無印良品の今後の主戦場は国外へ 今こそ個性的な人材を
Satoru Matsuzaki
良品計画代表取締役社長 松崎 曉 (2015年12月4日記事)
先月7日にミシサガのショッピングセンター、スクエア・ワンにて無印良品のカナダ2号店がオープンした。1号店に比べ、1.2倍広いというこちらの店舗は、家具売り場を大きく設け、また、カナダ初の試みとなる子ども服や食品なども並んでいる。無印良品は生活に必要なものを、包装を簡素化するなどの効率化により、リーズナルブルに消費者に届けることをモットーにした小売チェーンを運営する西友のプライベートブランドとして1980年に誕生した。無印良品はその後、1989年に西友から独立した良品計画により、7,000品目を展開するブランドに急成長。良品計画は1991年の英ロンドン出店を皮切りに海外展開を積極的に進め、11月末現在で無印良品の海外店舗数は330、国内店舗数は406と、2、3年後には海外店舗数が国内を凌ぐ勢いで海外事業を促進している。その海外事業展開を中心になって手掛けてきたのが、今年5月に良品計画の代表取締役社長に就任した松崎曉(さとる)社長。カナダ2号店オープンのため、日本から来加した松崎社長から話を伺った。



—アジア、ヨーロッパ、北米、そして中東など世界25か国で海外展開をされていますが、無印良品ではマーケットごとに異なる商品を作っているのでしょうか?

「現在、国ごと、マーケットに合わせた商品作りは行なっておりません。2016年までの中期事業計画では、差別化より同じもの(日本で製造しているもの)を置くことで効率化を図り、事業基盤を作ることをメインにしています。そして、2017年以降、その国に合った品揃えなどをしていく予定です。そうは言っても、各国ごとに特別なものを作ろうとは思っていません。例えば、中国ではお茶を入れた水筒を持ち歩く習慣があり、売れ筋アイテムでもあります。その水筒を中国の人に合わせた容量にするなど、使い勝手をその国に合ったものにする、というような土着化を2017年以降行なっていきたいと思っています」
—カナダでの今後の出店は、どの都市を考えていますか?
「主要都市に出したいとは思っています。トロント(GTA)で3号店まで出して、そのあと、バンクーバーにはぜひ出したいですね」

—海外展開と並行して近年特に力を入れている事業を教えてください

「これまでは個の生活を中心にしていたんですけれど、これからはパブリックな仕事もしていきたいと思っています。今年4月にオープンした成田国際空港第3ターミナルでは、無印良品のソファやベンチが導入されています。今後は、日本の駅の設計、また、待合所に同社のソファを置くなど、そういうことにも取り組んでいきたいと思っています」

—今年5月に良品計画の専務取締役から代表取締役社長に就任されましたが、昇格の1番の理由は何だったかと思われますか?

「前社長が言っていたのは、実績ということでした。2005年に親会社の西友から良品計画に入社しまして、無印良品の海外進出に最初から携わってきました。私どもの会社では、現在、海外の売り上げが3割を超えています。利益はもっと大きくて、今年の上期の決算でいうと、去年の利益に対する定役幅の75%が中国から生み出されています。今年の決算が終わる頃には、利益全体の40パーセント以上は海外事業が占めることになると思います。店舗数もおそらく、2017年か2018年には海外の店舗数が国内を上回るという形になりますので、海外事業を手掛けてきたこれまでの実績が買われたのだと思います」

—海外事業を担当されてきた松崎社長が、外国人とのコミュニケーションで大事にしていることを教えてください

「外国の人から見ると、遠慮してものを言わない日本人は、意思のない人だと思われてしまいます。私は食事会などで、“今日の食事はどうでしたか?”と聞かれた時にも、相手に対して率直に思ったことを伝えるようにしています。自分が思ったことは必ず相手に伝える、それが礼儀だと思っていますし、非常に気をつけています」

—最後に御社が求める人材を教えてください

「2017年もしくは2018年には海外の店舗数が国内店舗数より多くなりますので、日本で採用されても3年ほど働いたら、海外の店舗で働く、という可能性がきわめて高くなっていくことが予想されます。そういう状況の中で、若い人たちには日々の生活の中でモノを考える、という習慣をつけて欲しいと思います。近年入社してくる社員の人は、すごく素直な人が多い。こちら側がよほど差し向けないと、もの(本当に思っていること)を言わないですね。採用面接をしても答えはみなさん同じ。うちの会社では、入社したらまず店舗の仕事をしてもらうのですが、面接で何をやりたいですか? と聞くと、口を揃えて“店舗です”と。その後は? の問いには、“宣伝、販促を担当して…”と、“店舗をやりたいです”と答えた時よりも目を輝かせて話し出すんです。自分をセーブしているような気がしますね。話したからといってその通りになるとは限らないですが、 はじめから宣伝、販促をやりたい、という人がいたっていいと思うんですよね。意に沿わない部署に配属されたとしても、早く希望の部署に行きたい、と、そういう思いで仕事をしてくれればいいんですから。みんながみんな、同じような人ばかりだと会社はおもしろくないかなと思います。特に我々みたいに海外を主戦場としてやっていく会社では、個性のある人を求めています」。




 
 


Biography

まつざき さとる

1978年、西友ストアー(現合同会社西友)入社。2005年、海外事業部アジア地域担当部長として、良品計画に入社。以降同社の海外事業展開に大きく貢献。2015年5月20日、専務取締役(兼)執行役員海外事業部長より良品計画取締役社長に就任。