伝えたい、常に進化し続ける伝統芸能の“今”
Yoshihiko Fueki×Koji Yamaguchi
和太鼓奏者 笛木 良彦×津軽三味線奏者 山口 晃司 (2015年2月20日記事)
▲「あらまほTOUR2014」より
日系文化会館にて2013年11月に公演を行なった「山口晃司&山口晃司三絃会」。映像を駆使した独創的なステージで観客を魅了したグループの代表山口晃司さんが、今度は和太鼓奏者として活動している笛木良彦さんとの共演で再び同会館にて4月16日(木)に公演を行なう。日本国内でもコラボレーション公演を行ない、時に現代的なスタイルで伝統芸能を披露し、ファン層を拡大している2人。トロントではどのようなステージを見せてくれるのか。

―三味線、和太鼓との出会いを教えてください

山口さん「祖母が三味線の先生だったので生まれた時から三味線に触れている環境にいましたが、本格的に始めたのは5歳からです」

笛木さん「高校生の頃、学校の和太鼓クラブに参加して最初の師匠に出会い、その時からプロを目指し修行しました」

―それぞれの楽器の魅力を教えてもらえますか?

山口さん「大胆でありながら繊細。その両方を合わせ持つところです」

笛木さん「ルックスの美しさと、何と言ってもその音ですね。和太鼓は樽型の硬い胴に両面に分厚い皮を張るという特殊な作り。だからこそ、耳に届く音だけでなく、空気を揺らす力を持った打楽器になっているんです。他の楽器では出せない響きが魅力です」

▲「あらまほTOUR2014」より

―演奏スタイルのこだわりを教えてください

山口さん「ダイナミックな音と高速テクニック、それに合わせた表現力で五感に訴えかけるところです」

笛木さん「和太鼓チームのように大勢ではなく、ソロでやっているところですかね。1人だから太鼓の音がクリアに届けられるし、音楽的なアプローチも増やせていると思います」

―影響を受けたアーティストと、よく聴く音楽のジャンルを教えてください

山口さん「ラルクアンシエルです。世界観、楽曲、カリスマ性すべてに影響を受けています。普段よく聴くのはロックですね」

笛木さん「和太鼓の先人たちは尊敬しています。他に影響を受けたのは故ジェフ・ポーカロやジョン・ボーナム、また、カーマイン・アピス、ジンジャー・ベイカーなどのドラマーです。よく聴くのは、クリームやレッド・ツェッペリン、オールマン・ブラザーズ・バンドなど、60年~70年代に活躍したバンドの曲です」



―お2人ともロック好きのためなのか、時にロックコンサートのようなステージをされていますよね

山口さん「本来、日本の伝統芸能は会場一体となって楽しむ芸術です。手拍子で参加するなどロックコンサートのようなステージにすることで、若さや勢いなど、革新的なイメージを持ってもらえたらと思っています」

笛木さん「1人でリズムを作り出すためにドラムセットのように和太鼓を並べて、ドラム的なテクニックで演奏をしたりしています。それは今やっている音楽に必要性があるからなんですが、それがロックだと言ってくれるなら嬉しいです。ずっとロックスターに憧れてきましたから(笑)」

―若い世代に伝統芸能を伝える立場として心掛けていることはありますか?

山口さん「この伝統芸能の世界をいかに伝えていけるか、いかに面白くできるかを考えています」

笛木さん「自分もまだ知らないことがありますし、もっと勉強しないといけないと思っています。若い人たちが自分の演奏を見て、真似したいとか、いいな、と思ってくれたらそれが伝えることになる。伝統とはそういうものではないかと感じています」



―コラボレーション公演をするようになった経緯とお互いのミュージシャンとしての印象を教えてください

山口さん「僕が中学生の頃、同じイベントに出演したのが出会いですが、3年前に再会し、そこから自然の流れで一緒に公演を行なうようになりました。笛木さんのような演奏スタイルをしている人はいない。彼の和太鼓は唯一無二だと思います。そんなスタイルがとても好きです」

笛木さん「再会をきっかけに、彼がイベントに誘ってくれて共演してから、お互いにウマがあったのか、こうして海外公演をするまでになりました。彼はまさにフロントマンで華のある三味線を弾くんですよ。彼を支えてコントロールして最高のパフォーマンスを引き出すのが僕の仕事だと思っています」

―コラボレーションでは常にどのようなステージを目指していますか?

山口さん「2人でしか表現できない音、世界観を提示して一緒に新しい日本の伝統芸能のイメージを作れたらと思っています。また、その先で日本の伝統芸能が伝わっていくことを願っています」

笛木さん「2人にしかできないことをやりたいと思っていますが、ただやりたいことだけをやっていたら音がケンカしてしまうので、うまくミックスするように音を選ぶようにしています。熱くて楽しいステージを目指しています」

▲「あらまほTOUR2014」より

―最後に、トロント公演を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします

山口さん「2年前の公演では、日本の伝統芸能への関心の高さと温かさ、歓迎のムードに終始感動したことを覚えています。笛木さんは初めてトロントへ公演にいきますが、2人でぜひ、パワーアップしたステージを、また、今の僕だから出せる音、世界を感じに来てください。待っています!」

笛木さん「伝統芸能というのは、常に進化続けている文化です。山口晃司と笛木良彦の創る世界は今を生きるひとつの伝統芸能、今だから創れる2人のステージをぜひ堪能してください。皆さんに会えるのを楽しみにしています」。


コンサートインフォメーション


【日 時】4月16日(木)19時~
【場 所】日系文化会館(6 Garamond Crt.)
【入場料】一般$26.55、JCCC会員$22.12 ※税別
【連絡先】416-441-2345
【サイト】www.jccc.on.ca



 
 


Biography

ふえき よしひこ

15歳で和太鼓を始める。2001年、当時名古屋唯一のプロ和太鼓邦楽演奏集団「打歓人」の旗揚げに参加。全国で演奏活動を行ない、作曲、演奏を担当。06年より本格的にソロ活動を開始。邦楽ユニットに参加する他、打楽器、弦楽器とのセッションやロックバンドの日本ツアーに参加。アメリカ、韓国、インド、カンボジアなどで海外公演を行なうほか、米ジョージタウン大学の特別講師を務め、また、各地でワークショップを行なうなど、和太鼓の魅力を世界に伝えている。


やまぐち こうじ

5歳より三味線を始め、津軽三味線全国大会において、2003年に青森弘前大会学生の部優勝、04年に東京大会優勝。その他の大会で優勝・入賞多数。山口晃司三絃会・会主。 愛知県の芸術をリードするエキスパート達が所属する、愛知芸術文化協会(ANET)最年少会員。「あいち技能応援団」の音楽監修、国や県の公式行事にて演奏するほか、CM音楽の監修も務める。12年にはサッカーFIFAクラブワールドカップなど大舞台で演奏するなど活躍の場を広げている。