保険
Insurance

いざというときに頼りになるのが保険。カナダでは、州ごとに保険の内容や保険適用の条件が異なることも多い。ここでは健康保険や自動車保険など、おもな保険を紹介していく。万が一のときに備えて、普段からしっかりと保険のしくみを知っておこう。
生命保険

カナダの生命保険には、日本と同じように掛け捨て型と積み立て型がある。
掛け捨て型生命保険
掛け捨て保険では、10、20、30年と、その決まった期間は一定の保険料が課される。例えば10年期間のものを選ぶと、10年で契約が終わるのではなく、10年ごとに保険料が上がる仕組みになっている。そのため、保険を申し込む際にある程度掛ける期間が決まっている場合(住宅ローン、家族の扶養義務期間など)に利用される事が多く、また、保険料も積み立て型と比べると安価であることや、キャンセル料無しでいつでも保険から抜け出ることができるなどの特徴がある。基本的に掛け捨て保険では80歳から85歳(保険会社によって異なる)以降は保険を持続することができないが、例外としてTerm 100と呼ばれる保険商品では、100歳まで一定の保険料で保険を掛けることが可能。その為、積み立ては付かなくても、コストを抑えた終身保険が欲しいという人に向いている。
積み立て型生命保険
積み立て型保険では、掛け金はもちろん、将来の積み立て金額などがすべて保証されているタイプの保険と、投資をしながら生命保険を保持するユニバーサルライフ保険がある。どちらの保険も終身保険になるが、ユニバーサルライフ保険では保険料の一部を投資金として利用するため、投資市場の伸縮によってその後の積み立て金額などが左右される。自分にはどのようなタイプの保険が合うのか、専門のアドバイザーに相談するといい。
疾病保険(Critical Illness Insurance)
カナダの疾病保険は成人3大病と言われるガン、急性心筋梗塞、脳卒中を含め、パーキンソン病、腎臓病、失明、火傷など通常20数種類の特定状態が対象となる。傷害保険との違いは、医師により必ずそれら特定状態であると診断されること、そして診断から30日以上(病状により期間が異なるものもある)生存すると、一括で保険金が給付されること。また、支払われた保険金は個人の意思で自由に利用することができる為、なかには治療費用や生活費以外に趣味や旅行に利用するという人もいる。
傷害保険(Disability Insurance)
一般的にカナダでの傷害保険とは、病気やケガを理由に仕事をすることが出来ない状態に陥った時、給与の代わりに受ける傷害失業保険を指す。そのため、保険金の給付は一括払いではなく、給料のように月払いになり、それぞれの年齢や性別、また職業の危険率などにより保険料が異なる。雇用者側から長期傷害(失業)保険を受けることができない場合や、個人経営などの場合は特に考慮したい保険のひとつだ。
医療保険
カナダでは、市民や移民、長期労働者に対して国から健康保険が発行され(州ごとに保険内容は異なる)、オンタリオ州の医療保険はOHIP(Ontario Health Insurance Plan)と呼ばれている。基本的な医療、治療費用はOHIPによって賄われるが、歯科治療や薬の種類などによっては個人負担となることがある。そのため、それらに対して雇用先から付加医療保険を受けられない場合や、海外からの滞在者は個人の医療保険を持つことが必要。またOHIP保持者であっても、州外、国外へ旅行などの理由で出る場合、OHIPによる補助内容が制限されるので、その際には旅行保険などを購入することが政府からも勧められている。詳しくは健康保険の項目を参照。
住宅保険
ホームオーナーズ保険
家の購入に伴う住宅保険は強制的なものではないが、住宅ローンを組む場合は通常、保険への加入が求められる。家の所有者が契約する住宅保険はホームオーナーズ保険といわれ、火災だけでなく、日常生活を取り巻くさまざまなリスクを補償する。

主な保険内容は以下の4項目。
1 )家屋に対する損害
“家屋”には、住居家屋の他にも、敷地内にある車庫、物置小屋、プール、または地面から取り外しのできないブランコ、フェンスなども含まれる。築年数、建物に使用されている建築資材の種類、電気配線など家屋の状態をもとに、購入する家屋と同等のものを新築する費用が算出され、その金額が補償限度額の基本となる。

2 )家財に対する損害
家具、家電など自動車を除く自分の所有物に掛けられる。現金や特別品(貴金属、毛皮、美術品など)の盗難に関しては補償限度額が低く設定されている為、特別品に該当する高額なものは、別途補償品目として、保険契約に追加可能。

3 )災害時の臨時住居
加入している住宅保険で付保する災害(火災、風災など)により、一時的に自分の家屋に住めなくなった際に発生する、通常かかる経費以上の住居、生活費用を補償する。例えば、ホテルに住むことにより発生する宿泊費用、ペットをペットショップに預ける費用など。

4 )第三者への損害賠償
保険加入者や同居するその家族が第三者に与えた損害費用に対する補償。誕生日パーティーで自宅に招いた子どもの友達が階段から落ちて怪我をしたり、知人の家の高級な家具を誤って壊してしまったり、ゴルフ場で他人にボールを当てて負傷させたなど損害賠償義務を負った場合の補償。

【コンドミニアム保険/テナント保険】
コンドミニアムの購入、賃貸物件への入居の場合、それぞれ、コンドミニアム保険、テナント保険の購入が可能(ホームオーナーズ保険の2 )、3 )、4 )の項目が、おもな保険内容)。どのタイプの住宅保険を契約する場合にも、保険内容、補償限度額など、加入契約前に保険会社、保険ブローカーに確認しよう。

【購入方法】
電話やウェブサイトを通して、保険会社と直接契約するか、特定の保険会社の窓口であるエージェント、または、数社の保険会社と取引のある保険ブローカーを通して加入できる。
保険契約後について
●帰国、引越しをする場合
―  帰国前に家・コンドミニアムを売却、または賃借契約の解除をする際は、保険解約の意思表示をすること。保険の更改をしない場合も同様。解約、不継続の連絡をしないと保険は継続され、保険料の支払い義務が生じる。
―  家が空き家になる場合や第三者に貸し出す場合などは保険会社によって保険継続の条件が異なる為、前もって確認すること。
―  引っ越しの際は、旧住所、新住所のクロージング(引渡し)の日付などに応じて、どの住居に、どのタイプの保険が適応されるかを確認すること。

●モーゲージが終了した場合
多くの保険会社で、モーゲージフリーの割引の適用がある。

●その他、契約時の居住状況、または、建物そのものに変更が生じた場合
住居でビジネスを始める、住居の一部を第三者に貸し出す、住居を長期間留守にする、アラーム契約の解約、家の増改築などは連絡すること。保険会社は、契約者から得た情報をもとに、補償リスクを査定しており、保険契約の成立の為には正確な情報が不可欠。連絡を怠ると、場合によっては契約不履行とみなされ、保険の解約、または、クレーム時に保険の支払いを拒否される可能性もある。
自動車保険

オンタリオ州で登録されている車両にはオンタリオ州自動車保険への加入が義務付けられており、保険証(通称、ピンクスリップ)を携帯せずに運転することは罰金の対象となる。自動車保険には、オンタリオ州により義務付けられている強制保険と契約者の選択により追加購入できる任意保険とがある。

【コラム:自動車事故に遭ったら先ずこうする!】はこちら
強制保険
●賠償責任保険(Third Party Liability)
交通事故で第三者に重度の負傷、もしくは死傷させた場合、または器物を破損した場合に生じる損害賠償義務に対する保険。
オンタリオ州では最低20万ドルの賠償責任保険加入を義務付けられているが、ほとんどの保険会社では100万ドルを最低補償限度額に設定している。また、日本では対人、対物の賠償責任に対して無制限の補償限度額が一般的なのに対して、オンタリオでは無制限の損害賠償保険はない。住宅保険に加入している場合、アンブレラ保険を追加することによって、住宅保険と自動車保険の両方の賠償責任保険限度額を上げることが可能だが、保険会社により、アンブレラ保険の提供をしていない場合や、また提供できる限度額に差がある。

●傷害治療費補償(Accident Benefits)
事故に対する過失の有無にかかわらず、被保険者、扶養家族、同乗者および、それ以外の被害者の傷害治療費に対する補償。補償には主に以下のような種類があり、オプションを追加購入することにより、補償限度額を増額したり補償範囲を広げることができる(ただしオプションカバーの適用は保険契約者と扶養家族のみ)。
―  治療・リハビリ費用
―  付添い人費用
―  被扶養家族世話人雇い入れ費用
―  家政士雇い入れ費用
―  所得補償保険金
―  扶養・養育費用
―  死亡保険金・葬儀費用
―  物価スライド特約

●対無保険者保険(Uninsured Motorists)
交通事故の相手が、無保険者だった場合の補償。

●無過失保険(Direct Compensation Property Damage)
被保険者が自分の車を修理する際、加害者に対し賠償を請求しない代わりに、自分の保険会社が損害を補償する。加害者やその保険会社とやり取りをすることなく、速やかに自分の車の修理ができるというのがこの項目の趣旨。相手が自分の車に損傷を与えた場合、相手の保険会社が車の修理費用を補償するという日本のシステムとは大きく異なり、この保険はカナダのいくつかの州特有のものである。オンタリオ州の無過失保険が適用されるには、以下の条件をすべて満たしていなければならない。
1 )オンタリオ州内で起きた事故であること
2 )被保険者に過失が一切ない
3 )被害者、加害者ともにオンタリオ州自動車保険加入者であること
任意保険
●車両保険
保険を契約している車に対する補償。衝突事故、自損事故の場合(Collision)、悪戯や盗難など、衝突以外による場合(Comprehensive)の2種類の補償から成り立ち、それぞれ希望に応じて、免責額の設定ができる。ただし車のリース、ファイナンスの会社より免責額の上限が定められる場合がある。
車両保険に付随して、追加可能な任意保険には以下の特約が含まれる。
―  新車特約
新車購入もしくはリース開始日から2年以内に、全損の事故または車両の盗難があった場合、減価償却金額が差し引かれることなく、その車の購入価格が補償される。

―  代車特約
車両保険が適用される事故に限り、車を修理している期間など代車費用を一定金額まで補償する。

―  レンタカー特約
カナダもしくはアメリカ国内にて、娯楽目的でレンタカーを借りた際、自分の車についている車両保険と同様の車両保険(保険会社によっては免責額を別途設定している場合も有り)が借りた車両にも適用される。レンタカーの運転者は、契約している自動車保険の登録ドライバーに限る。

【購入方法】
住宅保険と同様。
無事故証明書
オンタリオ州は、カナダ国内で最も自動車保険料が高い州と言われている。各民間保険会社は保険庁に登録している料率をもとに、住所や車種、車の使用用途、年間走行距離、各ドライバーの年齢、運転経歴などを考慮の上、保険料を算出。なかでもドライバーの過去の自動車保険の加入歴は、保険料を大きく左右する。 自動保険加入の際、日本で何十年も自動車保険に加入していて無事故無違反だった人でも、北米での保険加入歴がないと初心者ドライバーという扱いになることが多い。しかし、無事故証明書と呼ばれる、保険加入年数と、無事故年数を証明する英文書類を提出することによって北米以外での保険加入歴を一定年数まで考慮した上で保険料を算出する保険会社もある。必要書類の詳細は保険会社によって異なるため、前もって確認をすること。
保険契約後について
●帰国する場合
帰国前に必ず保険解約の意思表示をすること。
解約、不継続の連絡をしないと保険は継続され、保険料の支払い義務が生じる。

●引越しをする場合
運転免許証、車両登録証の住所変更手続きとあわせて、自動車保険の住所変更が必要。
また、自動車保険は各州ごとに管轄されている為、オンタリオ州外への引越しをする場合、引越し先の州で新たに保険契約が必要となる。

●車のリース、ファイナンスが終了した場合
自動車保険の保険証券には、リース会社やファイナンス会社が保険金受け取り人(Loss Payee)として記載されている。事故があった場合の手続きをスムーズに行う為にも、車の所有者、ライセンスプレートの登録者などの所在を明確にし、変更が生じた場合には速やかに連絡すること。

●その他、契約時に記入した保険申込書の内容に変更が生じた場合
住所変更、車の入れ替え、車の使用用途やドライバーの変更、扶養家族が新たに運転免許を取得した場合など、契約内容に変更が生じた場合、保険会社に連絡をしなければならない。また、期間中に運転免許証が停止、取り消しされた場合も連絡する義務がある。保険会社は契約者から得た情報をもとに補償リスクを査定をしており、保険契約の成立の為には正確な情報が不可欠。連絡を怠ると、場合によっては契約不履行とみなされ、保険の解約または事故時に保険の支払いを拒否される可能性もある。

生命保険項目監修:Northwood Mortgage Life スー 鈴木
自動車保険、住宅保険項目監修:HUB International Ontario Ltd.