RALYZZ DIG
ジャズバンド レリーズディグ(2012年5月4日記事)

日本人の感性がジャズを進化させる

世界最大規模の音楽業界ショーケース「カナディアン・ミュージック・ウィーク」に参加するためトロントにやってきた日本のジャズバンド「RALYZZ DIG」。それぞれ異なる個性を放つメンバー5人にお話を伺った。

トロントでの初ライブは到着当日の夜だったという徳田雄一郎氏率いる「RALYZZ DIG」。

「急遽決まったライブでしたが、反応はよかったですね。その後、食事に行った店の向かいがジャズで有名なマッセイ・ホールで、皆でおぉー!と感動しました」

気さくに初日の様子を話してくれた徳田氏とドラムの長谷川ガク氏は名門、バークリー音楽大学出身だという。「バークリーではいろいろな国からやってきたミュージシャンと出会って音楽性の幅が広がりました」と長谷川氏。徳田氏がバークリー時代に作った「Nothing There」が国際作曲コンペティションで優秀賞を受賞したほか、英国や米国の作曲コンペティションのファイナリストに選ばれ、欧米の音楽シーンから熱い視線を浴びている。08年、徳田氏に芸術文化新人賞を授与した千葉市は先見の明があったと言える。

「RALYZZ DIG」は2年前にピアノの田村和大氏が加入後、ファーストアルバム「Imagination」を全国リリース。昨年はマレーシアの「ボルネオ・ジャズ2011」や中国の「南京国際ジャズフェスティバル」に出演し、大反響を呼んだ。

また、ニューヨークのある雑誌は彼らの音楽を「ジャズとロックの完璧な融合」と評している。「RALYZZDIG」サウンドのロックの要素を担うギターの鈴木直人氏は、ギブソン主催のギター・コンテストで優勝した経歴を持つ。

「中学・高校ではロックを聞きあさり、その後はパット・メセニーやジョン・スコフィールドなどのジャンルを超えたプレーヤーを好むようになりました」

一方、ベースの中林薫平氏のバックグラウンドはビッグバンド。

「高校時代に入ったジャズのビッグバンドで演奏したカウント・ベイシーに一番影響を受けています」

さらに、徳田氏のユニークなアプローチが彼らの音楽の独創性に拍車をかける。

「レリーズディグは造語で、レイ(ひらめき)とリリック(叙情)的ジャズをディグ(探求)するという意味です。このリリックとは心にすぅっと染み込む一番日本人らしい感性。この部分をもっと世界に伝えていきたいです」

子どもの頃、沖永良部島の民謡を聞きながら育った彼は、ステージでジャズにアレンジした「浜辺の歌」や「赤とんぼ」をノスタルジックに歌い上げる。

常にメンバー同士が影響を与え合っているという5人のステージは、彼ら自身でさえ毎回どんな展開になるか予想がつかないという。

「ジャズはアドリブの世界なので、ステージの空気感が独特です。たまたま出した音がうまくリンクしてステージと客席が1つになる、それはその瞬間でしか生まれ得ない感動で、それこそがジャズ。そういう意味でも、カナダはカナダの自由な感覚で僕たちの音楽を楽しんでほしいですね」

今回は、トロントから足を伸ばしてオタワでの東日本大震災支援の絆コンサートにも出演した。昨年、千葉と東京でチャリティコンサートを開催し、集まった寄付金で物資を購入、津波で甚大な被害を受けた気仙沼を訪れたという。「今回のライブでは、被災地での体験も客席とシェアしたい」と徳田氏。

海外での演奏経験は着実にバンドの音を進化させているようだ。「現地の空気を共有して演奏することは自信につながります。それを5人で経験することが大事」と田村氏は話す。今回のショーケース・ライブでさらにパワーアップした「RALYZZDIG」の今後の活躍に注目していきたい。 

Biography

RALYZZ DIG(レリーズディグ)

徳田雄一郎(Alto & Soprano Sax,Vocal)、鈴木直人(Guitar)、田村和大(Piano)、中林薫平(Bass)、長谷川ガク(Drums)。サックス奏者の徳田雄一郎率いるジャズバンドとして08年より活動を本格化。2010年、初アルバム「Imagination」を全国リリース。11年、マレーシアの「ボルネオ・ジャズ2011」に出演。また、国際作曲コンペティションで「Nothing There」が優秀賞を受賞し、欧米各国で紹介された。同年、中国の第10回南京国際ジャズフェスティバルに出演。
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