
例えば自分のステージ衣装に関してもそうですが…、スーツのシルエットだけど、柄には着物を使っているんですね。それと同じような感覚で、(海外発祥の)音楽に影響を受けた日本人として、じゃあ今度、自分たちがそれをどういうオリジナルなスタイルにするか、つまり、どのような“答え”を出せるのか、というのが、ひとつのテーマでもあるんです。
俗に言うロックは、日本の中でのウケはいいんですけど、海外で、日本語を使って似たようなものを提供するっていうのでなく、日本で独自に加工して、『こんなんどうですか?』っていう提示をする作業というか…。

例えば、海外で評価を受けているアーティストが、日本で同じ評価を受けているか、って言ったら比例していなかったりするわけじゃないですか?
逆に、日本で評価を受けている人たちが海外に行って、じゃあ同じ評価を得られるか、っていうとあべこべで…。基本的に音楽に関する感覚、価値観の違いなのかな、と思うんです。だから、もしかしたら日本のマーケットにはtoo muchかもしれないし、だけどアーティストとしてやっている以上は、ねぇ(微笑)。世界中の人たちとシェアできるものを作っていきたいし…。自分にしかできない伝え方ということをすごく意識してやってます」

―個人会社の代表も務めていらっしゃいますよね。音楽に集中することの方が楽じゃないですか? どうして会社を?
「それは、いい質問で…その通りなんですよ(笑)。自分も会社の代表をやりながら、果たしてこれがやりたかったことなのか?と、自問自答することが本当にたくさんあります。だけど、『今』っていう『点』で見ると大変だけど、長い『線』で見た時に、自分がアーティストとして広くあるために、乗り越えないといけないことだと思っています。

11年前、上京して、(音楽を)やりだした時から自立するっていう気持ちは変わってなくて、いつかは自分の足で立たないと、っていう意識はいつもありました。それで、去年の(デビュー)10年目という節目に、前の会社の10周年でもあったのですが―そこでは、自分も社長と二人三脚のような感じで本当に会社の上がり下がり、山や谷を一緒に越えてやってきたんですけど―ここから先の道は自分で切り開いていかないといけない、と思ったんです。

特に、ビジュアル系っていう、凄くリスペクトしているシーンにいて、影響も受けていますが、同じことをやっていても仕方がない。やる以上は新しいものをインボルブしていかないと意味がない。だから、会社を興こす決断をしました」

―では、ゆくゆくはアーティストを自分で育てることも考えていますか?
「そうですね、ゆくゆくは。今は“雅”っていうアーティストで掴むべきもをつかむまで突っ走ります。もちろん死ぬまでステージには立っていきますが、年齢的な衰えも出てくると思いますし、新しいものを作っていくっていう意味では、世代交代はするべきだと思います。俺が不死身だったら一生アーティストとしてやっていくんですけど」

―アーティスト“雅”としての具体的な夢は?
「もう2年半近く(新曲を)リリースしてないので、まずはリリース。あと、たくさんの人に感じてもらえるような規模でワールドツアーをやるのも一つの夢ですね。他には、ずっと進化し続けたい、っていうのが、夢というか目標です」

―トロントではどんなステージを見せてくれるのですか?
「今回のツアーはドラマーと僕だけなんです。昔の曲をやる関係でキーボードプレーヤーを入れるので、人数的には2・5人。日本でのライヴで少し掴んだ部分もありますが、ある種、挑戦というか…。とにかく自分のギターとビート、そしてメッセージを感じてもらいたいですね」

―それは、ファンには楽しみですけど、やっている方は大変ですね
「大変、大変ですよ(笑)。アタマからケツまで、弾いて、パフォーマンスして、歌って…でも、やりがいもあるし、多分、俺にしかできないだろうな、っていう感覚を持ちながらやっているんで観ごたえはあると思います。
今まで、カナダから日本に来てくれたり、カナダに来てくれっていう声を多く聞いてたのに、行けなかったんですよね。でも今回、カナダにも寄ることが出来てすごくうれしいですね。今の自分の新しいスタイルと一緒に、新しい“雅”を感じてもらえることを凄く楽しみにしています」

※アーティスト名は『雅 -MIYAVI-』ですが、記事中では便宜上、敬称略、表記は『雅』に統一しています。

 
 


Biography

ミヤヴィ ミュージシャン。09年より個人事務所『J-glam Inc.』の代表取締役も務める。99年、インディーズで絶大な人気を誇った「Due le Quartz」のギタリストとして音楽活動開始。02年ソロデビュー。06年には、単身でロサンゼルス留学。翌年、同地で開催された『J-Rock-Revolution』にゲスト出演し、YOSHIKI、Gackt、SUGIZOとの新バンドS.K.I.N.への加入を発表。07年に帰国後、「歌舞伎男子z」を結成。
http://myv382tokyo.com
www.j-glam.net/