太古の神秘を今に伝えるゴンドワナの恐竜たち
巨大恐竜展
ULTIMATE DINOSAURS:
Giants from Gondwana
(2012年10月5日記事)

Royal Ontario Museum

416-586-8000

遥か昔、数億年前の果てしないロマンの世界に導いてくれる恐竜展は、いつの時代も子どもから大人までを魅了する。中国で発掘された羽毛恐竜の化石発掘により、日本でも今年の夏は恐竜展がブームであったと言われるが、現在ROM(ロイヤル・オンタリオ博物館)で開催中の「Ultimate Dinosaurs: Giants from Gondwana」も、連日大盛況。構想から4年というROMのこの企画展は、「今までにない恐竜展」というコンセプトの元、世界に類を見ないユニークな恐竜展となっている。「ゴンドワナ大陸」に生息していたとされる恐竜に焦点を当てていること、また、最近20年に発掘された化石から復元された恐竜たちは、全てカナダで初公開ということでも注目度が高い。

「ゴンドワナ大陸」とは、5億年から1億8000万年前のジュラ紀、アフリカ、マダガスカル、南米が地続きになっていた頃に存在していたとされる南半球の大陸。その地に生息していた恐竜は、ティラノザウルスやステゴザウルスなど北半球に存在していた恐竜に比べ、アンバランスな肢体、頭頂部のとさかといった変わった外見が特徴だ。展示されている22体の中で最も着目すべきは以下の2体。1体目は、ROMの入り口で出迎えてくれるフタロンコサウルス。全長30メートル以上を誇る首の長い草食恐竜の骨格化石の全体像展示は、世界初というから貴重な機会だ。2体目は、今回のbits表紙を飾った肉食恐竜、ギガノトサウルス。大きな顎と刀のような歯が特徴のこの恐竜は、ほぼ全身の化石が発掘されており、原型にほど近い全身骨格を見ることができることでも希少価値が高い。

ROMの特別展史上最もマルチメディア化されている今回の恐竜展では、iPad形式のタッチパネルの設置も新しい試み。詳しい説明を自分のペースで読み進めることができるのがうれしい。また、両側にハンドルが付いた小型スリーンのAugmented Reality Stationは、スクリーンを恐竜の角や肢、尻尾などに向けると、ピンポイントの解説が表示され、子どもにも分かりやすくビジュアルから学べる仕組みになっている。さらに、それぞれの全身骨格の背景も、恐竜たちが生息していた時代が細かく表現されており、ジャングルの中の木々のざわめき、虫の声、低く響く恐竜たちの唸り声…。と臨場感満点。視覚から聴覚から、私たちをゴンドワナ大陸へのタイムトリップへと誘う。 木々の葉が彩りを見せ、秋が深まるこの季節、時空を超えてよみがえった恐竜たちに会いにいこう。

発掘から展示会までのステップ

採掘された一片の化石から、展示される全身骨格完成までの工程をここに公開!


1.

カナダで化石が多く存在する地域はアルバータ州。古生物学者やその学生たちが大平原を何時間も歩き回るプロスペクティング(化石探査)は夏に行なわれる。



2.

採掘する際の道具は、工事で使うドリルやハンマー、千枚通し、ノミ、ナイフ、ブラシなど。化石を傷つけないように少しずつ、丁寧に掘っていく。



3.

化石が地表に出た状態になったところでデータの記録へ。どのような状態で見つかったのか、位置関係などを測定し、記録に残す。



4.

地面から掘り出された化石を液体状の石膏に浸した麻布で巻く。乾燥後、発掘場所にそれぞれ付けられているフィールドナンバーとどの部位の化石かを記載。この状態でラボに持ち帰る。



5.

恐竜の全身化石が発掘されることは稀であること、また、壊れやすい部位も多いので、展示会で見る全身骨格は本物の化石とレプリカが併用されている。全身骨格を製作する際の体長の推測方法は、現存する動物の身体の割合から決定される。



6.

展示場に入るよういくつかのパーツに分けて全身骨格は作製され、会場で組み立てる。

特別展では直接研究者から化石発掘について学べるイベントも開催中。
個性溢れる恐竜たちを下記からチェック。




Cyrolophosaurus 体重:0.45t 体長:7m 肉食 クリオロフォサウルス

Cyrolophosaurus
Cyrolophosaurus
南極大陸で見つかった最初の肉食恐竜と言われている。頭頂部の特徴あるとさかと、寒い地域に生息していたということから付けられた学名は「凍ったとさかを持つトカゲ」。とさかは、種の中で成熟を表す印になったほか、異性へのアピールに利用されていたと考えられている。


Suchomimus 体重:3t 体長:11m 肉食 スコミムス

Cyrolophosaurus
Cyrolophosaurus
白亜紀に北アフリカに生息していた獣脚類恐竜。ワニのように長く突き出た鼻と顎が特徴で、その大きな顎とするどい爪を持った長い腕を活用し、川や沼にいる巨大な魚類を主食にしていたと考えられている。ワニに似た形態から「ワニもどき」という意の学名が付いている。


Massospondylus 体重:0.16t 体長:5m 草食 マッソスポンディルス

Cyrolophosaurus
Cyrolophosaurus
ジュラ紀に勢力を持っていた草食恐竜のグループの一種。幼体は成体に比べて腕が長いことから、成長するに従って四肢歩行から二足歩行へと移っていったと考えられる。学名は「伸びた脊椎」を意味する。常設展にはこの恐竜の卵が詰まった巣や赤ちゃんの化石を展示。


Carnotaurus 体重:1.5t 体長:7m 肉食 カルノタウルス

Cyrolophosaurus
Cyrolophosaurus
学名は、獰猛さと頭部の一対の角から「肉食の雄牛」。前肢が短かく、発達している後肢のみで走歩行していた。短い頭骨は現代のネコ科の猛獣のように獲物に噛み付き、くわえていられる能力もあったのではないかと考えられる。恐竜時代が終焉を迎える直前の白亜紀後期の南極大陸に生息。


杉本志野

今回、特集ページの監修をしていただいたのは
フォッシルプリパレイターの杉本志野さん
※インタビューはこちらのページから




Information


Ultimate Dinosaurs: Giants from Gondwana

【日 時】開催中~2013年1月6日(日)
【場 所】Royal Ontario Museum (100 Queen's Park)
【入場料】大人$25
     シニア(65才以上)・学生(15~25才)$22.50
     子ども(4~14才)$17
     幼児(3歳以下)無料
      ※学生は学生証を持参のこと。
      この他、グループ割引やガイド付きツアーなども有。詳しくはサイトを参照のこと。
      入場料は通常入場料と特別展との合計金額を表示。

【連絡先】416-586-8000
【サイト】www.rom.on.ca/dinos

Event


In Search of African Dinosaurs New Discoveries from South Africa & Sudan

今回の恐竜展で指揮を執ったROMの学芸員で脊椎動物学者のデービット・エバンズ氏によるレクチャー。
南アフリカとスーダンで発掘された最新の化石について語る。
【日 時】11月25日(日) 13時~15時
【参加費】一般$12、学生$10、子ども$8

The Bizarre and Marvelous Dinosaurs of Madagascar

ゴンドワナ大陸の脊椎動物を専門に研究しているデービッド・クラウス氏のプレゼンテーションは、
マダガスカル大陸で発掘されたユニークで不思議な恐竜について。
【日 時】12月8日(土) 13時~15時
【参加費】一般$12、学生$10、子ども$8

※ROMへの入場は別途料金が必要。ROM会員は各$2引き。