医療制度
Medical Care

初診を受け付ける日本の病院とは大きく異なり、カナダの総合病院では基本的に初診外来患者の診察は行なわれていない。カナダでは、ファミリードクター制度が主流となっているため、まずは掛かりつけのファミリードクターに診察してもらう。その後、必要な場合には病院や専門医が紹介される。また予約無しで診察を受けられるウォークインクリニックの利用も可能。万が一に備えて、カナダの医療制度を知っておこう。
医者のかかり方
緊急の場合
救急車を呼びたい場合は、「911」に電話する。不必要に利用されないため救急車は有料。オンタリオ州では州の健康保険(OHIP)保持者は45ドル、それ以外は240ドル(個人加入の旅行保険などでカバーされることが多い)。OHIP保持者であっても、医師により全く急を要しない救急車の利用と判断された場合、240ドルが課せられることがある。救急車を呼ばないまでも、平日の夜、土・日・祝日などに医師にかかる必要がある場合は、各総合病院の救急外来(Emergency)で診てもらうことが出来る。OHIPがあれば無料。予約は必要ない。救急外来ではまず看護師と話す。そこで患者の症状を確認し、急を要する場合はそのまま院内に通される。それ以外は待合室で自分の名前が呼ばれるのを待つことになる。最近の傾向として、待ち時間は2、3時間から長い時には5時間といわれている。
主治医・ファミリードクター ( General Practitioner / G.P.)
ファミリードクターは定期検診、診療、薬の処方などを行なう。OHIPがあれば無料で受診することができる。ファミリードクターを通じて、専門病院での検査や専門医への紹介も行なわれる。本人だけでなく、家族の病歴、薬の履歴などを常に把握してくれるので、1年に1回は定期健診を受けよう。

【ファミリードクターを探す】
カナダでは、ファミリードクターが不足気味のため、まずは新しい患者を受け入れているドクターを探さなければならない。知人に紹介してもらったり、オンタリオ州医師協会のウェブサイトから探すことができる。

▲ウォークインクリニックは便利だが、
順番が来るまで待つことになるので
時間に余裕を持って出掛けたい

オンタリオ州医師協会ウェブサイト
www.cpso.on.ca
ウォークインクリニック
(Walk-in Clinic)
ファミリードクターのいない人、緊急ではないが予約なしですぐに診て欲しい時に便利。OHIPがあれば無料。それ以外は各クリニックで決められた額の現金を支払えば受診できる。

▲市内の主要エリアやショッピングモールに
あるショッパーズ・ドラッグマート。この
ようなドラッグストアでは薬剤師のいる専用
カウンターがあり、処方箋を提出すれば
必要な薬を出してもらうことができる

医者から処方箋(Prescription)をもらい、薬局で申請し薬を購入する。OHIPは適用されず、全額自己負担となるが、会社の保険がある人は何割か適用される場合がある。また、シニア(65歳以上)に関しては補助制度がある。

購入する薬局の指定はないが、薬の購入履歴が残るように特定の薬局を決めておくとよい。
専門医(Specialist)
カナダでは、医師からの紹介状なしで直接、産婦人科、皮膚科などの専門医に掛ることはできない。専門医は詳しい検査や治療が必要な時、ファミリードクターによって紹介される。ファミリードクターがいない場合などは、ウォークインクリニックの医師が紹介してくれる時もある。
健康保険

カナダでは各州の州政府が独自の健康保険を展開している。加入条件などは各州によって異なるが、ここではオンタリオ州のシステムを紹介する。
オンタリオ州健康保険(OHIP)
オンタリオ州居住者を対象に、オンタリオ州は健康保険システムOHIP(Ontario Health Insurance Plan)を提供している。加入者は、歯科、眼科を除くほぼ全ての医療費がカバーされる。薬代、差額ベッド代、専門医の診療費の一部、リハビリテーション費用の一部、美容整形費用には適用されない。以下の医療サービスを無料で受けることができる。
●健康診断/検査/治療/入院
●出産/助産婦
●予防注射 ※一部不可
●専門医 ※一部不可
※整形手術など、治療ではないものは不可
※サービスを受ける際は、OHIPカードを毎回必ず提出しなければならない。

【加入条件】 オンタリオ州居住者であり1年のうち153日以上同州に居住していること。カナダ国民・オンタリオ健康保険法に基づく永住権保持者・難民指定を受けた者のいずれかに該当、もしくは6か月以上有効な労働ビザを持つ外国人労働者、およびその配偶者(同性のパートナーを含む)と扶養下にある子ども。
※通常オンタリオ州居住開始より3か月後に取得することができる。

OHIP Office - Toronto
場所:777 Bay St., Lower level
営業時間:月~金 8:30 ~17:00

場所:47 Sheppard Ave. E., 4F
営業時間:月~金 8:30~17:00 ほか

www.health.gov.on.caを参照
その他の医療保険
カナダに留学する学生は、必ず保険に加入しなければならない。特に大学に通う留学生は、UHIP (University Health Insurance Plan)という健康保険への加入が義務付けられている。

OHIPやUHIPの保持・非保持に関わらず、保険適用外の歯科治療などは、民間の保険プランに加入する。これらは、会社等の団体で加入するのが一般的であったが、最近では個人・家族でも加入できるプランがある。

旅行やワーキングホリデーなどで短期滞在する場合の保険は、民間の保険会社を利用する。保険の中にも、留学生向け、ワーホリ向け、ビジター向けなどのプランがあるので自分にあったものを探そう。
妊娠・出産に備える
妊娠
妊娠の可能性が疑われたら自分で妊娠判定を行なうのが一般的。妊娠判定検査薬は薬局で購入できる。ウォークインクリニックなどで血液検査をして妊娠判定をすることもできる。陽性判定が見受けられたら、ファミリードクターを受診し、産科医(Obstetrician)を紹介してもらう。出産はその産科医の所属する病院で行なうことになるため、自宅から遠いなどの理由で変更を希望する場合は、ファミリードクターに別の産科医を紹介してもらうこともできる。また、自分の希望する病院があれば、直接電話をして受け入れの有無の確認をし、受け入れが決まればファミリードクターに紹介状を依頼する。産科医でなく助産師(Midwife)を希望する場合は自分で探すことになるが、1人の助産師が受け持つことができる妊婦の数が決まっているので、妊娠がわかったらすぐに探し始めるとよい。自宅出産を行なう助産師もいる。

Association of Ontario Midwivesウェブサイト
www.aom.on.ca
妊娠定期健診
検診は妊娠30週目までは月1回、その後36週目までは月2回、それ以降は毎週となる。

超音波検査は妊娠全期を通して通常1~2回程度、あとは必要時に随時行なわれる。妊娠中の検診、検査、出産費用にはすべてOHIPが適用される。
出産前講座( Prenatal Class)
ほとんどの病院で出産前のプログラムが組まれており、自分の希望するクラスに参加することができる(費用は病院によって異なる)。

内容は、妊娠・出産の基礎的知識から、陣痛・出産時の対処法、母乳育児の方法などいくつかあり、パートナー同伴で参加するものもある。また分娩室、病室が見学できるホスピタルツアーが組み込まれていることもある。病院以外でも、妊産婦をサポートするセンターや市が主催する無料のクラスが設けられている。
出産
病院は24時間体制なので、異常があればすぐに電話をして指示を仰ぐ。経過が順調であれば、陣痛が5分間隔ぐらいになったら病院に連絡し、入院する。出産にはパートナーが立ち会うのが一般的。

カナダでは無痛分娩が主流だが、希望する場合は自然分娩も可能。入院は普通分娩の場合で2日、帝王切開で4日。退院後は保健師(Public Health Nurse)の家庭訪問を受けることができる。
出生届
退院時に必要な書類を病院から受け取り、必要事項を記入後、市役所に提出または郵送する。また、出生登録と登録証明書はService Ontarioのウェブサイトからも取得することができる。カナダは国籍法に出生地主義を採用しているので、両親ともに日本国籍などの外国籍であっても、カナダで生まれた子どもはカナダ国籍となる。日本は親の国籍に重きを置く血統主義を採用しているが、出生3か月以内に日本の出生手続をとらない場合は日本国籍を失なう。出生届けともに日本の国籍を保留する意思の表示をすれば、22歳に達するまでは二重国籍保持者となる(22歳に達する前に日本か外国籍のどちらかを選択)。

Service Ontario ウェブサイト
www.ontario.ca/page/register-birth-new-baby
その他の医療サービス
医療通訳
英語が不安なときは、医療通訳サービスや通訳会社を利用できる。なお、海外旅行保険や駐在保険に加入している場合、通訳費に保険が適用されることが多い。
無料電話医療相談(テレヘルスオンタリオ)
オンタリオ州政府は、毎日24時間、電話での無料医療相談サービスを提供している。症状を伝えると、公認看護師(Registered Nurse)が様々なアドバイスをしてくれる。日本語通訳サービスを受けることも可能。

Telehealth Ontario連絡先
1-866-797-0000
歯科医
OHIPは適用されず、会社などで保険に加入していれば治療内容によって保険支払いとなる。一般歯科医受診後、必要であれば入れ歯専門、歯茎専門などのスペシャリストを紹介される。緊急時には当日予約で受診できるサービスもある。

Dental Emergency Service
連絡先:416-485-7121
営業時間:毎日8:00~24:00
サイト:www.dentalemergencyservices.ca

Emergency-Dental-365.com
連絡先:416-510-2253
営業時間:毎日6:00~22:00
サイト:www.emergency-dental-365.com

▲メガネ店ではメガネやサングラスを購入
できるだけでなく、修理などもしてくれる

メガネとコンタクトレンズ
購入の際には処方箋が必要なので、事前の検査が必要となる。検眼師が常在しているメガネ店でも検査が受けられるので相談してみよう。検査は、20歳以下または65歳以上はOHIPが適用されるが、その他は有料となる。
予防接種
ファミリードクターまたは小児科医で各種予防接種を受けることができる。就学前の児童にはジフテリア(Diphtheria)、破傷風(Tetanus)、脊髄性小児麻痺(Polio)、はしか(Measles)、おたふく風邪(Mumps)、風しん(Rubella)の予防接種が義務付けられており、入園や学校入学の際には接種記録の提出が必要となる。インフルエンザの予防接種は無料で受けることができる。
マッサージ・鍼・指圧・カイロプラクティックなど


トロント全域に亘り多数のクリニックがあり、肩こり、腰痛、頭痛、不眠、めまい、ぎっくり腰など、様々な症状の治療を行なう。日本語の通じるところも数か所ある。OHIPは適用されないが、会社の保険が適用される場合がある。

▲チャイナタウンの漢方薬店では
日本製の薬も手に入る

漢方薬
チャイナタウンを中心に漢方薬を扱う店が数多くある。自分の欲しいものを購入することができるほか、漢方医に症状を話して適当なものを調合してもらうこともできる。また、灸や湿布薬、漢方を使った塗り薬なども入手可能。