Japan Exchange and Teaching Programme(JET)の帰国歓迎会に行って来ました!



JETプログラムとは、「語学指導等を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Programme)」の略で、カナダやアメリカ、イギリスなど世界各国から大学卒業後の若者を集め、1~5年間、ALT (外国語指導助手)、CIR(国際交流員)、SEA(スポーツ国際交流員)として日本に派遣する事業。カナダからは、2012-2013年のプログラムで477名が派遣されています。今回は、10月26日に開催されたJETプログラム帰国者歓迎会をレポートします。

在トロント総領事公邸にて行なわれた今回の帰国者歓迎会には、ALTを務めて最近帰国した20名のほか、日系有志たちが出席しました。

まるで豪邸のような総領事館でのパーティー。山本栄二総領事やJETプログラム参加代表者などの挨拶ののち、日本食を囲みながら歓談が行なわれ、ALTの皆さんに暖かく迎え入れていただき、お話を聞くことができました。

まず1人目はJETプログラム参加者代表として挨拶をしたAlexander Taylorさん。Alexanderさんは、2007年から2012年の約5年間、福島県伊達郡川俣町で中学校2校、小学校6校、幼稚園5か所、保育園1か所でALTをしていました。2011年3月11日の震災当時は、被災地にいて、被害を目の当たりにしたと言う。母国へ帰国する外国人が多い中、Alexanderさんはその後も現地に残り、最長期間の5年間、ALTとして活動を続けました。代表者挨拶の中で、「震災後、自分はゲストとして川俣町にいるのではなく、コミュニティの一員なのだという気持ちに変わった」と語っていたAlexanderさん。



―震災当時はどうしていましたか?

3月11日は、担当していた中学校の卒業式があり、その後、地震が発生しました。家の電気が停まってしまったので、寒さをしのぐため、震災当日の1日だけ避難所に泊まりました。その後は、自宅に戻ったのですが、十分な食料を手に入れることができず、お米とパスタのみでしばらく過ごしていました。

―子どもたちの様子はどうでしたか?

日常とあまりに違う生活が始まり、興奮状態の子たちはいましたが、脅えてふさぎ込むといった様子はありませんでした。

―震災後、すぐにカナダに帰国しようとは考えませんでしたか?

思いませんでした。

―好きな日本のものは何ですか?

お好み焼、寿司、桜、相撲! 好きな力士は、バルト、琴欧洲、魁皇…

次に伺ったのが、長崎県大村市に2011年から2012年にかけて滞在していたというALTのMichael Palmerさん。今では、ひらがなとカタカナ、一部の漢字を読むことができるそう。トロント映画祭でトロントを訪れた阿部寛さん主演の「テルマエロマエ」も字幕なしで鑑賞したのだか。

―将来はどのような職業につきたいですか?

専門の公衆衛生学をさらに勉強したいと考えています。発展途上国の公衆衛生に関連する職業を目指しています。

続いては、JETAA(JETプログラム同窓会:JET Alumni Association)のCindy Lamさんです。

JETAAとは、JETプログラム経験者の有志が中心となって運営している団体で、JETプログラム参加者たちにむけ、渡航前にお辞儀の仕方や食事、貨幣など日本について学ぶ3日間の研修を提供したり、カルチャーショックやリバースカルチャーショックのケアを行なっています。



―日本で生活を始めたカナディアンの方々は、どのようなカルチャーショックを受けるのでしょうか?

人それぞれですが、カナディアンの私たちは、日本に着いた途端、標識や看板など全く読めない文字に囲まれ、まるで赤ん坊になったかのような気分になります。そして、アパートで独り暮らしを始めます。大抵は、1つの街に1人のALTですので、周囲に外国人は自分だけという状況も多いのです。そのような環境に慣れるのに時間がかかる人もいますね。その他には、「日本は寒い!」と言う人も。なぜなら、日本にはセントラルヒーティングが浸透していないので、カナダより気温は高くても、日本の方が寒く感じるんですよ!

―リバースカルチャーショックとはどのようなものですか?

日本からカナダに戻ってきた時に感じるカルチャーショックです。例えば、「日本の電車はあんなに静かだったのに」とか、「カナダの接客はラフすぎるなぁ」とか。日本のレストランの接客は本当に素晴らしいですから! また、日本の遠回しな話し方に慣れてしまうと、久しぶりにカナディアンのストレートな表現を聞いたときにストレスを受ける人もいます。

現在はJETAAのスタッフとして活動していらっしゃるCindyさんですが、2008年から2010年まで岡山県倉敷市でALTの経験があります。そこで、引き続きALT時代のお話を伺いました。

―日本での生活はいかがでしたか?

日本の方々はすごく親切です。道に迷っている時など、英語が話せない方でも助けようと話しかけてくれます。また、休日には毎週さまざまなところに旅行に行きました。トロントだと近場の観光地は限られているのですが、日本では電車に乗ってあちこちに観光に行けるので楽しかったです。

―好きな日本の食べ物は何ですか?

きびだんご! 大好きです。帰国する際もたくさん買ってきましたし、最近も岡山から帰国する友人がいたので買ってきてもらいました。あとは、キットカット! カナダにはチョコレート味しかありませんが、日本のキットカットは期間限定や地域限定のさまざまなフレーバーがあるので面白かったです。2年間で90種類ぐらい食べました。一番好きな味は、あずきですかね。コーラ味も、コーラそのものの風味がしておいしかったですよ(笑)。

―日本の英語教育の問題点は何だと思いますか?

1点目は、カタカナ英語です。andを「アンド」、coffeeを「コーヒー」と発音してしまうところです。2点目は、英語の授業なのに先生が日本語で説明をすることです。私は終始日本語を使わずに英語のみで授業をするようにしていましたが、生徒たちは辞書を引いて、理解してくれていました。そして、2点目はモチベーションです。

―モチベーションとは?

多くの生徒にとって、英語学習の目標はあくまでも試験で良い点数を取ることです。また、一部の生徒は英語を学ぶ理由を見出せないでいます。「あなたにとって英語を学ぶことは重要ですか?」と聞いたら、「重要じゃないです。だって日本から出るつもりはないから」という答えが返ってきました。確かに、韓国や中国では英語力の習得が将来のために必須と考える人が多いですが、日本では、“日本の学校を卒業して、日本で就職する”という流れが一般的ですよね。そうすると、英語を学ぶ必要性を感じない人がいるのも当然です。モチベーションがあるのとないのとでは、英語の上達の速度が全く違うと思いますね。

―なるほど。英語を実際に”使う“ことが難しいのはこれらのことが起因しているのかもしれませんね。

昔に比べて、日本の英語教育は良くなってきていると私は思います。以前は、英語の授業は中学校からでしたよね。その頃に習い始めると、慣れない英語に対して、まず、間違いを恐れてしまうため、中学や高校での授業への参加姿勢が消極的になってしまっているように思えました。今は小学校から英語の授業が組み込まれているところがありますよね。早く英語学習を始めた学生たちは、積極的に英語を話しているように思います。





まだALTが起用されていない頃に学生時代を過ごした私としては、小さい頃から英語に触れる機会のある現代の学生が羨ましい限りです。Cindyさんのお話にもありましたが、私自身、学生時代は入試のために英語を勉強しており、心から英語を習得したいと思ったのは、大学時代にスペイン人の友人と出会ってからでした。大切な人が話していることの意味を理解し、自分の気持ちを伝えたい、その欲求が英語力を向上させる。異なる文化や価値観を持った外国人が、日本の学生たちの好奇心を掻き立て、世界と英語への興味を刺激する。その意味で、彼らALTの存在意義は大きいのだろうと今回の取材で思いました。

<記事:木下智尋>




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