日本とイヌイットの版画交流を探る

(2015年12月18日)

 

ロイヤルオンタリオ博物館(ROM)にて12月10日、1950年代後半に日本の版画家と北極のイヌイットの間でどのような芸術的交流があったのかを読み解く講義、「A Transnational History of Japanese Prints: the Inuit-Japan Exchange of the 1950s」が行なわれた。日本美術の研究者である池田安里さんは講義の中で、カナダ政府の職員で画家のジェームズ・ヒューストンさんが日本の創作版画家の平塚運一さんのもとで木版画を3か月間学んだ後、イヌイットの居住地でその技法を伝えたことを紹介。

▲池田安里さん

イヌイットの人々が浮世絵から分業システムを学び、落款(らっかん)に似たスタンプや和紙、さらに白黒の単色刷りなどの技術を版画制作に取り入れるようになったことを説明した。また当時、ヒューストンさんは民芸運動の思想家・柳宗悦さんと交流を深めており、後にイヌイットにまでその民芸運動が広がったという。池田さんは講義の最後に、近代の日本の版画が中国からの影響を大きく受けていたことを解説し、文化交流の中で芸術がお互いに影響を与え合い、変化したのだと語った。




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