日本のロックバンドの未来形
RIZE
ロックバンド ライズ(2012年4月20日記事)

言語を、国境を、そしてジャンルの壁を超えるボーダレスバンド

日本の音楽シーンに確固たる足跡を残してきた RIZE(ライズ)が、結成15周年を迎え海外での活動を本格化させている。これまで全米、アジアツアーを行なってきた彼らだが、去る3月23日にカナダ・ミュージック・ウィークの一環としてトロントで2公演を行ない、カナダ初上陸を果たした。

̶ カナダでの公演は初めてですが、率直な感想をどうぞ

Jesse(以下、J)「初めての池で釣りをするようなもんで、そう上手くいくはずはないけど、すごく面白いところに釣りに来たなって感じ。この町で2回もライブが出来たことが嬉しい」

金子ノブアキ(以下、金子)「今晩のライブの照明さんが地元の人だったんですけど、凄く良かったです。もう雇いたいくらい良かったです」

̶ こちらのスタッフや技術者の質が高いということですか?

金子「それはいろいろです。日本と同じで、善し悪しです(笑)」

KenKen(以下、K)「でも上と下の振り幅が日本の倍くらいあるね」

金子「みんな主張がすごい。生き残るために」

̶ それが海外の良さでもあり、悪さでもある?

金子「何かを表現しようとする人は、日本より海外の方がいい。だって誰も人の話を聞いてくれない、(自ら)主張してかなきゃいけないし、そういうリアリティをすごく感じました」

̶ では日本の現状はどうでしょう?アーティストはもちろん、プロデューサーやエンジニアも海外経験がある人が増えてるようですが?

金子「増えてますよね。やっぱり海外に出て行くバンドも増えているだけに」

「ただ年代によって出て行き方がちょっとずつ違うんですよね。70年代にこっちに出てきた人たちと、80年代と、90年代に出てきた人たちとでは何か違う。70年代の人はもっと(現地に)溶け込んでいたりするけど、80〜90年代の人はもっとビジネスにいったりとか」

 完璧なバイリンガルであるヴォーカルのJesse をはじめ、実の兄弟であるベースの金子とドラムのKenKen はともに有名アーティストを親に持つ音楽界のサラブレッド。また同時に俳優としても活躍するマルチアーティストでもある。この奇跡的なメンバーで構成されるRIZE は、言語や国境、そしてジャンルやカテゴリーなど見えない壁からも自由な、あらゆる意味においてボーダレスな存在であると感じさせる。そんな彼らは震災後の日本人の変化、在り方をどう見ているのだろうか。

「今はみんな、貯蓄だとかセーブだとかエコだって言ってるけど、本当に必要なのは、蓄えた人が足りない人にシェアすること。 肩を組み合うみたいな(思いやりの)形が一番重要だと思うんだよね。けど、日本にいるとそれが麻痺しちゃうんです。なんかテメェのことだけやってればいいんだよみたいな、他人のことまで考える余裕もないクセにって言うんだけど、そりゃ余裕はないけど、他人のことだって考えたいし、会ったこともない人と友達になりたいよね 」

̶ 具体的にシェアというと?

「いきなり何千万、何億と寄付するとか、やろうと思えば可能だけどそれだと辻褄が合わないというか、まず会ったこともない人と友達になることから始めなきゃいけないと俺は思う。俺らがライブしてるのも、会ったことない人にまでCD買わせようと思ってないわけ。出来れば会って、ライブ観て、話して、それで「いいじゃん!」てなった人だけが買ってくれればいい。その人たちはきっとCDを大切にしてくれるはずだから」

̶ 震災以降、バンドとしてのオピニオンに変化は?

「バンドとしては分からないけど、個人としては(メンバー同士が)似たような方向は向いてますね。俺らが東北に対して思うのは、まず日本から出て、外から日本に何が必要なのかをもっと見ること。日本以外に住んでる日本人や外国人とか、外から見てる人たちの方が日本を復興させるアイデアを持ってると思うんだ。こうやって海外進出してるのも、アーティストとして格好いいとか売れたいとかでは全くない。外から日本を見てる人たちと会って、話したい。俺らは発信者だから、夏だから夏の曲を出すとか、クリスマスだからクリスマスソングを出すだけの日本の音楽産業システムから外に出て、『日本はもっとこうしたらいいんじゃないの』とか『こうしたら上手くいくんじゃないか』っていうことを(歌詞に)書ければいいなと思うし、音を奏でられればいいなと思う」

̶ RIZE は英語でコミュニケートできる強みがあるので、海外のミュージシャンや音楽シーンとも連動して動いていけるんじゃないでしょうか?

「(そういう動きを)繋げないとね。それこそ、セーブよりシェアなんだよ。Knowledgeをさ。べつに金とか物とかじゃなくて、気持ちとKnowledgeをシェアするだけでSomething could happen」

̶ 英語圏以外のところでの展開はどう考えているのですか?

「まずアジアだね。アジアをちゃんと廻りたい」

金子「(欧米帰りの)逆輸入みたいな感じになっちゃうと嫌だから」

「海外のバンドの奴らって、ちゃんとFrom Manchester だとか出身地を言うじゃん。ウチらの場合はそれがFrom JapanだったりTokyoだったり、さらに細かく言えば、世田谷と品川っていうローカルのアイデンティティがある。そこを今まではあまり説明しるぎるのも小さくなるかなってイメージだったんだけど、今後はもっとニッポンの東京の何処そこから来たっていうアイデンティティをしっかりと持っていきたいなと思う」

かつて日本では、ボーダレス(Borderless)という単語とともに「若者よ、国際人たれ」というメッセージがもてはやされた。国際人たるもの英会話は必須であるという理由で、 結局は英会話スクールを儲けさせるだけのブームで終わってしまった。しかし大切なのは、国や民族をこえて、一個の人間として対等に向きあい、理解しようとすること。違いを認め、相手の存在をきちっと認識する心をもっていること。その意味において、このRIZE ほどボーダレスという言葉を体現しているバンドはないだろう。

Biography

ライズ

97年結成の、JESSE( ボーカル)と金子ノブアキ(ドラム)を中心とした、KenKen(ベース)からなる3人組のロックバンド。2000年8月シングル「カミナリ」でデビュー。02年には3万人を動員した韓国史上最大の野外フェスティバル「ETP FES」に参加し、以降全米、アジアツアーも成功させる。10年6月にはアルバム「EXPERIENCE」を発表。アグレッシヴで力強いサウンドとパフォーマンスは次世代ロックのリーダー的存在として定評を得ている。
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