幻の染物の美しさを堪能

(2018年5月11日)


テキスタイル・ミュージアム・カナダにて2月7日から5月13日の3か月間にわたり、故・久保田一竹の着物展「Artistry in Silk:The Kimono of Itchiku Kubota」が開催された。一度見たら忘れられない、唯一無二の世界観を表現したデザインが特徴的な、久保田一竹の独自の技術による染色芸術「一竹辻が花染め」。同技術を用いて製作された着物の数々は、日本国内はもとより海外展でも高い評価を得ており、過去にはフランス芸術文化勲章を授与されるなど、世界中から賞賛を浴びている。ここカナダでは過去にオタワで展示が開かれたことがあったが、トロントでは今回が初めての公開となり、多くの人がその世界が注目する芸術作品を一目見ようと会場に足を運んだ。非常に複雑な行程を経て生み出される着物の数々、中には仕上がるまでに1年もの時間を要するものもあるという。精妙なデザインを肉眼で間近に見られるのは実に貴重な機会であった。「一竹辻が花染め」は、もともとは室町時代に存在していたがこつ然と姿を消した「辻が花」という、幻の染物の美しさに久保田一竹が魅了され、長年の歳月をかけて研究を重ね、完成させたというものだ。まるで絵画のように、自然をモチーフにしたデザインなどが豊かな発色で着物に描かれている。複数の着物を並べることによって、1つの模様として浮かび上がる作品などもあり、それらの作品が持つ迫力に圧倒される。久保田一竹が表現した世界観を、多くの人がじっくりと見つめ、広大な芸術世界に浸っていた。











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