不動産
Real Estate

カナダに長く居住していると、ビジネスのための不動産物件や、自らが居住するための住宅の購入を考える人も増えてくるだろう。ここでは、住宅の購入に焦点を当て、契約やローンの組み方など、日本とは少々異なるカナダの住宅事情を紹介していく。また、州や都市によって税率や税金控除要項などの条件が変わってくるので、注意が必要だ。
住宅購入
物件の種類
カナダでの住居は大きく分けて、一戸建て住居、タウンハウス、コンドミニアム(アパートを含む)がある。コンドミニアムとアパートは、分譲マンション(コンドミニアム)か、賃貸マンション(アパート)かで呼び分けられていることが多い。また、タウンハウスとは一般的に長屋形式の住宅を呼び、ロビーなどはなく、それぞれの住居が独立した玄関を持つ。
購入申込
住宅の購入を希望する際は、住宅売買専用のサイトや希望のエリアにある家の前に出されている「For Sale」と書かれた看板を目印に自分で探してもよいが、不動産業者(Realtor)に相談すると便利。カナダでは、売り手側のみが不動産業者に手数料を支払うことが多いため、購入者は手数料の支払は不要。
売買契約
欲しい物件が見つかったら、売り手側に買い注文(Offer)を出す。売り手側が提示している価格に対し、買い手側としての希望価格などを申し込むことができる。売り手側がその金額に納得しない場合は拒否される可能性もあるが、条件修正の申し込み(Counter Offer)をして歩み寄ることが多い。その場合、修正された申し込み金額を受けるか、24時間以内にもう一度オファーを出す。このようなやり取りを繰り返し、交渉が成立した場合は、保証金(Deposit)として購入額の約5%ほどの金額を保証小切手(Certified Check)にして渡す。
購入手続き
オンタリオ州では、住宅の登記やローンの登録などは弁護士が代行する。決済日の1~3日前に弁護士の事務所で契約書類に署名をする。その際、保証金として既に渡されている額を差し引いた頭金(Down Payment)や代行者手数料を弁護士に一括して渡す。
【コラム:不動産市場および住宅購入について】はこちら

住宅ローン

即金で購入する場合を除いて、住宅を購入する際はローンを組むが、不動産を見て廻る際には自分がどのくらいのローンを組むことができるのか、つまり、どのくらいの不動産なら購入可能かを知ることが必要。そのため、まずは銀行や専門のブローカーを通して自分の予算や貸付金利を相談することが第一歩となる。
モーゲージ・ブローカーの役割は、住宅を購入する消費者とレンダー(銀行や金融機関など)との仲介であり、ほとんどの場合、仲介料は銀行からブローカーに直接支払われる。そのため、消費者は無料でサービスを受けることができる。また、個々の銀行に行くのではなく、数あるレンダーの中から金利や個人の条件などを見てマッチングをしてくれるので便利。
プレ・アプルーバル
プレ・アプルーバルとは具体的なローン金額や金利が承認された状態のこと。物件購入のおよそ4か月前から行なうことができるので、物件を探す前に承認を受けておくと良い。ただし、完全に承認された実際のアプルーバルとは違うため、あくまでも利率の確保やローンの承認金額を見る目安として利用する。

ローンを組む際に重要な点は以下の3つ。
●収入証明
ローンの支払い額、固定資産税、光熱費、メンテナンス費がある場合はその50%と、それ以外の月々の支払い(車のローン、クレジットカードなど)を足した金額が、全収入の44%以下でなければならない。この比率をTDS(Total Debt Service Ratio)と呼ぶ。

●クレジットスコア
個人の支払い能力を数値にしたもの。ローンに対して毎月の支払い義務を果たしているかが反映される。数値が良いと有利な融資を受けることが可能になるので、クレジットカードを使った場合は、例え小さな金額でも期限内に支払うことが大切。

●頭金
一般的に頭金は購入額の5%以上を持つことが望ましい。20%以上の頭金がある場合では、ローン不履行保険の義務(ローンを組む際に一度だけ払う保険料)を逃れることができる。
ローンの金利
金利には、変動レートと固定レートがある。固定レートは契約時に決めた期間中ずっと同じ利率を保ち、変動レートは、プライムレートに伴って変動する。プライムレートとはカナダ銀行によって年に8回見直しされる利率のことで、その変動が民間銀行のレートに影響することから、貸付利率の水準点として利用されている。
クロージングコスト
住宅を購入する際に、購入代金以外に掛かる費用をクロージングコストと呼ぶ。クロージングコストに含まれるものは以下の様なものがある。
●ランド・トランスファー税
購入者に対して掛けられる土地税。州への支払いと、トロント市内の住宅を購入した場合にはトロント市へも支払う。税率は住宅購入金額によって異なり、住宅を初めて購入する人に対しては大きな税金免除がある。

●弁護士費用
カナダでは住宅を購入する際、弁護士を通して住宅やローンの登録をする必要がある。

●アプレイザル
ローンを組む際は、専門の査定業者により住宅の金額の査定をする。ローンや住宅の種類により、必要な時もあれば、不必要な時もあり。

●ホーム・インスペクション
専門の業者を雇い、購入住宅の状態を点検する。オプションのため、古いタイプの家や5年以上経つ家を購入する際にすると良い。

●ランド・サーベイ費/タイトル・インシュランス費
土地登録に対する費用。

●火災保険
住宅が譲渡される前に保険の設定をする事が必要。

●クロージング調整
前所有者によって前払いされた固定資産税、高熱費用などの調整費用。

●新築住宅保証書
対象は新築住宅のみ。

●HST & PST(税金)
HSTは新築住宅にのみ適用。PSTは上記で説明したローン不履行保険に対して掛かる。
固定資産税

固定資産税(Property Tax)は、不動産のある市町村により税率が異なり、トロント市の場合は年に2度、住宅所有者に郵便で納入の案内が送られてくる。固定資産税は不動産査定報告(Property Assessment Notice)を基に決められる。


住宅ローン項目監修:
Northwood Mortgage Ltd. ジョー・フェニック