日本語の良さや、“ふわり”も伝えたい
the GazettE
バンド ザ・ガゼット(2016年5月20日記事)

トロントのオーディエンスとパワフルで激しい最高の一夜

去る4月27日の午後6時過ぎ、地下鉄ブロードビュー駅近くに人の列ができていた。The Danforth Music Hallで行なわれる日本のビジュアル系ロックバンド「the GazettE」のトロント公演へと向かう人々だ。2002年に結成されたthe GazettEは日本武道館、東京ドームでのワンマンコンサートを成功させ、不動の人気を築いたボーカルのRUKI、ギターのURUHA、ギターのAOI、ベースのREITA、ドラムのKAIの五人組。熱く盛り上がったトロント公演の模様をコンサート前に伺った彼らの言葉を交えて紹介したい。


リリースしたシングルはすべてオリコンチャートのトップ10にランクインしており、実力と人気を誇るthe Gazette。昨年8月にはアルバム「DOGMA」をリリース。6つのムーヴメントとして日本全国ツアーを行ない、今年2月28日にファイナルを迎えた。まず、その手応えについて聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

RUKI「前作以上に手こずったアルバムでしたが、今まで以上にライブの熱量があがった全国ツアーでした」

URUHA「やれる限りを尽くしたファイナルの国立代々木競技場第一体育館でしたが、まだその後に続くムーヴメントがあるので、先を見据えた気持ちで臨めたファイナル公演でした」

AOI「バンド史上、最も過酷ではありましたが、結果的にはバンドの力がより強固なものになったと思います」

REITA「たくさんの挑戦をしたので、とても勉強になりました」

KAI「(海外ツアーも含めると)まだ途中なので、何とも言えません」


URUHAとKAIが言うように、彼らにとって代々木でのファイナルは序章に過ぎなかったと言えるだろう。7つ目のムーヴメントとして、初の北米・南米上陸を目前に控えていたからだ。すでに2013年にワールドツアーを成功させているものの、今回のツアーのために、RUKIはアルバム「DOGMA」以外の楽曲も用意していた。ほかのメンバーも機材まわりを充実させ、日本と同じクオリティのパフォーマンスができるよう入念な準備を進めていると語っていた。

トロントは桜どころかまだ冬の冷たい風が吹いていた4月27日の午後8時過ぎ、The Danforth Music Hallのフロアはライトが一瞬暗転し、ステージから何本ものスポットライトが観客の上を流れていった。両腕を天に向かって高く伸ばし、歓声を上げながら求めるサウンドを待ち受けるオーディエンス達。彼らは列に並んでいる間も、the GazettEの曲を聴き続け、テンションを上げていた。スタンディングのみのフロアはすでに満員、二階席も上の方まで埋まっていた。

the GazettEのサウンドは、デスメタルの絶望的かつ破壊的な音と透明感のある美しいメロディーが重なり合う独特の世界観を持ち、徹底したセルフプロデュースを貫き通している。ボーカル兼作詞担当のRUKIはトロント公演に際して、「共通語として英語はマストだと思いますが、日本語の良さや、ふわり(とした雰囲気)も伝えたいと思っています」と語っていた。それを継いでREITAは、「自分たちのスタイルなので、海外だからということは気にしていない」ときっぱり。カナダのオーディエンスも同様の期待を抱いていたようだ。トロントでのライブを訪れた彼らのほとんどは、インターネット越しにしか見たことがない。中にはメンバーのように漆黒のファッションに身を包んで、ありのままの彼らに出会う瞬間を、心待ちにしていたファンもいた。

暗闇の中から5人の姿が浮かび上がると、さらに大きな歓声があがった。その歓声を突き破るようにへヴィなギターとディープなドラムが会場を揺るがした。パフォーマンスは最初から高いテンションでスタートし、そのサウンドがオーディエンスの歓喜を含んで相乗効果を生み、熱いウェーブがフロアを包み込んでいった。

新アルバム「DOGMA」からの曲をふんだんに盛り込んだ同コンサートは、中盤になっても上がったままのボルテージは揺るがず、むしろ進めば進むほど盛り上がっていく。

十数曲の演奏が終わり、圧倒的な余韻を残して彼らがステージから姿を消すと、アンコールが観客から沸き起こった。それは5分経っても、10分経っても鳴りやまない。15分が経とうとした頃、URUHAがカナダ国旗を持って登場した。会場は再び熱い興奮に燃え上がる。URUHAから国旗を受け取ったRUKIがアンコール3曲をエネルギッシュに歌い上げる。「お前ら、なんてクレイジーなんだ!」「I LOVE YOU!」と英語で叫ぶと、最後に日本語で「愛してます」とつぶやき、RUKIはマイクを置いた。

その後はステージと言わず、フロアと言わず、ビールやウォーターのシャワーが飛び交い、URUHAとAOIがピックを、KAIがドラムのスティックをいくつもフロアに投げまくり、パワフルで激しいショーが幕をおろした。

ここ最近、RUKIがthe GazettEを表現していくうえで一番影響を受けているのは、80年代後半から活躍しているインダストリアル・ロックバンド「Nine Inch Nails」だと言う。一方、AOIは自分以外の4人のメンバーから常に影響を受けていると語り、今回のトロントでのショーを見ても、バンド自身が互いに刺激を与えあって進化していることがうかがえた。

トロント公演後もニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスとアメリカをまわり、最後の5月5日のバンクーバー公演を終えた彼らは、引き続き8つ目のムーヴメントである東アジア、そして9つ目のムーヴメントであるヨーロッパをツアーし、6月12日のロシアでのモスクワ公演まで疾走し続ける。



 
 


Biography

ザ・ガゼット

2002年に結成。活動開始以来、ライブ動員数が破竹の勢いで伸び、06年には武道館公演、アリーナ公演を行なう。10年には東京ドームでも公演し、翌11年以降、大型野外フェスや多ジャンル参加のライブイベントにも参加、13年に初のワールドツアーを行ない、成功をおさめる。結成当初からセルフプロデュースを貫いており、独自の世界観やサウンドは国内外で高く評価されている。2016年4月27日、トロントのThe Danforth Music Hallでコンサートを行ない、成功をおさめた。

サイト:the-gazette.com