多彩な文化を映し出すアジア映画のフェスティバル
Toronto Reel Asian International Film Festival 2012
トロントリールアジアンフィルムフェスティバル2012(2012年10月19日記事)

日本映画が初めてガラに登場したことでも盛り上がったTIFFも終わり、秋本番のトロントに、再び熱い映画祭「トロント・リール・アジアン国際映画祭」がやってくる。今年で16年目を迎えるこの祭典は、世界で活躍する東・東南アジアの映画製作者による映像作品を中心に集めたもの。映画を通じてカナダの文化の多様性を映し出すこと、アジア文化を背景に持つ人々の芸術的貢献の認知度の向上を目的としている。当初はトロントのみで行なわれていたが年々規模を拡大し、現在はトロントとリッチモンドヒルの2か所にて開催。期間中は映画上映だけでなく、討論会、ワークショップ、パーティなど、エキサイティングな催しが目白押しだ。イベントには監督、プロデューサー、脚本家らの出席も予定されており、作品制作の裏側に触れる機会も満載。コアな映画ファンでなく ても足を運んでみたくなるだろう。
出品作品の多くは、自国、外国の映画賞を獲得している傑作揃い。なかでも、トロントでのクロージング作品に選ばれている韓国映画『Architecture 101』は、恋愛映画において韓国史上最高の興行記録を更新したという話題作。既存のラブストーリーとは一線を画するストーリー展開と、同作品で今年の百想芸術大賞映画部門の新人賞を受賞したソヨン役のスジの新鮮な演技が光る。日本人監督の作品は2作品。一本目は、無骨な木こりと新人映画監督との心の交流を描いた『キツツキと雨』。役所広司と小栗旬、演技派2人の競演も見どころ。また、アニメーション映画で知られる細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』は、物語性の高いファンタジードラマで、国内公開前から世界34の国と地域で公開が決定していたという諸外国での評価も高い作品だ。
その国独自の文化、伝統、宗教などと共に繊細な心情描写がされているアジア映画。トロントとリッチモンドヒルと、2会場に分けて行なわれるイベントでアジアの才能がきらめく秀作を堪能しよう。


▲写真上

Architecture 101

reel asian

大学の「建築学概論」の授業で出会ったスンミンとソヨン。告白の言葉を心の中にしまったまま2人は遠ざかることになってしまうが、15年後、建築家になったスンミンの前にソヨンが現れ、家の設計を依頼する。共に家を作り上げていく間に、学生時代の淡い初恋の記憶がよみがえるのだった。

【日時】11月11日(日)20時15分
【場所】The Royal (608 College St. W.)



編集部のおすすめの6作品

Wolf Children (おおかみこどもの雨と雪)

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花が恋いに落ちた相手は、人間の姿で暮らす” おおかみおとこ”。やがて2 人は子どもを持ち、雨と雪と名付けられた息子と娘は、人間とおおかみとの両面を持つ” おおかみこども”としてその事実を隠しながら成長する。そして2 人は、おおかみ、または人間として生きるのか? の選択を迫られる。

【日時/場所】
11 月10 日(土)20:15 The Royal(608 College St. W.)


First Time

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長期的疾患を患う大学生の娘と病気の娘を気遣う母親。静かな日々を過ごしていた娘は、あるロック歌手との出会いから生きること、人生を愛することの意味に気づいていく。笑いと涙ありのラブストーリーは、ハン・ヤン監督による2003 年に公開された韓国映画「… ing」のリメイク作品。

【日時/場所】
11 月6 日(火)19:00 Isabel Bader Theatre(93 Charles St. W.)


Dal Puri Dia Spora

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「Dal Puri Dia Spora」とはインド料理のナンと同じ生地を円盤状に焼いたパン「 ロティ」のこと。地域やその国の歴史により味に違いがあるという監督の好物、ロティのルーツを探る旅は、トリニダッドからインドまで続く。訪れた国を通して、その国の人々と食文化を描いたグルメなドキュメンタリー。

【日時/場所】
11 月10 日(土)16:30 The Royal(608 College St. W.)


The Mirror Never Lies

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12 歳の少女パキスの父親は海に出かけたまま行方不明となっている。父親との再会を信じる彼女は、形見である鏡を持ち海辺でひたすら父を待ち続ける。やがてインドネシア本島から海洋生態学の学者がパキス家に宿泊するようになり、父親を失った喪失感で閉ざされいたパキスと母親の心が変化していく。

【日時/場所】
11 月10 日(土)14:15 The Royal(608 College St. W.)


Seeking Asian Female

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中国系アメリカ人の女性監督によるドキュメンタリー。二度の離婚を経験している60 代の白人男性ステファンは、優しくて献身的に尽くしてくれるアジア人の嫁を持つこ とを夢見て、オンラインで知り合ったサンディと結婚する。深圳から結婚するために初めて渡米した彼女との結婚生活はいかに…。

【日時/場所】
11 月11 日(日)13:00 The Royal(608 College St. W.)


The Woodsman and the Rain (キツツキと雨)

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『南極料理人』(06)で知られる沖田修一監督による人間ドラマ。人里離れた山村で仕事をする木こりの男(役所広司)は定職に就かない息子との関係に悩んでいた。ある日、新人映画監督(小栗旬)による低予算ゾンビ映画に出演することで若手監督との交流を持ち始める。

【日時/場所】
11 月17 日(土)16:00
Richmond Hill Centre for the Performing Arts(10268 Yonge St., Richmond Hill)

 

 

Other Must-See Movies


Daylight Savings

コンサートツアーにヒット曲… と、着実に成功への道を歩んでいるように見えるミュージシャン。しかし、なぜか恋愛には恵まれず…。うまくいっていたと思っていたエリカ(藤谷文子)との関係も遠距離恋愛による問題から破局に発展。彼は失恋の傷を癒すため、ラスベガスへ。

【日時】11 月8 日(木)17:40
【場所】Innis Town Hall(2 Sussex Ave.)

Tatsumi

「劇画」という新たなジャンルを生み出した辰巳ヨシヒロ氏の自伝的作品「劇画漂流」に初期の短編作品を織り交ぜたオムニバス。終戦期に、子ども向けに綺麗ごとを並べた漫画に葛藤を覚え、現実主義を貫いた辰巳氏の半生がシンガポール人の監督により描かれている。

【日時】11 月9 日(金)23:00
【場所】The Royal(608 College St. W.)

Jake Shimabukuro: Life on Four Strings

4 本の弦を自在に操り、ウクレレの概念を越えるダイナミック演奏と革新的なスタイルで知られるウクレレ奏者の日系人ジェイク・シマブクロ氏。写真と家庭用ビデオが使用されている映像からは、等身大の彼の姿が伝わってくる。

【日時】11 月10 日(土)18:30
【場所】The Royal(608 College St. W.)


Information


【日 時】 トロント… 11 月6 日(火)~ 11 日(日)
      リッチモンドヒル… 11 月16 日(金)、17 日(土)
【場 所】参加各劇場
【入場料】 レギュラースクリーニング 一般$12 、学生・シニア$10
      フェスティバル・パス 一般$80 、学生・シニア$65
      ※学生料金はID の提示要。
【連絡先】1-888-222-6608
【サイト】www.reelasian.com

  • トロントで上映される映画のチケットはオンライン、電話で購入可能。11 月3 日まではヤング- ダンダス広場のT. O. Tix で取り扱っている。当日券は上映開始の1時間前より各劇場のボックスオフィスにて販売(現金のみ)。
  • リッチモンドヒルで上映される映画のチケットはオンライン(上映前日まで)と、一部を除いてはRichmond Hill Centre for the Performing Arts のボックスオフィスにて販売。



 
 
【場所】トロント市内各参加劇場 *会場の詳細についてはサイト参照
【日時】 トロント… 11 月6 日(火)~ 11 日(日)
     リッチモンドヒル… 11 月16 日(金)、17 日(土)