景気の動向に左右されない強さはものづくりに対する独自のこだわり
Subaru Canada Inc.
スバルカナダ (2015年4月3日記事)

販売台数の最高記録の更新、株価の上昇など景気の良いニュースが度々、近年のメディアを騒がせている日本が誇る自動車メーカー「スバル」。その勢いを表すかのように、2月に行なわれたカナディアン・インターナショナル・オートショーで、 新型レガシィが本年度の「カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。「SUV車では、スバルはいろいろな賞を取っているんですけど、セダンでは初めてだったので、すごくうれしかったです」と語るスバルカナダの社長、太田士郎氏にスバルの車造りの理念や、カナダを含む北米で近年の好調な業績について話を伺った。


―受賞車の新型レガシィについてどういう点が評価の対象となったと思われますか?

「カー・オブ・ザ・イヤーの審査は、2014年に2015年型としてモデルチェンジした車が対象になります。選ぶ人は車のジャーナリストの方々です。スバルの車は、『レガシィ』、『インプレッサ』というセダンにおいても、ボクサーエンジンと呼ばれる水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを標準で搭載しています。また、燃費が悪いイメージのあるAWDですが、スバル独自の技術で2駆並みの燃費を実現しているという性能の良さも評価のポイントだったと思います。さらに、車は性能だけで語るものではなく、形も大事。今回のレガシィが旧型と比べて一番変わった点は、外から見たデザインです。コアのテクノロジーは継承しているんですが、フルモデルチェンジにより、エクステリアデザイン、内装のデザインのクオリティもすごく良くなったという評価をいただいております。カー・オブ・ザ・イヤーの受賞は、性能と外装のデザイン、内装のクオリティ、その総合評価でいただいた賞だと思います」



―スバルの独創技術である「水平対向エンジン」と「シンメトリカルAWD」について解説していただけますか?

「水平対向エンジンというのはシリンダーとピストンが左右平行に並ぶ独特のレイアウトです。他のメーカーの車では、エンジンが縦型、もしくはV型に並んでいますが、それだと重心が高くなる。物が動く時に、重たい物の重心はできるだけ低くあった方が安定しやすいですよね。加速する時、減速する時、曲がる時の安定を生み出しているのがこの水平対向のボクサーエンジンです。安定するならば、みんなこのエンジンにすればいいと思うかもしれませんが、 技術的に難しいことと、直列とかV列よりコストがかかるため、現在スバルのほかにはポルシェが搭載しているくらいですね。
▲水平対向エンジン



そしてシンメトリカルAWDについてですが、AWDとはAll Wheel Driveの略。これは車のパワーを4輪で道に伝えるシステムです。例えば、険しい山を登る時に腕2本または足2本だけで登るよりも、両手両足を使って登る方が安定しますよね。雪道では顕著ですが、乾いた高速道路でも、一般道を普通に走っている時でも一番車を操作しやすいのは4輪それぞれが駆動力を持って車を前に進めるAWDなんです。どうしてスバルがシンメトリカルAWDとして、他社の4輪駆動4WDと区別しているかというと、スバルは、先ほど説明した水平対向エンジンを核として一直線にパワートレインをレイアウトしているため、4輪にバランスよく荷重がかかり、配分された駆動力を無駄にせず発揮できます。また、水平対向エンジンならではの低重心で左右対称の優れたバランス性が、揺れの少ないコーナリングや安定した高速走行を実現できるのです」

▲シンメトリカルAWD



―卓越した技術力が生み出す走りの良さに加えて、米国のIIHS(道路安全保険協会)が行なう安全な車を選ぶトップセーフティピックに6年連続で選ばれるなど安全システムについても評価が高いですよね

「運転しているお客さまがイメージどおりに加速、止まれる、曲がれるという走りの良さに加えて、もう1つ、スバルの車造りのコアになっている柱が、運転者も同乗者も安心して乗っていただけるということなんです。安心とはイコール安全ということになりますが、IIHSのセーフティピックというのはその安全性を第三者により評価しているシステム。人間を想定したダミー人形を乗せて、前後、また、横からの衝突でどのくらいダミー人形に損傷があるかを見るテストで、最もダミー人形のダメージの少ない車が評価されます。どこのメーカーも受賞している車は持っていますが、スバルは、全車種でトップセーフティピックに指定されています。また、トップセーフティピックの中でも自動ブレーキや衝突回避能力などが判断されるトップセーフティピック+にアイサイトというステレオカメラによるスバルの運転支援システムを装着している『レガシィ』、『アウトバック』、『フォレスター』『インプレッサ』、『XVクロストレック』の5車種で認定されています。各メーカーとも似た様な事前の衝突回避システムを搭載されていますが、 先行メーカーの技術力のアドバンテージもあり、スバルのアイサイトが今は一番高い評価をいただいております」


―北米市場においての好調がメディアで取り上げられていますが、この状況をどう見ていますか?

「ちゃんと走る車、安全に走る車を提供するというのは、最近始めたことではなく、ずっと変わらず続けてきたこと。基本的にスバルの車造りの思想は昔から変わっていないのですが、最近になって北米マーケットでそれが評価されてきたということで、販売の結果に出ていると思います。評価が高くなったのは実は、リーマンショックがきっかけなんですよ。リーマンショックの時に全メーカーの販売台数が軒並み落ち込んだんですが、スバルは落ちなかった。なぜかというと、元々スバルを買ってくださっていたお客様というのは、走りだとか、安全性を評価してくださって、高いお金を出してでもいい車が欲しいというお客様。そういうお客様はリーマンショックの影響を受けていないので、スバルは、サブプライムの破綻の影響が出なかったんです。”リーマンショックでも影響を受けないスバル“と、新聞やテレビで取り上げてもらって、今までスバルを知らなかった人にまで知れ渡ったんですね。それが引き金になって、どうせ買うなら、ちょっと高くてもスバルがいいというお客様が増えて、北米で売り上げが順調に伸びているんだと思います」

―カナダ市場では近い将来、どれくらいの売り上げを見込まれていますか?

「アメリカはリーマンショックの時に1800万台のマーケットが大幅に沈んで、そこから毎年毎年、リーマンショック前のレベルに向かってリカバリーの途中にあるマーケット。一方カナダに関してはリーマンショックの影響があまり大きくなかったので、カナダとアメリカを同様には語れません。スバルは去年カナダ国内で4万2000台を販売しました。今年は、全需は伸びないと思いますが、スバルの販売台数は7%くらいは伸びるだろうと見ていて、今年の販売計画は4万5000台。将来的にはカナダ国内で6万台の販売を目指し、ディーラーさんには6万台売るための体制を整えてくださいと伝えています。日本では基本的にディーラーさんは、メーカーの系列店が多いんですが、北米はディーラーさん単体のオーナー店なので、土地を買うのも、販売店を立てるのもディーラーさんの投資によります。目標に見合った場所、店構え、それに見合ったスタッフを揃えるための投資を呼びかけています。基本的なディーラーネットワークの考え方としては、販売台数を競ってディーラーさん同士が足をひっぱりあっていても、全体の底上げにはならない。1ディーラーさん当たりの販売台数をどうやって上げていくかが重要。ディーラーさんの収益が確保できないと、いい場所に土地を買ってもらうとか、大きなショールームや大きなサービス工場を建てたり、いいスタッフを増やしていく投資ができない。1店舗当たりの販売台数を増やして、ディーラーの収益を確保してあげ、将来に向けて投資していただくというのが、2010年に私が社長に就任して以来、強力に推し進めているスタンスで、この5年で約半分のディーラーさんが販売店を立て替えてくれました。ディーラーさんの投資というとミリオン単位の金額。相当大きな決断だと思いますので、投資してもらったら必ず、投資が回収できますという将来像を描いてあげるというのは我々の責任だと思っています」


―商品の良さを伝えるために意識していることを教えてください

「スペックが優秀だとしても、スペックを語るだけでは伝わらない。一番大事なのは、買っていただいたお客様にその車によってどういうライフスタイルが実現できるかを伝えること。お客さまがその車とは異なるライフスタイルを望まれているのであれば、違うスバルをおすすめする。車は気に入らないからといって、6か月や1年で買い換えるわけにはいかない高額商品です。大抵のお客さまは短くても3、4年、長いお客様だと10年以上乗られます。ある意味人生のパートナーみたいな存在だと思っています。その新しいパートナーと一緒にどういうライフスタイルを描いてもらえるか、そういうことの訴求に重点をおいて、広告、宣伝、PR活動をしています」


―スバルカナダにおいて近い将来、新たな事業計画などがあれば教えてください

「スバルはグローバルなブランドですが、生産拠点が少なく、アメリカのインディアナ州と日本の群馬県に工場があるだけなんです。この2か所で現在フル稼働が続いていますが、需要に供給が追いつていない状況でして…。ディーラーに行っても車がないことがあり、申し訳なく、待っていただいたりしていますが、現在、インディアナの工場は拡張工事をしています。完成は2016年の秋の予定です。それで180度、ドラスティックに状況が変わるわけではありませんが、需要にある程度追いつけるだけの生産が来年の秋以降にはできるかと思っております」。


 
 


会社概要

所在地はオンタリオ州ミシサガ市。1976年、スバル・オート・カナダ・リミテッドとして設立。1989年、スバル自動車部門を中心に、航空宇宙カンパニー、産業機器カンパニーなどの事業で知られる富士重工業株式会社による指導の下、スバル・カナダ・インクとして事業拡大を開始。現在カナダ国内に90のディーラーを展開している。

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